女帝 小池百合子 (文春文庫 い 88-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167921316

作品紹介・あらすじ

【小池百合子氏の疑惑の経歴「カイロ大学首席卒業」。カイロ留学時代の元同居人が、文庫化にあたって覚悟の実名証言!】キャスターから国会議員へ転身、大臣、さらには都知事へと、権力の階段を駆け上ってきた小池百合子。しかしその半生には、数多くの謎が存在する。「芦屋令嬢」時代、父親との複雑な関係、カイロ留学時代の重大疑惑――彼女は一体、何者なのか? 徹底した取材に基づき、権力とメディアの恐るべき共犯関係を暴いた、衝撃のノンフィクション!私は小池百合子という個人を恐ろしいとは思わない。だが、彼女に権力の階段を上らせた、日本社会の脆弱さを、陥穽を、心から恐ろしく思う。(「文庫版のためのあとがき」より)

感想・レビュー・書評

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  • 石井妙子『女帝 小池百合子』文春文庫。

    小池百合子のこれまでの虚構に塗れた華々しい経歴と最大の疑惑である『日本人女性初のカイロ大学首席卒業』という学歴詐称に迫るノンフィクション。

    小池百合子という人物を予想外に厳しく批判しつつ、その化けの皮を剥がそうという内容であった。現職の東京都知事というのはこのような胡散臭い人物だったのかと驚愕する。

    それにしても凄い。嘘に塗れた人生と強い権力指向。小池百合子の父親も金や権力のあるところに近付いて商売のネタにしようと取り入り、何の準備もなく議員に立候補したり、恩を仇で返すという狡猾で愚かな小物だったようだ。小池百合子本人も他人を利用し、巧みに取り入り、用済みとなれば簡単に捨て去り、金と権力の匂いには直ぐに飛び付くという凄まじさはまさに親子だ。小池家のまるで寄生木のような生活ぶりには背筋が寒くなった。

    こんな人物が国会議員になり、大臣まで経験し、東京都知事を務めているというのだから、開いた口が塞がらない。そもそもマスコミが彼女の数々の嘘を一つも見抜けずにひたすら持ち上げたことに問題があったようだ。

    政治家には虚言癖があるのだろうか。最近キシダが外遊し、米国や中国のトップと首脳会談を行ない、一定の成果があったと自慢していた。結果、米国にはミサイル400発を買わせられ、原発事故の汚染水だか処理水の海洋放出を巡る中国の輸入禁止は解除される見込みは無いようだ。単にキシダはパフォーマンスとして、米中のトップと会談した写真を撮りに行ったのではないだろうか。

    それと全く同じなのが、小池百合子の政治家としての成果だ。目立つことばかりに力を注ぎ、やること成すこと的を得ずという感じなのだ。東京都民ではないからどうでも良いが、よくぞこういう腐った人物を都知事に選んだものだと思う。

    本体価格1,000円
    ★★★★★

  • 世間をガヤガヤさせている文春砲の威力か。こっわ。
    しかもメガ粒子砲クラス(古い)の長編ルポ。私は免疫がないので0.3掛けで読んだけど、それでも途中から「これ小説?」と思わずにいられない破廉恥な内容だった。
    小池百合子はただの尻軽パリピ?と信じてしまう。

    仮にそうだとしても、小池氏を当選させたのは市民だし、そう仕向けて煽りまくったのはマスコミ。本文中の証言からも窺える。マスコミの急先鋒である文春は一体なにを問題として取り上げたかったのか。小池個人を叩いて目先の売り上げを出したい、ようにも映る。
    文春流ジャーナリズムは、何かを良くしようとする気はなさそう。それは、やってることが小池さんと大差ないと言えるのではないか。


    誰かを叩くのはもうたくさん。これほどの取材力と構成力があるのなら、日本全体を上げる方向にこそ使ってほしい。編集者になった入社動機って、こんな消費コンテンツを作るつもりじゃなかったのではないですか。



    ──(小池百合子氏は)計算というより天性の勘で動くんでしょう。(中略) 無理をしているわけでは無いから、息切れしないんだと思います(池坊保子氏の証言)─

    それはそれで大きな強みだよね。逆に羨ましいと思える。著者は若干20歳というが、この人間の凄みはまだ分からんだろう。
    いや、40代の自分も半分くらいしか分からんけど。

  • 最高に面白かった。
    都民と言わず全ての有権者に読んでいただきたい。
    そう、政治信条のない彼女はいつあなたの選挙区にくら替えしてくるかわからないのだから。

    慇懃無礼で元々大嫌いだった彼女の本性や生き様が明らかにされ、想像を超えた怪物であったことを知り、自分の直感力を再評価。

    あとがきで、筆者が彼女に問いかけたい言葉として「太陽はあなたに眩しすぎなかったか?」を挙げていたが、昔から「お天道様は全てお見通し」「お天道様にはウソつけない」という言葉から、「あなたは恥ずかしくないのか、あなたはこのウソをつき続けることが出来ると思うのか」という、自省を促す言葉だと受け取った。


    。。。そんなタマぢゃねーよな、このバケモノは。

  • 石井妙子(1969年~)氏は、白百合女子大学文学部卒、同大学院修士課程修了のノンフィクション作家。新潮ドキュメント賞(2016年)、『女帝 小池百合子』で大宅壮一ノンフィクション賞(2021年)を受賞。
    本書は、小池百合子氏が、TVキャスターから政治の世界に入り、男性社会に在りながら常に「風」を巻き起こし、国会議員から大臣、更には東京都知事へと権力の階段を駆け上がり、女性初の総理大臣候補と言われるまでになった半生と、そこにつきまとう疑惑について、100人を超える関係者の証言と、3年半に亘る取材のもとに描いたものである。そこでは、「芦屋令嬢」、破天荒な父の存在、カイロ留学時代等、これまで表に出ることのなかった(少なかった)小池氏の多くの謎が明らかにされている。
    私はノンフィクションを好んで読み、社会問題にも関心を持っているつもりだが、現代日本の政治、殊に政治家については、そのレベルの低さに興味も薄く、これまで彼らの自伝・評伝の類を読んだことはないのだが、小池氏に関しては、最近改めて学歴詐称疑惑が注目されており、今般新古書店で本書を入手し、飛ばし読みをしてみた。
    読後感としては、小池氏個人に関しては改めて書くまでもないが、加えて問題なのは、こうした小池氏の虚像ができる過程において、メディアが少なからぬサポート(積極的に、ではないにしても)をしてきたことだろう。著者も書いているが、メディアが自分たちのビジネスに都合の良い部分ばかりを取り上げ、事実を正確に伝えなかった(それどころか、事実を調べようとさえしなかった)責任は小さくない。
    そして、もう一つ感じたのは、小池氏の姿が米国の前大統領トランプに重なることである。どちらも、自分の政治信念などは持たず、敵を意識的に作っては、それとの対立軸を殊更に強調して人々の関心を集める、典型的なポピュリスト政治家である。(小池氏はよく、自身をジャンヌ・ダルクに喩えるが、ジャンヌ・ダルクは、トランプがよく言う「魔女狩り」の犠牲になったのだ。。。) こうした政治家に騙されないためには、有権者一人ひとりが意識を高く持つしかない。政治家は、我々が選ばなければ政治家になれないのだから。
    これが日本の政治(家)の現実と思うと情けなくなってくるのだが、読み物としてはなかなか面白い一冊とも言えるだろうか。
    (2024年4月了)

  • この話が本当であれば、かなりのサイコパス。

  • 最近、再び話題になっているので、読んでみました。
    ホントなのか???って思いながらも読み進めました。
    重たい読後感です。。。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1450692

  •  
    ── 石井 妙子《女帝 小池百合子 20231108 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167921316
     
    (20231114)

  • 【誰にも知られたくなかった素顔】稀代の女性政治家か、我々が生んだ虚像か。「芦屋令嬢」育ち、謎多きカイロ時代。キャスターから権力の道へ。数奇な半生がここに。

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著者プロフィール

太田・石井法律事務所。昭和61年4月弁護士登録(第一東京弁護士会)。平成30年経営法曹会議事務局長。専門分野は人事・労務管理の法律実務。

石井妙子の作品

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