夜明けのすべて (文春文庫 せ 8-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 600
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920920

感想・レビュー・書評

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  • みなさんの評価が高かったのでずーーーーっと気になっていた一冊。

    読み始めて、あれ?この設定知ってるなぁ。。。と。。。

    PMS(月経前症候群)で生理前にイライラを抑えられない藤沢さんと、パニック障害になりこれまでの明るく社交的な自分を失った山添くん。

    この設定、記憶にある。最近CMで見たな。
    映画になるんだな(^^)

    私も若い頃は、このPMSが顕著だった。
    が、当時はそんな言葉があったのかもしれないが、知らなかった。
    訳もなく突然涙が溢れてきたり、いつもは全く怒れないようなことにもイライラしてしまう。
    今思うと、これだよね。
    気づいたのは30代も後半に差し掛かった頃だっただろうか。生理前は精神的に落ちるということに。。。

    そんな私だったから、藤沢さんの気持ちが痛いほどわかった。
    パニック障害については、全く知識が無かった。
    鬱とはまた違う症状で、山添くんのような、全く普通の人にも起こり得る病気なのか。。

    そんな2人だったが、藤沢さんのお節介から、お互いの事情を理解し合い、良き同士となる2人。
    そしてお互い支え合えるように。

    凄く良いお話だったなぁ〜。
    あまりに素敵で一気読みしてしまった(*^▽^*)

    瀬尾まいこ先生、本当に凄いな。
    何読んでも凄い。

    文章も、物語も温かくて、凄く幸せになれる(*^▽^*)

  • 物凄く良かった♪
    映画化されるそうで、最近良く番宣見かけますが
    やっぱ脚本で設定変えられてそうかな?
    予告見た感じ【雑草抜かなそう】【主人公達の会社、職種大幅にが違いそう】ってのが気になった。

    PMSの女性とパニック障害の男の子のが
    家族でも恋人でもないのにお互いを理解し助け合い生きていくお話。
    主人公の会社の初老の先輩達も素敵な人達だ♪

    俺はパニック障害ではないが、【過敏性腸症候群の下痢型】だ
    パニック障害より、大変ではないかも知れないが
    彼が困ってることなど、自分と共通点が多くて親近感が強かった…

    ◯すぐお腹壊すので(普通の壊しかたではない)片道車で10分ほどの通勤でも、トイレが我慢出来ないので通勤はトイレが多く、信号が少ないルートを使っている
    ◯映画やスポーツ観戦など、イベントは好きだが前々から体調管理が必要
    ◯新しい場所、店に入っても まるで殺し屋が到着した瞬間に建物の構造を把握するかのようにトイレの場所をチェック、なんなら普通に会話してても、トイレに個室が何個あって、何人使用してるかも大体分かっている。
    ◯移動する道、現場など利用出来るトイレは頭の中に全て入っている
    ◯他人と乗車、電車、映画やスポーツ観戦、子供のイベントなど席を簡単に外せない条件がそろうと俺の自律神経が発動…
    ◯発作起きやすいのは【行き】が圧倒的に多く、帰りは大体平気
    ◯お腹壊したら長時間治らないのと、会社に行けなくなるレベル

    など色々、今も悩んでいる
    これも他人に理解されにくい病気で、直接体に害は無いが 精神的に悩む。
    6年ほど前に病院で相談したら【過敏性腸症候群】を初めてしり、薬もあるのもそこで知ったので
    現在は体調管理はしやすくはなったが…
    やはり完璧ではない。

    こういう本で
    【人には一人一人色んな縛りがある事】を知ってほしいですね。
    病気じゃ無くてもです。

    自分の常識は非常識
    の精神で少しでも優しく生きたい。

    • ベルゴさん
      おぉ~!!
      土瓶さんもイリボー仲間ですか!!♪

      過敏性腸症候群の辛さって分かってもらえないんですよね…
      俺はイリボー5ミリを60錠もらって...
      おぉ~!!
      土瓶さんもイリボー仲間ですか!!♪

      過敏性腸症候群の辛さって分かってもらえないんですよね…
      俺はイリボー5ミリを60錠もらって
      調子悪い時は2錠摂取です(10ミリ)

      俺トイレ詳しいので会社で
      トイレソムリエと呼ばれてます。
      2024/02/04
    • kuma0504さん
      映画良かったですよ。
      原作まんま、という評価もありました。

      映画良かったですよ。
      原作まんま、という評価もありました。

      2024/02/25
    • ベルゴさん
      kumaさん
      映画情報ありがとうございます♪

      是非 観に行ってみます♪
      kumaさん
      映画情報ありがとうございます♪

      是非 観に行ってみます♪
      2024/02/25
  • かなりの良作です。人に対して優しくなれる作品だと思います。
    今と昔で精神疾患の捉え方が違いますが、ここ最近のものは何のきっかけもないまま気がついたら自分もといったケースも多いようですね。そして腫れ物のように扱われてと想像が膨らんでいって爆発。なりたくてなった訳では無いんで、感情も追い付いて来ないですよね。
    『実際に動けない状況であったとしても、君の心はいつだってそうしたがっているんだろうな』
    この文章に心動かされました。病気に実際罹ったことが無いので気持ちは分かりませんが、人のことを思いやり、理解しようとする人間でありたいと思います。
    PS:『ボヘミアン•ラプソディ』のサントラ聴きながらの読書となりました笑

  •  本書は、パニック障害の男性とPMS(月経前症候群)の女性が主人公の物語です。
     何と! 本書は、瀬尾まいこさん自身が、パニック障害を発症した経験を契機に書かれたものだそうです! (びっくりー、知りませんでしたー!)

    (いきなり知ったかぶり裏情報)
     本書の単行本発行元である水鈴社のHPに、便箋3枚の瀬尾さん直筆のメッセージが寄せられています。未読の方も読了済の方も、読んでみてはいかがでしょうか。手書きによる温かな瀬尾さんの想いが伝わります。(私にとっても良い発見でした!)

     経験の為せる技でしょうか、主人公2人の地獄のような苦しみの描写が実にリアルで、読み手にも辛さがひしひしと伝わってきます。瀬尾さんのこれまでの小説とやや違う印象を受け‥、でもやっぱり瀬尾さんです。少しずつ救い・光明を見つけ‥。

     当事者でなければ、その症状の深刻さや辛さは、本当の意味で判らないのだろうと思いますし、軽々しく分かったふりをしても、失礼に当たるでしょう。理解できないまでも、想像力を働かせて気持ちを察し、気遣いはしたいものです。
     そのためにも、一人で抱え込まずに、親身になってくれて頼れる周囲の人を、少しずつ増やしていく必要があるのでしょうね。この周囲の理解・配慮なしには、通常の社会生活が困難であるのは明らかです。

     物語の2人が、互いの不足面を補い合い、試行錯誤しながら状況改善していく関係性の描写に、希望をもらえる気がします。
     当事者が困難を抱えていることを前提に、どうすれば少しでも状況が改善されるのか、一緒に考えていくことが大事なんでしょう。

    • みんみんさん
      こんにちは♪
      瀬尾さんPMSじゃなくてパニックの方でしたか!
      病気は違えども2人の生きる辛さがお互いを理解する過程が良かったですよね〜♪
      前...
      こんにちは♪
      瀬尾さんPMSじゃなくてパニックの方でしたか!
      病気は違えども2人の生きる辛さがお互いを理解する過程が良かったですよね〜♪
      前に読んだのにイイネありがとうございます!
      瀬尾さんのコメ読みたいです\(//∇//)
      2023/09/17
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      みんみんさん、コメントありがとうございます♪
      〝文は人なり〟ですね。直筆(画像ですが)から伝わる
      熱量‥いいです!
      みんみんさん、コメントありがとうございます♪
      〝文は人なり〟ですね。直筆(画像ですが)から伝わる
      熱量‥いいです!
      2023/09/17
  • 瀬尾さんの優しい世界観が堪能でき、心が洗われるような読書体験でした。

    本作の主人公の1人はPMSに悩む「藤沢さん」。彼女は普段は温厚で気配り屋さんではあるのですが、その日が来ると、すごくイライラしてしまい些細なことで他人に当たってしまいがちになる。
    そしてもう1人の主人公はパニック障害に悩む「山添くん」。彼は電車などの閉所や慣れない土地に行くと突如発作が起きてしまうことに悩んでおります。

    その2人は同じ職場で働いているのですが、ある日ひょんなことからお互いが病気で悩んでいることを知り、お互いを思いやる中で交流を深めていくというストーリー。

    今回は身体に関わる悩みを持った人たちがテーマでしたが、こうした心と身体の病に関わらず、他者が抱えていることへの理解はとても難しいものですね。自分が抱える悩みの大きさや深刻度が伝わりにくいうえ、人によって価値観や考え方が違うからこそ理解を得られにくいというジレンマもあると思います。

    本作では性格が全く違う2人の交流を通して、性格や価値観が違っても、気遣いや優しさは伝わるんだなと思わせてくれる、そんな優しさがある素晴らしい作品でした。

    本作で登場するキャラクターはとても良い人ばかりなので、現実の世界でもこうした優しい人が増えてくれれば良いなと切に願いますし、私もそうなりたいなと思います。

  • 『幸福の食卓』以来二十年ぶりくらいの瀬尾まいこさん。
    映画化され、その映画(未見)の画の雰囲気がとてもよかったのと、本書のブクログのみなさんの感想が素晴らしかったため、気になっていた。
    書籍が充実しているコンビニでみかけて、思わず手に取ってしまった。
    久しぶりの瀬尾ワールドは、やさしく、あたたかく、現実の世界に帰りたくなくなるほど心地よかった。
    瀬尾さんの小説は可笑しい場面ほど涙がボロボロこぼれてしまう。
    『ボヘミアン・ラプソディー』のシーンなんて、幸福すぎて、幸福すぎて。
    あんなふうに、気を使わなくていい相手がいるなんて、私には奇跡だ。
    あんなふうに、お互いのことを思う相手がいるなんて、私には夢のようだ。
    また、ふたりの周りの年上の大人たちも素敵。
    大人って、こうでなくっちゃ。
    目指そう。うん。


    • アールグレイさん
      5552さん!初めまして
      m(._.)m
      アールグレイといいます!
      小説が好きでブクログに入りました。遅読ですが、レビュー100%を目標にし...
      5552さん!初めまして
      m(._.)m
      アールグレイといいます!
      小説が好きでブクログに入りました。遅読ですが、レビュー100%を目標にしています。
      が、まことさんに影響されて、最近短歌が楽しいと感じています。
      どうぞよろしくお願いします!
      2024/04/19
    • 5552さん
      アールグレイさん、コメントありがとうございます!
      レビュー率100%が目標だなんて素晴らしいですね。
      まことさんの影響で短歌が楽しいと感じら...
      アールグレイさん、コメントありがとうございます!
      レビュー率100%が目標だなんて素晴らしいですね。
      まことさんの影響で短歌が楽しいと感じられているとのこと。
      まことさんの影響は絶大ですね!
      私も短歌が好きなので、よろしくお願いします!
      2024/04/20
    • アールグレイさん
      他の本のコメント欄に同じようなことを送ってしまい、大変失礼しました!
      他の本のコメント欄に同じようなことを送ってしまい、大変失礼しました!
      2024/04/20
  • 突然今までの生活がガラリと変化する...自分の意思とは関係なく...っていうのはとても辛いですよね。

    以前の状況が良ければ良いほど、正反対の現状は受け入れ難い。葛藤もあるだろうし、受け入れるには相当の時間がかかる。でもそこで、その状況を分かって接してくれる人がいるという心強さ。周りの優しさ思いやりを静かに受け取り、そのままの自分を受け入れることが出来たら、次は一歩先の新しいステージに進める。きっと。

    始めの辛い状況から、だんだん夜が明けていく感じの話の展開だったので、なんだか嬉しかったです。

    過去私の身近にも、似たような状況の人が何人かいたけど、こんな風にその人ことを受け止めてあげられなかったなあ...。と、ちょっと後悔、反省。

  • 社員6名だけの小さな会社栗田金属は、社長をはじめ穏やかな人たちばかりで、PMS(月経前症候群)の藤沢美紗を温かく受け入れてくれ、美紗は三年間ここで働いている。
    そして、新入りの山添君も二年前からパニック障害を患っていた。

    藤沢さんと山添君はお互いの病気を知ってから接近するようになり、そのやり取りが微笑ましく、コミカルに描かれています。
    深刻な話が続くのかと思っていたけれど、瀬尾さんの優しさに包まれた物語は、読む人に辛さを与えることなく進んでいきます。

    「本当に言いたいことを言って、何の曇りもなく自由に思い通りに生きてるひとなどそういない」
    みんな何かしらの事情を抱えて生きているし、ほんの小さなことから発想の転換をして前向きに生きるって、大事なことだと思います。

    まわりの人たちもほんとに優しくて、差出人の名前も書かずにそっとお守りを送るなんて、こんな気の使い方に思わず感動してしまいます。

  • 瀬尾まいこさんの作品が本棚に少しずつ増えてきています。
    きっかけは、子どもが瀬尾さんの作品を好んで読んでいたからだと思います。
    とても読みやすく、そして爽やかに希望溢れる感じで終わる作品が多いように思います。
    今作もそうでした。
    単行本が発売された時から気になっていた作品で、文庫本になって購入しました。
    同じ職場で働く、PMSの゙女性とパニック障害の゙男性の話。
    PMSもパニック障害も詳しくは知りません。
    もし、身近にそのような人がいたら、どのように接したら良いか分からないし悩むこともあるかもしれません。
    作品の中の職場の雰囲気がとても良かった。もちろん、働く人たちも。
    そんな中でパニック障害の゙彼が、病気で出来なくなった、諦めてきた事が、少しずつ見方や考え方が変わっていき前向きに行動が出来るようになっていく様子は、読んでいてこちらが嬉しくなって明るい気持ちになりました。
    あ〜。こんな関わり方、支え方があるんだな~。
    と、知ることが出来て、また、優しい気持ちにさせてもらいました。
    とても素敵な作品でした。

  • 職場で出会ったパニック障害の男性とPMS(月経前症候群)の女性の物語。

    心の病気は目には見えなくて周囲には理解されにくい。本人は深刻で辛い日々…
    こんな重たいテーマなのに、軽妙な語り口でユーモアがあって心がほっこり温かくなるなんて、さすが瀬尾さんです。

    自分のことには気付かないのに人のためなら動けてしまう、自覚のない支え合いが良かったです。
    噛み合わないチグハグなやり取りも、根が優しくて相手を思いやっているからこそ。周囲の人たちも本当に優しい素敵な世界でした。
    私自身も自分の体調や仕事のことなど考えさせられたし、前向きな気持ちになりました。
    映画が来年公開されるようで、気になります。
    ついでに、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た人の方がより楽しめると思います。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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