南方署強行犯係狼の寓話 (TOKUMA NOVELS)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198506148

感想・レビュー・書評

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  • 紹介文が面白いほどクソ。
    おそらく1章の途中までしか読まずに書いている。
    書き出しから主語がなく読み手を置いてフルスロットル。さては古文だな???
    主語を欠落したまま特に今後触れられることのない触りの部分をクローズアップ。
    後々「仕事はできるけど変わり者」と書かれる黒岩刑事を『お荷物扱い』と記述。なるほど嘘を嘘と見抜くスキルを試されているのだな。
    本格警察小説、との表現も微妙。読んでみると面白いミステリーではあるが警察組織のアレコレや大掛かりなトリックが肝の話ではない。
    一番笑ったのが『夫が殺され、疾走した妻が疑われるのだが…』の文。脳裏によぎる、血まみれの夫を背に夜の街を駆ける妻!!
    なるほどこれが巷で流行りの“夜に駆ける”!
    近藤史恵さんの本を読み漁っているから手に取ったが、この紹介文しか情報がなければ絶対読まないだろうと断言できる。
    中身は他の著書と同じく面白かった。

  • 事件なのかよくわからないまま話が展開して、キャラクターも興味がわかない。

  • 近藤史恵さんの警察小説。刑事に憧れていた會川圭司は、引ったくり犯を検挙する手柄をたて、大阪の南方署刑事課に配属されたが、最初の現場で犯行現場のバスルームで鑑識が発見した髪の毛を流してしまうというどじを踏んでしまいヘタレのニックネームをつけられ、捜査班を移された。組んだ相手が、黒岩という性格のきつそうな女性刑事。与えられた事件は1週間前の殺人事件。夫が殺され、犯行現場のホテルから失踪した妻が疑われるのだが…新婚の夫妻だった二人から犯行動機が見つからない…。妻が応募していたルカとオオカミの童話が…。

    會川兄弟と母親・美紀ちゃんの明るい会話が、犯行の動機となる重いテーマを和らげている。作品の中で明かされて行く童話の内容と犯行動機がうまく絡む。続編となる『黄泉路の犬』も借りてきたので続けて読んでしまう。

  • 合田接骨院シリーズとは別物で、こちらは刑事が主人公の「警察小説」であるらしい。警察小説っていうとサスペンス風でハードボイルドでバイオレンス??と妙な心配をしてしまいましたが、全くの杞憂でした。やっぱり近藤さんの、人間の痛みやきしみが見えてくる切ない話…。 

    憧れの刑事課に配属されて2日目で早々に、殺人の犯行現場に立会い、血の匂いと生々しい死体を直視し気を失ってしまった会川圭司。しかもその後、鑑識が見つけた被害者以外の髪の毛をドジって水で流してしまうという失態を犯してしまった。ガックリしているところに、その事件から外され、別の事件を捜査している刑事と組むようにと言われてしまう。黒岩という女性刑事は、神経質で気の強そう、加えて変わり者。彼女のペースが掴めず困惑してしまう上に、初動捜査も済んだという事件も伸展が見えず混迷していた。
    結婚して6ヶ月、いわゆる新婚の男性がホテルで殺害され、妻が事件後に行方不明。現場に妻・梓の指紋も発見されていることから容疑者としてほぼ確定と見られていた。だが、調べても調べても犯行の動機となるものがひとつも見つかっていないのだ。黒岩と組んで捜査を見直していくうち新たに出てきた、梓が書いて出版社に応募していたという童話の存在。そして夫婦ともに若くして再婚という事実が、鍵となりそうなのだが…。

    最初のうち読みながら、事件は(良くも悪くも)ドロドロした人間模様が動機なんだろうなぁと考えてました。
    甘かった。
    絵空事というにはあまりにも重い、社会的に、家庭内で、閉鎖的におきていた&今現在もおきて苦しむ人々がいること。悪いのは誰かはハッキリしているのに、苦しみ病んでいるのは加害者被害者両方であるということが、読みながら心にきしきしと痛みを伝えてきました。近藤作品は、本当に痛いというよりも…きしむ、なぁ…。一番近い表現は「切ない」なんでしょうか。少し違うような気もするんだけど…?
    とはいえ、心がキシキシするばかりではないのですが。意外にも天然っぽい黒岩女史の素顔とか、交番勤務の圭司の兄・宗司の惚れっぽくてお人好しっぷり、兄弟ふたりをよく知っている(当たり前)の「美紀ちゃん」の明るさに、日常ほのぼのを感じて和むのです。
    もしかして、この「ほのぼの」と「軋み」のギャップが更に効果になってるのかしら…?
    作中作の童話も心に残ります。大人のための童話なんだろうな・・・。挿絵付きで読んでみたい気がします。

  • 本編と寓話がどう絡んでくるか全く予想がつかなかった。
    上手いなーと思いました。
    この人の小説は無理なくコンパクトでスマートだから好きです。

  • かなしいね。



    男が女を下に見る感覚が分からない。じゃあ、自分は何から産まれたわけ?男に産んでもらったのかよ。


    養ってることをそこまで恩着せがましく言われても困る。その分家のことしてんじゃん。料理作って洗濯して、料理作って待ってるじゃん。してない人もいるのかもしれないけど。


    単なる役割分担だと思うんだけどなあ。片方が生活するためにお金を稼いで、片方が快適で素敵な家と生活をつくる。どっちが男でどっちが女でもいいし、お金を稼ぐのと生活を作るのをお互い半分ずっこにしてもいいし。

  • 一生懸命でもどうにもぼやぼやな新人刑事と、男社会の中で一風変わっていると評される怜悧で一匹狼な女性刑事。それに輪をかけて剛毅素朴な新人くんのお兄さん(交番勤務のお巡りさん)を時折交えつつ、たった二人で追うのはホテルで殺された男の事件。部屋には失踪した妻の指紋が残され、容疑は決定的と思われたが──。

    結末はさすが、という繊細でけれども残酷で、そしてやわらかな眼差しに満ちたものでした。ぜひシリーズ化希望。

  • 童話で始まるので戸惑いながら読み始めたが、その作中作はとてもよかった!
    DVの加害者と被害者の関係が、なんとなくわかった気がする。

  • この人の書く物語は、優しくて、易しくて、柔らかくて、そしてギュッと切ない。

    新書版で漫画のような表紙絵の本だったから、キャラクタを立てることを主眼に置いた物語なのかと思ったけれど、実際には物語の内容がギュッと心にしみました。

    ーーーーー

    主人公は大阪の所轄に配属された新人刑事。初っ端にヘマをやらかして担当を変えられ、突然、冷たい感じの女性刑事のしたで働かされることになった。担当した事件は、ホテルで男性が殺された事件。ホテルの部屋には男性の妻の指紋が残っていて、その妻は行方不明になっている…。一見したら、妻が夫を殺して逃亡した…と見える事件。でも、動機が見えない…。

    妻の行方を追いながらも動機を調べていくうちに分かってきたことは………

    ーーー

    物語メインではあるけれど、登場人物たちのキャラも良かった。

    ちょっと情けない感じの主人公と、ぶっきらぼうだけど頭の切れる先輩女性刑事。近藤さんの他の小説でも、こんな組み合わせがあったような?(笑) さらに、主人公が寮で同居している兄貴が不器用で可愛い。お兄さんが片思いの女性に作った手料理のメニューが最高に笑えました。

  • 再読。
    作中作の童話がすごくいい。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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