ドリームバスター 3

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198621391

作品紹介・あらすじ

謎のフィールド"時間鉱山"へ。新キャラも登場、シェンとマエストロから目が離せない。

感想・レビュー・書評

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  • だからシェンは今でも、ハンパな疑念と確信をカクテルにして抱えている。"穴"を抜けて地球に行くのは、やっぱりデータじゃないんじゃないか。魂とか精神とかそういう言葉でないと置き換えられないものがいってしまうんじゃないか。
    でも、それもまたおかしい。魂も精神も、人間の身体が発する生体電気が起こしている反応に過ぎないって、ドレクスラー博士は言っているもんな。だったら、生きている身体の存在しない場所には、魂も精神もないはずなんだ。
     そうして考えてゆくと、結局―こっちのテーラとあっちの地球が、そもそもどういう関係にあるのかという問題が、根っこのところに横たわっていると気づかざるをえない。
     テーラは地球の何なのか。地球はテーラの何なのか。どっちかが虚で、どっちかが実なのか。裏と表なのか。それとも相互にまったく関係のない独立した存在で、「消失」の原因はほかにあるのか。
    (「モミズの決算」より)

    シェンとマニエストロが"賞金稼ぎ"をしているテーラという場所は、遠い昔に大災厄が起こり大きな"穴"が残っている。そこはなんと地球の人類の「夢の中」に繋がっているのだと言う。50人の凶悪犯罪者が逃げ込んだその異次元へ二人は金を稼ぎにむかうという筋書きである。

    しかし、三巻目にしてもまだこの「世界」の全体像が立ち現れない。それでも読ましてしまうのだから、まあ宮部みゆきのストーリーテラー振りには感心するのではある。

    一巻目、二巻目を読んだのは既に五年前だ。宮部の久し振りの本格SFなので期待していたのだが、いっこうに全体像が現れないし、かつ刊行も遅いのですっかり忘れていたが、この前図書館を見ると三巻目と四巻目が出ていて、なんと人気作家なのに借り出されていなかった。(岡山県立図書館は一冊のみ購入の"主義"を取っている。私は大いに支持しているが、当然人気作家の本はいつも借り出し中で原則図書館には"存在"しない現象が起こる)この本も刊行から五年経ったし、今流行の推理小説でもファンタジーでもないので、一時のこういう空白が起きるのだろう。本格SFと言いながら、やっぱり宮部は宮部であり、日本のS.キングなのである。

    冒頭引用した一文がこの「世界」を結局言い当てているのではないかと思う。「胡蝶の夢」の「蝶」の立場から描いた話なのかもしれない。宮部の世界は宇宙を描いても小松左京の「はてなき流れの果てに」のように、わけの分からないけれども骨格のしっかりした宇宙観を描くことはない。結局心の問題に入っていくのである。けれども、心そのものが宇宙以上に広く果てしないものだという意味では、彼女の立場は一貫していて、「模倣犯」(現代推理小説)も「ICO」(ファンタジー)も「日暮らし」(時代小説)も、結局は同じテーマを描いているのではある。

  • 本屋でこの本を見つけたトキは、嬉しすぎて、1も2も持ってないくせに、即決でお買い上げしました 笑。
    なんてったって2年も待ち続けた待望の新作だから。思えばドリームバスターがあたしの宮部みゆきとの出会いだった。ドリームバスターなくして、宮部みゆきは語れません。

    地球の人間の夢に忍び込んだ脱走犯と、それを捕まえにきたドリームバスター。まるっきりのフィクションなんだけど、巧妙な物語には、現実味が感じられて、恐ろしくなったりする。3巻で明らかにされた過去、そして新たな謎、新たな展開。一体いつまで続くんだ?笑。結末が知りたいようで、終わってしまうのは悲しい気がする。でもとりあえず4巻が楽しみ♡
    そしてシェンがかっこいい♡笑

    人生でこの物語に出会えたコト、それに感謝します。まだ出会ってない人は、是非読んでください。

  • うわー!もったいないことした!!
    とあまりのすばらしさに自分の愚行を後悔してます。シリーズ1、2は読んでいたけれどその後「何処まで読んだかな〜」というなんとも馬鹿らしい理由で続きを手に取るのを敬遠していたのですが!
    宮部ファンタジー好きな方は是非!ここまで読みに来てください!って感じの感動でした。
    章ごとに区切られながら進んでいく物語。次も一緒に借りればよかった!!とまた後悔が重なる凄い気になる終わり方でした…!

  • 1

  • 引き続き理恵子が登場。シェン達とは会わないが、不思議な幻覚を見るようになる。赤いドレスの女はおそらくローズなんだろうが、理恵子の近辺に現れるということは、宿主?が近くにいるということなんだろうか。しかし、理恵子の対応の下手さはみててちょっといらっとしてしまう。
    モズミとタカシの関係、消えたロボット、時間鉱山と、新たな謎が現れ、いったいどうなっていくのか先が気になる。カーリンが素朴ながらかなりできる子で好感が持てる。

  • 夢の世界だけじゃなくて、時間の概念まで!
    ゆっくり読まないとついていけない….

  • 理屈がちょっと難しくなってきたかな。
    面白いけど。
    番犬かっこいいなーてのと、時間鉱の話が途中で次の巻にいってしまうので、モダモダする。

  • 1・2を読んでから、久しぶりなのに
    彼らの設定の中に割とスムーズに入れた。

    前回までの事がおぼろげなんだけど
    オモシロク、すっと入れた。

    ネタを拡げてみたって感じで
    4が楽しみ。

  • 読了メモ

  • 宮部みゆきさんの世界観すごい。
    リアリティあるだけでなく、
    ユニークさというか、斬新というか、
    自分の中にはない世界観で、
    読み進めるときに予想がつかなくて、
    素直にドキドキワクワクする。
    この先どーなるの!?

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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