「空気」の研究 (文春文庫 や 9-14)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911997

感想・レビュー・書評

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  • 一言ですごく難しい。そりゃそうだ。だって、普段から『空気を読む』ってすごく難しいなーって感じることが多いのに、それについての著者による研究をまとめた本なんだから。
    そして、S52年著ということもあり、例えも近代史的な内容が多く、一般教養も必要。

    で、本著で語られていた『空気』とは、実態はないのに絶対の権威の如く、驚くべき力をふるい、科学的最終決定すらも覆す妖怪、あるいは超能力のこと。
    その最たる例が戦艦大和の特攻や天皇制について。そして、その『空気』の醸成方法が分断化である。例えるなら一方を善とし、もう一方を悪とする等。その最たる例がマスメディアとなる。

    ただ、その空気をリセットする役割を持つのが『水』であると。それはよく『水を差す』と表現されるように、一方的に偏った際の通常性作用として、日本語で用いられる表現方法であり、空気に対しての知恵である。

    で、本当はもう一章本著では語られてるんだけど、難解すぎて理解できんかった。
    そのうち頭がリセットされたらもう一度チャレンジしよう。







    昭和期以前の人々には「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があった。しかし、現代の日本では「空気」はある種の「絶対権威」のように驚くべく力をふるっている。あらゆる論理や主張を超えて、人々を拘束するこの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著。(解説:日下公人)

  • 挫折しそうになりながらもなんとか読了。
    単に自分の知識不足ということもあるが、当時は当たり前に共有されていた前提(時事ネタや「共産党」が持つ意味など)を理解するのに時間がかかった。
    人の意思決定や行動を支配する「空気」は今もたしかに現存していて、あまりにも刷り込まれすぎているこの思考回路からは簡単に脱却することはできず、脱却を試みても最終的にはもとの状態に回帰してしまう。
    「父と子の隠し合いの真実」という体制の下では、人は論理的説得では心的態度を変えないという著者は言う。
    最近の閣議決定や法案の流れを思い出すと納得してしまうと同時に、国民全員で巨大なカルト宗教を盲信している状態ではないかと恐ろしくなった。
    空気に支配される強い傾向があることを自覚していく上でどうしていくのがいいのだろうかと途方にくれる。

  • 空気は回りの雰囲気を感じるだけですが、場にそぐわない一言で水を差すと一気に現実に戻って覚めていくものだと思いました。

  • (佐藤さんから)

  • =失敗の本質

  • あるある、と思ったのは以下の部分。
    「日本における多数決は「議場・飲み屋・二重方式」とでもいうべき「二空気支配方法」をとり、議場の多数決と飲み屋の多数決を合計し、決議人員を二倍ということにして、その多数で決定すればおそらく最も正しい多数決ができるのではないかと思う」
    人って場所によって言うことが違うから困っちゃう。と言っても自分もそうなのだとは思うが。せめて、「あいつは人にいい顔することしか考えてない」と言われないように、行動が一貫するように心がけよう。

  • K図書館 1977年出版
    日本で暮らす人々の行動や思考を支配している空気という謎の存在の解明に挑んだ内容
    著者は山本書店、評論家

    《きっかけ》
    アバタロー氏
    2018年に100分で名著で紹介

    《感想》
    前半の数ページは読めて言いたいことは分かったが、抽象的な言葉が難しく、何を言っているかわからなくなって流し読み
    繰り返しが多い
    空気とは~、と書いて、次の節で再度、空気とは~で始まる
    論文ではなく分析したエッセーだ

    空気を読むなんて悪しき日本の文化だと思ってた
    だが無視はできず、日本人のDNAレベルで組み込まれていると言っても過言ではない
    逃れるのは難しい

    《内容》
    「空気」の研究
    「水=通常性」の研究
    日本的根本主義について

    本書に度々でてくる3つの絶対化で読む手が止まった
    これについてアバタローさんが解説していた
    ・臨在感的把握とは目の見えない力が存在しているように感じること(パワーストーンとか)
    ・絶対化とはその感覚を真実とみなすこと
    つまり、あらゆるものには神が宿ってる信仰は、日本人が古くから日常的に行ってきた、このことを「臨在的把握の絶対化」という
    ・「感情移入の絶対化」とは、自分がうれしければ相手も嬉しいはずだと自分の感情が正しいということ
    ・「命題の絶対化」とは、正義は勝つべき、正しいことは報われるべきでこれが正しいということ

    本書の結論として、空気から脱却する道は、三要素(臨在的把握の絶対化、感情移入の絶対化、命題の絶対化)を自力でばっさり切り捨てることで自分本来の思考を取り戻そうということ
    そして「根本主義」というキーワードは「原点回帰」と読み替えて、重苦しい空気になったら、自分にとっての原点に立ち返ってはどうだろうと説いている

  • これは日本文化論として、大事な分析だと思う。空気は確実に存在し、時間が立つと雲散霧消してしまう。海や空、米軍の強さを知りぬいた海軍エリートがなぜ戦艦大和をして、沖縄特攻に向かわせたか。
    コロナ禍の日本でもこの「空気」が未だに続いている。

  • 中盤から終盤にかけて難しかった。水、があまり腹落ちしなかったからかな。

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著者プロフィール

1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。
著書には『「空気」の研究』(文藝春秋)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』(以上、さくら舎)などがある。

「2020年 『日本型組織 存続の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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