数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911485

作品紹介・あらすじ

まるで手品のような、謎、謎、謎! 退職刑事、怪奇な不可能犯罪に挑む。 1000までの数字を頭に思い浮かべてみろ。 退職刑事ガーニーの友人のもとに届いた手紙はそう命じていた。 思い浮かべた数字は、658。指示にしたがって同封された小さな封筒を開けると、そこにはこう書かれていた。 おまえが思い浮かべる数字はわかっていた。658だ。 やがて次々に届く脅迫状めいた不吉な手紙。恐怖に駆られて元刑事ガーニーに相談を持ち込んだが、やがて男は殺害されてしまう。殺人現場は一面の雪。犯人らしき人物の足跡は森のなかで途切れていた……。数々の難事件を解決してきたガーニーを翻弄する謎また謎。手品めいた不可解な連続殺人――その手段は、動機は、目的は何なのか? そしてちりばめられた奇妙な暗示の影にひそむ犯人は何者か? 眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれるHONKAKU MYSTERYの野心作!

感想・レビュー・書評

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  • 1から1000までのうちから、数字をひとつ思い浮かべろ。お前が思い浮かべる数字はわかっていた。658だ。
    本格ミステリとしての成功は、魅力的な謎を提示できるかにかかっていると思います。難解なだけでも、論理的なだけでもだめで、魅力的な謎。その点、本書の謎はワクワクします。解答は少しやっぱり感がありましたが、こちらが謎に引き込まれた時点で作者の勝ちです。哀愁漂うおじさん刑事(元)ものには名作が多い。よい読書の時間でした。

  • 初読みの作家。しかも特異なあらすじがバカミスっぽく見えたので正直不安要素の方が大きかったが、それを払拭して余りある面白さだった。

    序盤は手探り状態。数字の謎も、主人公と知人の微妙な距離関係もややとっつきにくく退屈しかけたが、殺人事件に発展してからは一気にストーリーが流れていく。退職刑事ガーニーは不可解な謎をひとつひとつ解明しながら調査を進めるが、新たな事件が新たな謎を生み、当初の予想をはるかに超える連続殺人計画が浮かび上がる。大まかな骨格は警察ミステリだが、本格ミステリ色が非常に濃い。謎のテーマがhowdunitからwhydunitへと繋がり、意外性に富むラストまで飽きることなく突っ走る。

    事件を取り巻く状況やアイテムにどことなく古典っぽさを感じたので、現代ミステリでは珍しいと感じていたら、作者はリタイア後、古典本格を読み漁って作家デビューしたようだ。海外には日本でいうところの「本格ミステリ」にあたる言葉がないが、英米語圏のミステリ・シーンでは「honkaku mystery」というワードが使われ始めているらしい。そんな「honkaku」の書き手として期待できるひとりが作者なのだとか。

    今年の収穫本。リピ決定。今後も作者の描く「honkaku」に期待大だわ。

  • このミス海外編9位。
    退職刑事のもとに友人から助けを求める連絡が入った。脅迫状めいた奇妙な手紙に悩まされているのだが、その相手は彼が思い浮かべた658という数字を言い当てたらしい。やがて殺人事件が起こり、一面の雪の中、犯人の足跡は森の中で途切れていた…
    序盤は不可能犯罪の本格めいたすべり出しだが、メイントリックはわりとありがちで、それよりも連続殺人になった中盤からは一気読みで警察小説として面白かった。

  • 確かに快作。読むのに非常に手間取ったが、最後は見事。
    夫婦感のモヤモヤなど、身につまされたりもした。

  • さきほど読了。上がった心拍数と呼吸数がいまだもとにもどらない。よくできたミステリー,とくに欧米の,を読むには体力が要る。
    なんで星が5つまでしかないんだ,というぶつける相手のない憤りをみなさんにも味わってほしい。
    ひさびさにいい汗かかせてもらいましたよ,まったく。

  • わりとゆっくりと物語が進む。そのなかに伏線があり、たくさんの謎がある。犯人からの不気味な声明、そこに隠された謎。本格ミステリーと警察小説が上手く合わさっていてどちらの良さもあり謎解きも、警察の捜査も空気がしっなりと作られていて楽しめる。

  • 退職刑事のガーニーは大学の同級生から
    奇妙な相談を受ける。
    スピリチュアル系の団体を運営している彼に
    まず一通の封書が届き、そこに
    「数字を一つ思い浮かべろ」とあったという。
    同封されたもう一通には、まさに今
    思い浮かべた数字が書かれていた!

    という導入部から始まるのですが
    正直、第一部はこの主役のガーニーが
    退職後にヘンなアート制作にはまったり
    過去のなんらかの事故で失った息子のせいで
    奥さんとギクシャクしていたりと
    やたら内向きなので
    まさかイヤミスな結末じゃ…と思ったよ。

    しかし、その同級生が殺されて
    (雪中に消える犯人の足跡!)
    同じように手紙を送りつけられ
    殺される人が出てきたあたりから
    俄然、謎解きメインになり
    ガーニーも飛び回るようになったので
    読むスピードもアップ。
    数字の謎も足跡の謎もきっちり解けてすっきり。

  • 本書は、深い問題を抱えた登場人物たちに驚くべき自己開示の瞬間を迫るという、絶妙なプロットのサスペンス小説である。

    ニューヨーク市警のトップ殺人捜査官を退職し、現在はニューヨーク州北部で妻のマドレーヌと新しい生活を始めたデイブ・ガーニー。

    「数字を一つ思い浮かべて見ろ!」

    そんな彼の元にこのような文面の手紙が何週間にも渡って届き続けたのだ。この手紙は、ガーニーにとって退職後のマンネリ化した日々に刺激を与えるものであった。しかし、ほどなくして大規模な連続殺人事件が発生し、ガーニーは捜査に巻き込まれることになる。手紙の主は、脅しと警告に満ちた韻を踏むのが好きで、証拠を残さず捜査陣をいつも煙に巻く一筋縄ではいかない人物である。

    これに対し、捜査活動の中心人物となったガーニーは、ほどなく地元警察を驚愕に陥れるほどの推理力を発揮することになる。あたかも千里眼のように見える相手と知恵を競い合うガーニーだが、悲劇に彩られた過去は次第に彼を悩ませ、いつしか結婚生活に危険な断崖絶壁を予感させることになる。

    この本で私が印象に残った点は、随所で発生する法執行機関の不可解な決定と不信感が漂ってくる点である。途中から、アメリカの刑事ミステリの王道である警察機構内部の対立構造が絡み始め、捜査活動とは別の圧力で苦悩するガーニーの姿が非常にもどかしくなるところもGoodであった。

  • そういうトリック!!!!!!
    うわぁーーー!!!!!

    っていう。そんなぁーえぇーって。

    なわけで、ミステリーとしてはとても楽しめましたが、主人公が女関係でやけに心がぐらついてる様子がなんだか煮え切らないやつで。

    そっちの方がわたし的になんだかなぁーって感じでした。

    いくならいけ!ってかそんな度胸もねーなら大人しく謎でも解いてやがれ。
    と、思ってしまいそうだった。笑
    奥さん、とっても良い奥様なのに。

    そこだな。そこだけやけに鼻にかかる男で、全体通してマイナス。笑笑

  • 題名から勝手に数学の話だと思ったがそうではなく、トリックはシンプル?答えがわかったらなるほどーと思った。
    マデリンとガーニー?の夫婦の間がいろいろ気になった。大丈夫なんだよね?

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