アンソロジー 隠す (文春文庫 し 34-51)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913892

作品紹介・あらすじ

大崎梢 加納朋子 近藤史恵 篠田真由美 柴田よしき 永嶋恵美 新津きよみ 福田和代 松尾由美 松村比呂美 光原百合冒険、ミステリー、人間ドラマ、恋愛……11人の人気女性作家が同じテーマに挑む短編小説集!誰しも、自分だけの隠しごとを心の奥底に秘めているもの――。実力と人気を兼ね備えた11人の女性作家たちがSNS上で語り合い、「隠す」をテーマに挑んだエンターテインメントの傑作!多彩な物語すべてに、共通の「なにか」が隠されています。(答えが掲載されている「あとがき」は、最後にお読みください)これが、本物の短編小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 「アミの会」第3弾。 今回は通常通り女性作家のみの短編集。

    「理由わけ」柴田よき・・・イラストレーターの女性がテレビ評論家を刺した。彼女は決して本当の動機を言わなかった 。刑事麻生は怪しむ。裁判の日ついに彼女は告発する。車の CM に出ていた 評論家、彼は違法駐車でイラストレータの友人の息子を死なせていたのだった。
     場面がほとんど取調室。じわりじわりと心理戦が書かれていてグイグイ読み進められた。 裁判で何を言うのかドキドキしたが、被害者への動機が結構些細なものだったので、ちゃんと評論家は罪を償わせられるのかなと思う。

    「自宅警備員の憂鬱」永嶋恵美… 引きこもりの女性。弟が優等生の同級生を連れてくる。 しかし彼の言動には不審な点が多かった。 自宅警備員の勘で怪しいんだ主人公は凶器隠しに来たとわかる。
      主人公の キャラクターが、引きこもりの割には行動的で面倒見が良くて好きになった。探偵ぶりもしっかりしていて好感持てたのでサクサク読める。

    「誰にも言えない」松尾由美… 作中作 を作家が書いている設定。 留学生が漆アレルギーだったという発想は面白かった。

    「撫桜亭奇譚ぶおうてい」福田和代・・・ 亡くなった父親。裏のハゲ山をひたすら掘り返し埋蔵金を探していた。そのため実家は借金まみれだ。長男は他の兄弟に遺産放棄を促した。 しかしその理由は 父親が子供をさらっては殺して埋めていたと理由にあった。
     ホラーだな。福田和代はホラーも描けるんだなあ 。短編だけでもなかなか衝撃があったので長編だともっと強いと思う。

    「 骨になるまで」新津きよみ・・・ 祖母は重篤になるまで病気を隠していた。その理由は昔手術でガーゼをお腹に入れられたままだったのを隠したかったためだ。その手術の執刀医が祖母の息子だったというオチ。
     全く最後が読めず、読後なるほどーと納得。

    「アリババと四十の死体」光原百合…アラビアンナイトを新たに解釈し直した作品。 アリババの息子と女奴隷のモルジアナの話。 実はモルギアナが主犯だった。
     彼女は自由を求めての犯行なので後味は悪くない。

    「 バースデーブーケをあなたに」 大崎梢・・・ デイケアサービスに住む高齢の女性。 彼女には毎年誕生日に大きなブーケが送られる。しかし花束や バースデーカードは 全て花屋が用意している。
      展開は初めのうちからわかった。でも登場人物が穏やかで、脇役でも丁寧に書かれているので読んでいてほっこりする。大崎梢さんらしい作品だなぁと思う。

    「甘い生活」近藤史恵・・・昔から誰かのものが欲しくなる主人公。姉のもの、友人の大事なポールボールペンを取り続けては隠してしまう。数年後、気になる男性とドライブに行く。 実は彼はボールペンを隠された女の子の兄。あの出来事がきっかけで父親の再婚が破談になり、気に病んだ友人は自殺してしまったのだった。兄は復讐のために主人公に近づいたのだ。
     ボールペンがすごく高価なものだったという展開や、それで父の再婚が破談になったという展開は珍しい上にストーリーも無理がなく面白かった。近藤史恵はイヤミスもうまいよな。 主人公の微妙に悪意のある感じが雰囲気ありでよく伝わった。

    「少年少女秘密基地 」加納朋子…ハイオクに遊ぶ二つのグループ。 男子のグループが探偵気取りで少女たちが危険にさらされていると推測する。数年後、少女達の側。危なそうに見えた道具は、納屋の持ち主の老女が引っ越しをする準備だったことがわかる。また老女気持ちを病んで寸前だった。それを少女たちが止めたということもわかる。
      回りくどいけど子供達の 活躍が描かれたほんわかミステリー。
     
     今回、どの作品にも共通するのは日本風の漆塗りの櫛。はっきりと道具として書かれているものもあれば、ゲームの中のアイテムだったりしたのでこの感想を書くときに見返して探した。短編だけれども、ほとんどの作品は一瞬で惹きつけられるものがあって面白い。

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    誰しも、自分だけの隠しごとを心の奥底に秘めているもの―。実力と人気を兼ね備えた11人の女性作家たちがSNS上で語り合い、「隠す」をテーマに挑んだエンターテインメントの傑作!多彩な物語全てに、共通の“なにか”が隠されています。(答え掲載の「あとがき」は、最後にお読みください)これが、本物の短編小説集。
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    作家のみなさんご自身が、愉しんで原稿用紙に向かわれているのが伝わってくるので、読者も、構えることなく物語に迎えるように思う。そして、裏切られることなく愉しみとおすことができるのである。「隠す」、タイトルだけで魅惑的な響きである。隠されれば覗きたくなるのが人情だろう。その欲求を見事に満たしてくれる一冊である。

  • 「隠す」というお題なので薄暗い犯罪ものだと思ったが、癒し系など色んなタイプを楽しめる短編集で、どの話もぐいぐいと世界観に引っ張っていくものが多いので短編でも充分な満足感があった。

  • 最近アンソロジーにハマっていて、思わず Kindleでダウンロードしてしまいました。

    12作家さんいずれも隠すが巧く表現されて、楽しめました。

    隠すものは様々で、犯行動機、証拠品、心の内、亡骸、生き様などなど。。

    生きていれば人間何か一つは隠しておきたい事象は有るけどねぇ〜なんて読み進めるうちに思わず共感。

    個人的に好きな話は松村比呂美の「水彩画」かな。ゾクッとしたり、ちょっとほっこりしたり、しんみりしたり。。どれも良かったです。

  • 気になる作家さんが沢山。読み応えがあった。
    アンソロジーは知らない作家さんとの出会いがあるから好き。個人的に新津きよみ「骨になるまで」松村比呂美「水彩画」がよかった。

  • 毛色の違う短編を作家の分だけ読めるお得さ。
    表のテーマである「隠す」と裏テーマでまとまるそれぞれのお話は、とても魅力に溢れていました。

    アミの会(仮)面白いかも。

  • やっぱしさ、薄暗いテーマは女性作家が書く方が陰湿で面白いと思うんだよね。
    文章の良し悪しとかじゃく、あーこれ好きだわって思ったのは3話あった。
    隠すって、真実や浮気相手や死体や物や、いろいろパッと思いつくだけでいろいろ暗いこと顔も浮かぶんだけど、思いついた上でそれをさらに超越する面白さを描けるのはすごいなと思う。

  • 隠すをテーマに女流作家11名の短編を収録。同じ女性ということで興味が似ているのか?途中経過でラストがワクワクするような短編が多かった。「アリババと四十の死体」は「アリババと四十人の盗賊」をモチーフにした作品で面白かった。でも原作を読んでいないと理解できないと思う。だから原作を知らない「まだ折れてない剣」は全く理解できず。「甘い生活」は近藤史恵さんらしい作品で女の嫌らしさが全面に出てキリリと辛口。この短編だけ異質な作品だと思うけど私は好き。

  • 知らない作家さんが多かったのですが、どの短編も面白かった!アミの会、これから注目してみます。

  • 11名の女流作家たちが一つのテーマで物語を紡いでいます。近藤史恵、松村比呂美、光原百合の作品が良かったし怖かった。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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