- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167913649
感想・レビュー・書評
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同級生の春日井のぞみを殺したと証言する冬野ネガ。
しかし、その動機は語らず半落ち状態。
のぞみを殺した動機を突き止めるべく、真壁と仲田の対照的な二人の刑事が捜査する。
というお話
たくさんの書評にもある通り、この本のメインテーマは「貧困」。
豊かだと言われている日本に潜む貧困という社会問題自体を掘り下げつつ、ちゃんと話はミステリーとして成り立っているのがすごい。
刑事の捜査パートとネガ視点での過去パートが交互に書かれており、少しずつ事件について明らかになっていくのが面白く、かつ、読みやすい。
最後はいくつもの驚きの事実が明らかになっていくため、一気見してしまった。
貧困という問題について考えさせられつつ、
なぜ殺したのかという動機を追求しつつ、
途中では登場人物の思いに馳せて少し涙もしつつ、
最後は驚きの事実に声を上げながら読んでしまう。
そんな素晴らしい作品でした。 -
事件の真相はどうなのかという観点が途中でなくなるほど読み入って、苦しい気持ちになった。同時に、日本の貧困問題や生活保護についても考えさせられた。
本当に苦しんでいる人が救いを受けるのにハードルが高くなっている。自分に何かができるわけではないけれども、そういう現状があるということに気づけただけでも大きな収穫かもしれない。 -
久しぶりのミステリー。最後は泣きながら読んだ。伏線回収が凄まじかった。ラストのセリフ、あえて書かない終わり方は好きだけど、でもハッキリと言い切ってほしいという気持ちにもなった。真壁さんの考え方がだんだんと変わっていく様子の描写もすごく良かった。何よりネガとのぞみの関係性が最高に良い。二人はすごく大人だと思ったけど、二人はそうなろうとしてなっているのではなくて、家庭環境と周りの大人たちのせいで、大人にならざるを得なかったんだと思うとやるせない気持ちになった。話が進んでいくと共に、スピード感が増していって、あっという間に読み終えた。ひとつだけ気になったのは、城戸さんが電話にでなかったこと。そこに意味はあるのか、そもそも理由は?と思った。ネットで探してみてもそれらしき答えは見つからなかった。
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切ない。帯の『教えてください。彼女を殺したのは誰ですか?』が読み終わった今、とても滲みる。
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私の当たり前が当たり前じゃない人たちの目線で描かれた人たちのお話。彼女たちにとっては当たり前で、私にとっては当たり前じゃない。反対にも同じことが言える。だから読んでて楽しかった。そして徐々に分かってくるタイトルの意味にもぞわぞわした。
初めて読む著者さんだけど、調べてみたらシリーズ化されてるっぽい。また読んでみようと思う