キリスト教封印の世界史: 教科書が絶対教えない 西欧文明のダークサイド

  • 徳間書店 (1997年3月1日発売)
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感想 : 6
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キリスト教「正統派」という一種の理念形を想定して、その歴史的な暗黒面を描き出そうとしている。

唯一神信仰から導き出される権威主義とその裏返しとしての「異なるもの」への迫害、そして神が天にいるゆえに地(自然)を悪とみなしてきた、というのが筆者の基本的考え。
十字軍や魔女裁判、また過度の禁欲主義など確かにその通りで、キリスト者がきちんと向き合うべき歴史的事実であるのは確か。神がこのようなキリスト教を許し、またある意味で用いてこられた、その憐みの深さを思う。

しかし、著者の反キリスト教(正統派)の意識が強すぎて、論じ方がかなり雑に感じた。「結び」で著者自身も認めているように、キリスト教は実際には非常に多様であり、様々な「改革」が繰り返しなされてきた。決して「一枚岩」ではあい。

ダークサイド(罪)をきちんと見つめて悔い改める自浄作用もまた、歴史的総体としてのキリスト教の特徴であるように思われる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: キリスト教一般
感想投稿日 : 2017年3月12日
読了日 : 2017年3月12日
本棚登録日 : 2017年3月12日

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