ストーカーとの七〇〇日戦争 (文春文庫 う 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.15
  • (4)
  • (5)
  • (10)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 143
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167918507

作品紹介・あらすじ

ネットで知り合った男性との交際から8カ月。ありふれた別れ話から、恋人は突然ストーカーに豹変した――
執拗なメール、ネットでの誹謗中傷……「週刊文春」連載時に大反響を呼んだ、戦慄のリアルドキュメント。誰にでも起こり得る、SNS時代特有のストーカー犯罪の実体験がここに。
【ストーカー規制法が定める「つきまとい等」の行為】
・あなたを尾行し、つきまとう。
・あなたの行動先(通勤途中、外出先等)で待ち伏せする。
・面会や交際、復縁等義務のないことをあなたに求める。
・あなたが拒否しているにもかかわらず、携帯電話や会社、自宅に何度も電話をかけてくる…etc

別れ話がこじれて元恋人が「ストーカー化」した分かれ道とは
ストーカー被害にあったらまずどこに相談に行けばいいのか
まだ傷害事件にはなっていない場合、警察はどこまで動いてくれるのか
警察に被害届を出したらその後どういうプロセスを踏むのか
示談交渉に持ち込まれたさいの様々な落とし穴
ネットでの誹謗中傷の書き込みは消せるのか
加害者の起訴・逮捕後に被害者がしなければならないこと
ストーカー行為は医学的な治療でやめさせることができるのか?
ストーカー対策の海外での先進的な実例

知らないことだらけのストーカー被害の全容と問題の本質が理解できる、かつてない異色のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 祝文庫化!

    『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子が語る「恐怖に脅かされる生活は一生続く」 | 女子SPA!(2019.6.17)
    https://joshi-spa.jp/931195

    数百分の1の時間で追体験すべき『ストーカーとの七〇〇日戦争』 - HONZ(2019年8月25日)
    https://honz.jp/articles/-/45339

    文春文庫『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤旬子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167918507

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      声をつないで:ストーカーと700日戦った文筆家 「処罰だけでは安全に暮らせぬ」 | 毎日新聞
      https://mainichi.jp/art...
      声をつないで:ストーカーと700日戦った文筆家 「処罰だけでは安全に暮らせぬ」 | 毎日新聞
      https://mainichi.jp/articles/20230313/k00/00m/040/118000c
      2023/03/14
  • 内澤旬子『ストーカーとの七〇〇日戦争』文春文庫。

    今月の文春文庫の新刊はノンフィクションが3冊。先に読んだ伊藤詩織の『Black Box』もそうなのだが、本作もまた大人の女性の脇の甘さに驚かされる。確かに粘着質の男性側にも問題があるのだろうし、ストーカーが大きな犯罪につながる危険もあるのは解るが、女性側にも問題の一端があったのだろう。

    冷たい言い方をすれば、男女の痴話問題をノンフィクション仕立てで延々と書かれても、何も得るものは無い。

    著者がネットの男女交際サイトで知り合った男性に別れを切り出したところ、男性はストーカーと化し、SNSで攻撃し始める。著者は警察に相談するが、法制度の問題もあり、なかなか解決に至らず、延々と加害者男性と戦い続けるという内容だ。

    伊藤詩織にしても、内澤旬子にしても脇の甘さ、大人の女性としての自身の行動に対する責任の無さが、犯罪を呼び込む切っ掛けになっている点では同類だと思う。

    本体価格930円
    ★★

  • 加害者に治療をすることにより、被害者の安全が守られる率が上がるというところが目からウロコでした。

    しかしストーカーされる行為もさることながら、それに対処していく一連の手続き
    読むだけでどっと疲れました

  • これって、ノンフィクションなんですよね?
    ストーカーされて、それをこういう風に書いて、相手が更に逆上する可能性とか、どうなんでしょうか? 被害者がわざわざ煽るようなことして、ストーキング止むのかな? 何か違和感というか、モヤモヤしたものを感じました。

  • まずは著者に
    襲いかかる恐怖と闘い、苦しみ続けたことを思うとうまく言葉に出来ないですが、こうして本を発売まで出来る状態になった事はとりあえずは良かったです。
    そして司法の上では解決したと言えるかもしれませんが、本を見る限り今後のA氏の治療完遂が内澤さんが本当に安心して暮らせる事への道だと思うので、それがされるのを祈ります。

    そう、治療・・・・ストーカー加害者に“治療”が必要というのは申し訳ないけれど俺も思い付かなかった事である。
    確かに言われてみたら被害者相手への依存等から引き起こされることなので、それを去勢するために治療するというのは利にかなっている話なのだろう。

    著内の警察も弁護士も出来うる限りの事をやっていたのだろう。しかし時は2016年。SNSでの付きまといは規制対象外の時代。苦しむ著者を助けれる公的機関はないと当時は思った事だろう。
    なんとか名誉毀損で再逮捕から懲役刑にまで行けたが治療を訴えた著者の言葉を受け「治療する」といいそこから多少なりとも減刑された。
    なのにいつのまにか「アルコール依存性」にすりかわり治療を拒み、それなのに仮釈放は通る現実
    加害者の人権も大事な事なのだが、これでまかり通る日本の司法に少しガッカリし、ストーカーという“病”への理解が進むといいなと感じた。

    とまぁ被害者側の言葉を聞いて感じた事です。加害者の方の話も聴かないと全体は見えないけど、基本的に加害者の行動が読んでてとても怖くて仕方なかった。

    書いている事に批判的意見も出ておりますがこうして実体験を書籍化して頂きありがとうございます。

  • 前に読んだ本の著者、小早川さんが出てきた。
    被害者のやるせなさが苦しい。
    なんでこんな弁護士に依頼したのかと思うが、信頼できる弁護士を探す気力もなかったのだと思う。
    味方であるはずの人が守ってくれないのは辛い。

  • 本を開いたとき、文字の大きさや行間から、さっくり読めそうな気がしましたが、結構時間がかかりました。
    というのも、ストーカーが気持ち悪いんですよ、読んでいて。

    直接暴力を振るわれたりしなくても、行動を監視され、一方的に「見ている」ことをアピールされ、何なら個人の秘密を不特定多数の人に公表されたりするのは、吐き気がするほど恐ろしい。
    無視すればしつこくつきまとい、相手をすれば調子に乗る。

    しかし、直接の被害がなければ警察は動かないし、誰かに相談しようにも巻き込んでしまうわけにはいかないため、うかつに相談に乗ってもらうわけにもいかない。
    さらに、引かれてしまったり、「あなたにも悪いところがあったのでは」と説教されたりもする。
    なぜ被害者がこんな目に合わねばならないのか。

    一番腹立たしかったのは、著者が雇った弁護士。
    被害者である著者の気持ちを慮ることは一切なく、法律の文面でだけの解決を図る。
    ストーカー事件なんて弁護士からしたらちっぽけな仕事なのかもしれない。
    だから、著者の希望はことごとく無視され、さっさと示談を成立させるべく、妥協に妥協を重ねて慰謝料を100万円も値切られたうえ、彼女の安全さえ図られない内容の示談書を作成する。

    不安がどれだけ冷静な判断を阻害するのか。
    恐怖はどれだけ突然にフラッシュバックするのか。
    残念ながら日本の法律では、その辺の考慮は全くなく、事件が凶悪化するのを防ぐことも再発を防止することもできない。

    「生活保護を受けているから、慰謝料は払えない」と言いながら、保釈請求をする加害者。
    保釈金は用意できるということなのか。

    最初は、著者の態度が手ぬるいのではないかと思った。
    相手の立場や気持ちを忖度して、何度も説得しようと試みる。
    怖いのに。
    気持ち悪いのに。

    でもそれは、彼女がことばを使う仕事を生業にしているからなのではないかと思った。
    話せばわかる、と思っていたのだろう。
    だが、残念なことに、どんなに心を込めて話しかけても、言葉をつくして語りかけても、全く響かない人というのはいるのだ。
    私のささやかな人間関係の中にも、いる。
    悪気なく人の心の痛みを感じることのない人が。

    警察から注意を受けてもストーカーであることをやめられない場合は、依存症のように病である場合が多いのだそうだ。
    しかしその認識はあまり一般には知られていず、仮に逮捕されたとしても一年足らずで社会に戻ってきてしまう。

    一番に守られなければならないのは、被害者の心身における安全と安寧。
    そして再発防止のための各種の制度。
    少しずつ是正されているとはいえ、もっと実効性のある制度の構築を早急にすべきである。

  • ストーカー被害を未然に防げることが一番良いのだけど、もしもストーカー被害にあってしまったら、どういう所に相談できるのか、何をすべきなのか。
    今では著者の体験された頃よりも、改善されている所はあるが、ストーカー対策先進国にくらべて、日本はまだまだである事もわかった。

    読み始め、被害にあっている事を書かれているのに、不謹慎にも面白いと思ってしまった。
    読み進めると、著者は「面白いと思ってもらえてありがたい」というような事を書かれていたので、本書に対してもそう思っておられる気がして、少し安心した。

    文中に「口の中に砂利を詰められ…」との比喩表現があったが、本書の執筆はその口の中の砂利を一つ一つ取り除く作業でもあったのかな?と想像する。不快感は完全に取れていなくとも、その砂利はこの国のストーカー対策に対する各所へ、一石を投じていると思った。
    面倒がられても、折れずにストーカー加害者への治療の必要性を訴える様子は、頭が下がる。

    ヤギと幸せに暮らして頂きたい。

  • ストーカー事件による不利益は、いちじるしく公平を欠くと思えるほどに、被害者側にのみ重くのしかかる。住居移転を余儀なくされ、仕事にも支障を来たし、軽々にいえないことにより今までの友人関係や地域とのつながりに日々が入り、警察や裁判所関係にとられる膨大な時間と手間、それに比して加害者の刑期、金銭的補償、精神的賠償、いずれの面でもまったくもって不十分というのがこれでもかこれでもかと描かれる。そして恐怖というものが人の判断をいかに曇らせるかということが如実にわかる。これを、本来なら思い出したくないだろう被害者の立場から、相手が誰かを特定できないようにしたとしつつも、詳細に、克明に記してくれたということには頭がさがる思い。被害者が事件後も安心して暮らせるようにという観点からの、加害者を罰するだけではなく治療も受けさせるべきという提言も。◆被害者になってしまったのだ、自分は。何もかも奪われてひっそりと暮らす、被害者に、気がついたらなろうとしている。…冗談じゃない。奪われて、たまるか!(p.77)◆そしてなぜ被害者側にこんなに屈辱的な思いを強いられ、隠れるように怯えて生きなければならないのか。被害者は隠れるのがあたりまえと世間は思っているようにすら感じられます。(p.308)◆「絶対安全」は、もう私の人生にはないのだから。(p.392)

  • うーーーーーん…
    どんな美辞麗句で飾ってもマッチングアプリでセフレ探しをしていた、と思われるだろうし、実際それ否定できないのでは。
    まあそのこと自体は法に触れるわけでもないし本人の自由なんだけど、「私は悪くない」圧が凄い。いや、ストーカー被害にあっていたことは間違いないし、それはストーカーが一方的に悪いんだから、「私は悪くない」は正しい。
    でもなんか引くわー。ドン引きするわー。個人の意見ですけれど。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ルポライター・イラストレーター

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内澤旬子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
朝井 リョウ
辻村 深月
小川 哲
宇佐見りん
アンデシュ・ハン...
原田 ひ香
瀬尾 まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×