希望が死んだ夜に (文春文庫 あ 78-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913649

感想・レビュー・書評

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  • まだまだ先がある、若いからどうにかなる
    と世間から言われる中学生という年頃の中で、
    この二人は、
    他の人からは理解できない、されたくもないような
    辛い環境下の中で今を必死に生きている。
    でもその中でどうしても乗り越えられない壁にぶつかった時に、お互いに頼って、依存して
    終わらせようとするけど、
    覚悟を決めたはずの中にある小さな後悔や、責任で
    最悪の結末になってしまう。
    片方は生きて片方は死ぬという言葉に表せば簡単な結末でも、一人は置いてかれた悔しさや悲しみ、もう片方は置いてった苦しみや安心があって
    簡単に片付けては行けないラストだった。
    でもやっぱり置いてかれた方からしたら、なんで?ってなるだろうな。
    最後警察がかけた言葉が気になる。

  • 子供の貧困、生活保護について書かれた社会派ミステリー。14歳の少女ネガが親友であるのぞみを殺しましたという自白から物語は展開していく。しかし、動機はいくら聞いても黙認を続け刑事である真壁と仲田が真相を求めていく。
    後半に行くにつれ、ネガとのぞみの間にあった誰も知らない絆がある事が分かり始め面白かった。ネガを残して自殺してしまったのぞみと唯一の親友を失ったネガの心境を思うととても苦しくなる。親達も生活保護なんて受けたくないというプライドなんか捨てて、生活保護を受けていたらこんなことにはならなかったのになと思う。のぞみの最後の遺書の描写が印象深かった。真犯人が分かった時には驚いた。最後ネガはどうなって生きていくのかは書かれていなかったが強く生きて欲しいと心から思えるような作品。

  • 中学生の娘に居酒屋でアルバイトをさせている一方で、その母親がタクシーに乗ったり果物を楽しんでいる描写は、まるで実在する家庭のようなリアリティがあった。貧困家庭の実情を正確に知らないにもかかわらず、その表現は印象的だった。

  • 「思っていた」ことは実は「思いたかった」ことなのかもしれない。

    死ぬことが怖いって思い知ってもらうことで、真っ暗なこと国でも死にたくない一心で生きてくれると思う。

  • 悲しい。子供の貧困についての話。どの親に生まれてくるか自分で選べないのだから、子供は被害者だよね。悲しすぎる。

  • 希望が「死んだ」夜に。か…
    参考文献の多さからも作者の本気度が分かる作品。自分も、“想像”して生きてみよう。見えない景色が見えるはず。

  • 描かれているのは
    「子供の貧困」「生活保護(バッシングも含む)」など重いテーマだけど、
    読みやすい文体と真相が気になる展開で一気読み。

    軽々しく面白かったなどとは言えないが、読んで良かった。
    解説の「明暗社会」もなるほどと思った。

    最近読んだ他の本でも思ったが、想像するって大切。
    もちろんそれで全てがわかるわけではないけど、
    バッシングする前にほんの少しの想像をしたい。

  • 子供の貧困を軸に展開するミステリー。
    同級生を殺害した少女が逮捕されたが、殺害理由を頑なに話さない。なぜ殺害に至ったのか理由を探っていく。
    警察側と子供側に視点を移しながら進んでいくストーリーは、警察パートはミステリー的な文章で、子供パートは青春小説のような文章で描かれてて、でもちぐはぐな感じはなく読み進められた。
    この少女はこれからどうやって生きて行くのかと考えると心が痛い。

  • 貧困問題をテーマにした社会派ミステリ。
    最後のどんでん返しにも驚いた
    読後にタイトルの意味が重くのしかかってくる。

  • 重く描かれる貧困の現状、それが一見分からないようにしている人々がいること。そして、貧困の中での多種多様な生き方までが1つのストーリーで綺麗に描かれた作品だった。
    特に、最初は貧困から努力で抜け出す、駆け上がることにしか目がなかった真壁刑事が、次第には努力もできないくらいの貧困環境で育ったネガちゃんに寄り添うシーンが好き。
    最後になんと声をかけたのだろう。ネガちゃんにはどう響くのだろう。
    私がネガちゃんだったら後を追うだろうけど、ネガちゃんには生きていて欲しいと思う(自分が死にたくなった時、周りの人はどう思うのだろう?)。

    1つだけ今もわからないことを挙げるなら、どうしてネガちゃんが司法解剖を知っていて、咄嗟に犯人を探させる発想に至ることができたのか。どうして自殺だと解剖されないことを知っていたのか。
    のぞみが知っているのは、まあ分からなくもないけど、ネガちゃんが知っているのはわからない。
    図書館に入り浸ってたんだっけか。
    もう一度読み直す必要がありそう。

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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