十代に共感する奴はみんな嘘つき (文春文庫 さ 72-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912802

感想・レビュー・書評

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  • 矛盾、繊細、欺瞞、嫉妬、ついでにブラコン。
    10代の支離滅裂な感情をストレートに表した作品。
    本当の自分を見つけられなくて、他人の感情を勝手に想像して自分が形作られていく。
    これは宇宙人・女子高生の内を表現した傑作だと思う、

  • 30数ページ読んだところで挫折…
    自分がもっと10代に共感できる人間だと思ってました
    ということは嘘つきではないってこと?
    最後まで読んでない人間が何か言う筋合いないですね

  • 何年かぶりに読んだけれど、当時と今とを比べても変わらず切っ先の鋭い言葉を突きつけられているような感覚だ。
    彼氏(ではないけれど)、友人(ではないけれど)、兄、兄の婚約者(ビッチ)、兄の親友(自殺志願者)、全方位に敵。過激で、極端で、むきだしの女子高生の頭の中。私も17歳の時は不機嫌そうな顔でずっとこんなことばかり考えていたような気がする。からあげはおいしい。
    それにしても、あの頃の全速力で駆け抜けるような時間のことを今の私が大人ぶって「なつかしい」なんて言って懐古したらやっぱり怒られるのだろうか。「は?きも。お前に私のなにがわかんの?」
    今の私と、過去の私は、たしかに限りなく他者だ。だって未来の私も今の私からはそうであって欲しいし。

  • 感情の勢いがすごかった。こんなにも感情だらけの小説ってあんまり読んだことがなく。慣れるまでに時間がかかった。共感できる!という部分より10代の頃って感情の波がすごかったなぁと思いながら読んだ。…があとがきでやられたなと思った笑





    ★感受性が強いのは若い人間だけれど、感受性を尊重したがるのは大人ばかり。
    ★昔思ったことをいつまでも大事にしまいこむそれは何。そんなものは生命維持には無関係だって言うことを、忘れちゃうんだろうな長生きしたら。

    ★「てゆうかなんで傷つくことをリスクみたいに言うの?傷つくことは何のマイナスでもなくただの感情でしょ。しかも一瞬だけの。それって生まれた時から最初から、必要経費として計算に入れておくべきじゃないの?体育で怪我に怯えて見学してたら怒られるよ。傷つくの当たり前じゃない。それを必ず避けるべきリスクみたいに言うのは何なの」

    ★自分の知っている範囲でしかものを言わないなんて傲慢じゃない?

    ★過去のきみは、きみの所有物ではない。
    ★懐かしさと言う言葉ですべてを曖昧にして、そしてわかったつもりになるなら、それは自分への冒瀆だって、気づかなければならない。

  • これはすごい。
    この最果タヒさんは詩人でもあるが、だからか、唐坂カズハという17歳の主人公の独白のような小説は、今まで読んだことがない形で鮮烈だった。
    主人公はかつてのタヒさんを投影しているのだろう。
    10代はともすれば、神経が皮膚から飛び出ているかのように鋭敏で、けれど言葉を見つけられない…この本を読んでほしい。2019.6.8


  • 仕事に疲れて会社で泣いた。
    すごく嫌いな上司がいる。
    意欲はないがお金は欲しい。

    部屋が汚い。
    本がたくさんある。
    部屋の家電は姉のお古のポンコツ。

    友達が少ない。
    好きな人がいる。
    何かを伝える時にいい言葉が見つからない。
    人に気を遣いたくない。

    でも1人じゃない。
    どこかへ連れ出してくれる人がいる。

    私のどこかがおかしくなっても
    1人にはならない。

  • 愛は感情。
    セックスは現象。
    とても、納得できる言葉。

    人間なんてみんな気持ち悪い。
    感情も体験も記憶も、本当の意味ではシェアできない。
    何を思ってたって、何も起こらなければ何も思ってなかったのと同じ。

    読んでて頭がくらくらした。
    文章のスピードもそうだけど。感情がわーって溢れて、
    読むのに体力使った。
    置いてきた10代のじぶん、
    懐かしかった、で置いてきてしまったけど
    たしかにあのころ、いろんなことに怒って悔しくて、言葉が見つからず伝える事をあきらめていた。

    文庫本のあとがきに、すっと
    背中を見つめられている気分になる。

    "ずっと現在進行形で研ぎ澄ましていくばかりの人生だ。
    そんなの、一生変わるわけない。"

    そうだね、と今日のわたしは思う。
    今日のところは。

  • 最果さんの才能に酔う。

  • エッセイのほうが好き。最果タヒさんの言葉が直球にドーンと伝わってくるから。
    「過去のきみはきみの所有物では無い。」
    そうそう、そうなんだよ。時間は地続きなのに昔の私は私であって私で無いような気がしてる。むしろ、違うんだと思いたい。10代にとらわれるな、過去ってどんどん美しく重くなるから嫌だよね。未来に続く今しかないんだ。だから今日も前を向いて生きる。過去の積み重ねのうえに立ちながら。

  • 初めて読んだ最果タヒさんの本。
    まず、冒頭の10代の頭の中を表現したようなとっ散らかった表現が面白い。
    どこにでもいる高校生のとある生活の一部を切り取ったようでした。10代の上手く言葉にできないモヤモヤや葛藤をリズム感のある言葉で表現された本でした。

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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