- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198606657
作品紹介・あらすじ
この世で最も危険な発想はどこから生まれるのか。世界を支配してきた西欧文明の政治・経済・科学の原理の奥深くに根を下ろす、「唯一至高の男性神」は、地上のあらゆる物質と生命から超自然的な力の一切を追放。その一方で、異端審問・拷問・魔女狩り等によって、人間のあるがままの心を串刺しにし、社会を操る強力な道具だてともなってきた。本書はこの恐るべき「破壊思想」と「暗黒の裏面史」を真正面から見つめ直すことによって、痛めつけられ荒廃したすべての精神に「気づき」と「癒し」をもたらしてくれる-。
感想・レビュー・書評
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著者、ヘレン・エラーブさん、どのような方かというと、次の紹介記事を見つけました。
---引用開始
レバノンのベイルートに生まれ、サウジアラビアで育つ。アメリカのコネティカット州、コロラド州およびドイツで教育を受ける。ドイツ語翻訳者、大企業の販売員、株式仲買人、神像彫刻家の経歴を持ち、現在は、リサーチャー、ライター、講演家として活動している。サンフランシスコ・ベイエリアに夫と在住。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
紀元100年から現在にかけて、幾度もの変節を経て来たキリスト教の暗部をあばく。自然崇拝を破壊し、イスラムやユダヤを襲い、魔女狩り、異端審問を行ってきた宗教の裏面史。
---引用終了
本作は、今から18年位前の、2006年に読んだ作品です。
当時、某所に投稿した記事に、感染症に関する次の箇所を引用していました。
---引用開始
動物は悪魔の手先だという考えは、ネズミの大量発生を導いた。
熱狂的なキリスト教徒は、ネコ・オオカミ・ヘビ・キツネ・ヒヨコ・ニワトリを所かまわず殺しまくった。
そうした動物の多くは、穀物を食い荒らしペストを媒介するネズミの天敵だった。
そんなわけでネズミが大量発生し、ペストが大流行したのだ。
さらに始末の悪いことに、教会公認の医者はネコとイヌがペストを媒介すると思い込み、それらの駆除を命じた。
そうすれば伝染をくい止められると思ったのだ。
もちろん、結果はその正反対だった。
---引用終了
ここは興味深いですね。
今でこそ、ペストを媒介するのはネズミだと分かっていますが、当時は分かっていなかったのですね。
世の中のバランスが崩れた時、感染症が広まるのかもしれません。
今後も、コロナのような新たな感染症が広まるのも必然のような気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
£ 4 新品
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キリスト教「正統派」という一種の理念形を想定して、その歴史的な暗黒面を描き出そうとしている。
唯一神信仰から導き出される権威主義とその裏返しとしての「異なるもの」への迫害、そして神が天にいるゆえに地(自然)を悪とみなしてきた、というのが筆者の基本的考え。
十字軍や魔女裁判、また過度の禁欲主義など確かにその通りで、キリスト者がきちんと向き合うべき歴史的事実であるのは確か。神がこのようなキリスト教を許し、またある意味で用いてこられた、その憐みの深さを思う。
しかし、著者の反キリスト教(正統派)の意識が強すぎて、論じ方がかなり雑に感じた。「結び」で著者自身も認めているように、キリスト教は実際には非常に多様であり、様々な「改革」が繰り返しなされてきた。決して「一枚岩」ではあい。
ダークサイド(罪)をきちんと見つめて悔い改める自浄作用もまた、歴史的総体としてのキリスト教の特徴であるように思われる。 -
さらっと読み流す系の本。
<メモ>
キリスト教はローマ帝国と結びついて権力を得た。
人間には自由意志はないとされた
(性欲から逃れられないのがその証拠であるとした)。
教会内のヒエラルキーを守るために、
それまで循環的だった時間観が直線的なものになった and so on.... -
もっとキリスト教のもっとキリスト教の原理主義的なところを知りたい。