ゆうれい居酒屋 (文春文庫 や 53-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167918002

感想・レビュー・書評

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  •  下町商店街の路地裏にある居酒屋・米屋。常連さんで持ってるお店だけど、フラリと立ち寄るご新規さんの悩みを、女将の手料理とお酒の力で心が軽くなっていく。たまに女将の心の声とお客さんの会話が噛み合ってない事があるけれど、実は秘密があり…

     タイトルと内容を読んで納得。
     女将に相談した人が後日又店を訪れると、米屋は跡形もなく消え去っている。きっと、悩みを持っている人だけがたどり着く事が出来る不思議な店なんでしょうね。女将の温かい人柄と美味しそうなつまみで、訪れたくなる店でした。

  • 【美味しい小説】
    やっぱり山口恵以子さんの小説は、食欲湧きます!
    食堂のおばちゃんも婚活食堂も大好きですが、こちらも良いですね。
    何がいいって、冷凍やレンチンを駆使してサッと美味しい酒の肴を出すところ。
    一見真似しやすそうだけど、しじみの砂抜きや煮込みの下煮などなど、仕込みをしっかりしてこそ美味しい料理なんですよねぇ。全部美味しそう!
    お酒の種類に拘ってないことで、かえって料理が美味しそうなのもいい!
    もちろん、今回の主役である女将の秋穂さんも素敵な人でした。旦那さんは亡くなってるから思い出話だけの出演なのに、妙に存在感があるのもいい。
    そういえば旦那さん発案の塩昆布のパスタも美味しそうだったなぁ。
    各章ごとの読み切りが基本で、最後のネタばらし(?)のところで、縁故のある人や同じ経験をした客がちょこっと出てくる。
    締めは緩めなのところが、これ絶対続編あるんだなと思えてかえって好感度高い。
    仕事終わりに読むと食欲増し増し増しになるほっこり小説です。

  • 美味しいし料理と家庭的な雰囲気の居酒屋米屋。
    女将さんがふらっと立ち寄った主人公の人生を助けるアドバイスをしてくれる。
    婚活食堂の登場人物名もチラッと出てきて、山口さんファンには楽しめる一冊だった。

  • 今回もほっこりさせてもらえる作品。和ませてもらいました。巻末にレシピ紹介まであるのがいい!!

  • 私は一見さんでお店に入ることが好きだ。といっても年に数回出張のときだけだけど。自分から積極的に話をすることはないし、人付き合いも得意ではない。ただ、帰る頃には自分もお店の空気に溶け込んでいて、何か漠然と一歩前に進めた満足感が包み込んでいる。
    ゆうれい居酒屋はそんな満足感をほんわかに与えてくれる。

    新小岩、いまは駅ビルが建設中で、2029年には39階建ての複合施設がたつらしい。懐かしさと新しさを発見しながらこの街を楽しんでいこう。

  • 物語の中に出てくる居酒屋メニューのレシピが付いていて簡単そうだった
    今度作ってみる!
    5つのお話がそれぞれ少し薄く感じてしまったけれど女将さんの人柄が温かくこんな居酒屋私も行きたいな…て思った
    新小岩駅の近くにあるらしく文章から想像すると下町って感じなんだけど合ってるかな?

  • ちょっとしたおつまみに気取らない酒の肴。どれもが美味しそうで、ほどよくお酒が進みそう。そんな素朴な居酒屋を人の好さそうな女将が営んでいるのは、下町のレトロな繁華街。この女将、実は30年も前に亡くなっているのだが、本人はその事実に気づいていない。といって魂が彷徨っているのではなく、元気に明るく実体(?)を持って働いちゃっているのだから恐怖も哀れみもまったく、ない。

    このお店は霊界ではなく異世界に存在しているようだ。(そんな感じのニュアンスを著者も巻末で明かしている)なんらかの波長が合った現代(女将の世界からみれば30年後)の悩みある客がふと、たどり着き腰を落ち着ける。女将と話をするうちに心が晴れ、自分のやりたかったことを思い出し、自信を取り戻していく。聞き上手な女将が素敵!女将は女将で客から洋風の料理を聞いたならすかさずレパートリーにしたり、知り得た情報を必要とする別のお客さんにそれとなく伝えたりと、実に素晴らしい働きをする。いとも簡単に時空を超えつつ四方まるく収まるのがすごい。

    著者様の手腕が唸る素敵で不思議な物語。シリーズ化してるんですね。嬉しい!ゆくゆくは実写化も希望!

  • 気軽に読めて、あったかい気持ちになれる短編集。設定はありがちだけど、料理が美味しそうで、しかも簡単に作れそうでいい。
    レシピも載ってて使えそう。

  • 本屋で見かけてから、気になっていたものの、積読中だった。
    飛行機の往復で一気読み。
    テンポ良し。
    そして、美味しそう!
    ぜひ作ってみたい。
    続編も楽しみ

  • タイトル通りのお話だった。
    最初はタイトルを特に気にせず読んでいたので、1話目ラストで実は居酒屋の女将さんは既に亡くなって……と明かされた時はびっくり。
    全5話の短編からなり、それぞれ人生に悩みを抱えるお客さんがふらりと居酒屋・米屋を訪れる。お店で女将さんや常連さんたちと過ごすうち、人生の光を見つけ出しそれが転機となる。
    なのでどのお話も読後感が良い。
    これはシリーズ化せず、この一作で終わるのがきれいだな〜なんてことも思った。
    それにしても山口さんの書くお話は本当にご飯が美味しそうでたまらない。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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