アメリカ経済大復活! 2011年はドルと米国株で儲けなさい

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198629892

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  • リーマンショックが起きる前までは、「最終的にはドルは強い」とか「アメリカ経済は底堅い」という論調の本も一部ありましたが、最近ではあまり見かけることはなくなりました。近い将来には1ドルが50円になるという意見もあります。

    この本の著者である中丸氏は、来年(2011年)からはアメリカ経済が持ち直して、米ドルが強くなり、米国金利が上昇し、米国株を上がると予想しています。外国預金をどの通貨ですべきか悩んでいる私にとっては参考になる意見もありました、この本では日本円とユーロはあまり魅力がないようですね。

    最近何冊かの本で、金価格が下がると述べていて気になったのですが、中丸氏も同様の内容であったので気掛りなポイントでした。原油や他の商品と同じように、本来の需給よりもかなり投機のマネーが流入しているからいつかは調整されるのでしょうか。

    以下は気になったポイントです。

    ・ドル終焉理論は完全な誤り、理由うとして、1)オバマミックスは今後とも成功してアメリカ経済は成長、米ドルが復権する、2)米ドルに代わる通貨は現れない、である(p22)

    ・欧米主要国の長期国債が買われ、利回りが低下することで、内外金利差が縮小して長期金利の下げ余地の乏しい円が消去法的に買われているに過ぎない(p27)

    ・次のドル急騰のきっかけは、FRBの今後の利上げにあるのは間違いない(p36)

    ・2008年以降にドル安、円高傾向があるが、ドル終焉よりは、ポンド安やユーロ安が目立つ(p38)

    ・基軸通貨にあった英国ポンドは、対外債務が累増し、アメリカの約3倍も高いインフレ率に陥った結果(p44)

    ・欧州銀行におけるストレステストは結果は問題ないとされたが、アメリカと異なり詳細は一切発表されていない(p64)

    ・現在の実際の日本のGDP水準は日本経済の実力(完全雇用GDP)と比較して、GDPの約6%(90兆円)も存在する(p103)

    ・リーマンショックが発生する2007年ころまでは、ギリシアでさえ財政赤字の対GDP比率は大きくない、スペインは黒字であった、財政赤字が拡大したのは、1)税収落ち込み、2)財政支出の増大、3)減税や積極的な財政政策、4)資本注入や政府保証、である(p111)

    ・日本の長期国債は、予測可能な10年程度の将来においても魅力的な投資が期待できる、だから国債が買われて利回り低下している(p117)

    ・日本政府の予算規模は2010年度で100兆円規模でGDPの2割、日本経済の残りは、家計と企業部門で成り立っている(p120)

    ・日本の金融機関は、毎年ゼロ金利の預金金利と国債利回りの鞘を抜いて大儲けしている(p121)

    ・日本が巨額の経常収支黒字を毎年生んでいるのは、国内貯蓄が国内投資を上回る状態を続けている、つまり、経済の潜在的供給力に対して総需要が足りない(p124)

    ・デフレギャップ(=実際のGDPが完全雇用GDPを下回る)ときは、これを埋めるために、積極的な財政金融政策が必要となる(p135)

    ・日米の長期金利差拡大は、ドルの上昇=円の下落につながりやすい(p144)

    ・ユーロ圏で大きな債券市場は、ドイツ国債、仏国債、スペイン国債であるが、アメリカやイギリスに比べて規模が小さく流動性が低い(p162)

    ・ギリシアはユーロを離脱すれば、自国通貨の切り下げによって緊縮財政にともなう物価や賃金の大幅下落と高失業の長期化が防げる(p167)

    ・日本株で保有するとすれば、ダウ平均に連動する影響が大きいもの(JFE、ホンダ、キャノン、信越化学、コマツ、日産自動車、新日鉄、トヨタ等)が良い(p224)

    ・実質米短期国債利回りと、金や原油価格との相関関係がある、利回りが上昇すると、金価格は下がる(p237、238)

    ・米政策金利が引き上げられて、実質1%になれば、金価格は1オンス700ドル、原油価格は50ドル程度まで下落する可能性がある(p240)

    ・楽天証券で米ドルMMFを保有していれば、MMFからアメリカ株式を購入可能になる(p248)

    ・近未来の米ドル相場は、2010年末には105円、2011年末には115円、2012年末には130円まで円安ドル高になる可能性がある(p249)

    2010/08/22作成

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著者プロフィール

元世界銀行エコノミスト。経済評論家。1978年、一橋大学経済学部卒、米イェール大学大学院修士課程、ジョージ・ワシントン大学大学院博士課程修了。
日本輸出入銀行(現国際協力銀行)、世界銀行エコノミスト、JPモルガン主席日本エコノミスト、ロイター・ジャパン投資調査部長などを歴任し、現職。
最新の経済データを駆使し、市場の変化を読み解く独自の理論が高く評価されている。
著書に『マネー資本主義を制御せよ!』(朝日新書)、『日本経済大逆転!』(徳間書店)、『緩和バブルがヤバい』(ビジネス教育出版社)などがある。

「2021年 『日本復活のシナリオ コロナ禍を乗り越え、世界の資本主義は復興に向かうのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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