正しい女たち (文春文庫 ち 8-4)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167916879

感想・レビュー・書評

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  • たしかに、あまりにも“正しい”女たちがそこにいた。

    表現力が秀でているゆえか、全体を通して粘度が高くまとわりついてくるような空気を纏っているなと感じた。

    女の共同体の醜い部分が多く描かれていたが、作者は「幸福な離婚」で描かれた朝食の場面のような表現がほんとうに眩しくて美しいので、正直なところ、そういったものをずっと見ていたいなと思った。そして、この世界には女と男しかいない、とでも言うような描き方をするんだな、と引っかかる作品ではあった。

    すべての短編が「温室の友情」の4人に何処かで関わっているのだろうと思わせる仕掛けがおもしろかった。

  • 「海辺の先生」が1番すき。
    「幸福な離婚」もほわほわした優しさに包まれてる感じがとてもすきだった。離婚までの時間ってのが切ない。
    「桃のプライド」タレントとモデルの間みたいな売れない女性の話。最後の1ページですきになった。
    気付いたら6篇中3篇すきだったみたい。

  • 普段は隠している人間の本性や欲望が、ふとしたことをきっかけに表面化してしまう瞬間をリアルに描いていた。

  • 「30代の自分はもう何にも揺るがない大人になると思っていた」

    みんな自分の思う正しさを追求しながら、どこか他人を窺っているのかも。
    SNSで更に拍車が掛かってるように思う。

    嫉妬や眺望、諦観…他人事とは思えないリアルなあれこれ。

  • 「幸福な離婚」が心に残っています。
    離婚までの間、お互い幸せな中で過ごしているのに、最後に別れがあるのはやっぱり悲しいし離れがたいと思いました。
    離婚があるからこそ、残りの期間は楽しく過ごそうと二人の中で決めて、お互いの許せなかった部分を許して、上手に過ごしていく。もしかしたら、こうすれば上手くいったんじゃないか、という期待も芽生えて、寄りを戻したい気持ちになるのではないかな、と思いましたが、その気持ちには蓋をして。。
    相手の信頼を失わないように誠実に生きて、大切なものを大切にしたいと思いました。

  • 千早さんの感覚好きです。確かに胸はざわつくんだけど、決して不快なざわざわではなく、こういう感覚わたしもある、という落ち着かなさ。見せつけられてはっとします。
    4人の同級生のお話もさわついたけれど、「幸福な離婚」と「描かれた若さ」がとても好きでした。
    「幸福な離婚」、終わりが見えている、というのはこんなにも優しい気持ちになれるのか、と思いました。全てを許せる…ずっとこんな状態を保てていたら離婚なんて事にはならなかっただろうけど、別れを選ばなければこの日々も送れなかった。難しい。
    「描かれた若さ」は男性の感想がとても気になりました。わたしは、よくぞ言ってくれた!とエアー膝バンバンだったけれど、このお話は男性がざわざわするのかな。。

  • 何が正しいのか自分では判断が付かない。
    だから「普通」という言葉に縋って、自分と価値観の近いであろう人と集まって防御する。
    中学生、高校生の頃の女子特有の雰囲気を思い出す。
    そこに誰かこれが正しくて、これが行く先と言ってくれると更にそこに縋ってしまう。
    だからこそ美優は先生という存在に縋ってしまっている気がする。
    逸脱しない真っ当さは狂気があって、
    その怖いものみたさは執着されたいという願望であり、
    誰かに受け入れられたいという願望である気もする。
    日常も非日常もどちらか一方だけでは狂気じみてしまう。
    正しいを追い求める必要だって本当はないのに
    どうしても自分の正しさを追い求めてしまう。

  • 最近の数冊しか読んでいないので、ちょっとイメージが違った。夜の静謐さみたいなのはあんまり無くて、体感的にダークな感じ。

  • 少しずつ繋がりのある短編集
    細かい繋がりに気付けず読んでしまったところも
    あったが、解説に繋がりについて書かれていて
    もう一回読み返したくなった。

    正しい女たち
    タイトルの通り正しさについて書かれている箇所

    なんとなく正しく生きたいと
    去年から思うようになった私に
    正しさを考えさせられるような気がした

  • 人それぞれ正しいと思っている事は違うんだな。
    .
    短編集でした。
    友情のために、友達の不倫相手の家に突撃する話...売れない女優の話...
    .
    ねっとりまとわりついてくる様なセリフがクセになりました。笑
    言っている事は確かに正しい...でもどこか怖いというか、狂気じみているというか。
    女性って怖いなぁ笑
    ヒェ...

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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