- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198645595
作品紹介・あらすじ
「草どん、語ってくれろ」どこからともなく現れた子狐は、目の前にいた草に話しかけた。物語をせがむ子狐に、草どんは重い口をひらく……。
子狐に山姥、乙姫に天人、そして龍の子。民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う!
「俺たち、本当に存在しているんですか?」
やがて物語は交錯し、雲上雲下がひずみ始める。物語が世界から消えてしまうのか?
不思議で懐かしい、ニッポンのファンタジー。
感想・レビュー・書評
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中央公論文芸賞受賞(2018年/第13回)
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雲上雲下
著作者:朝井まかて
発行者:徳間書店
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
昔話の新解釈ありそうでなかった大人の為のファンタジー -
はじめのうちは、何だ昔話を書き直したのかとちょっとがっかりし、投げ出そうかなあと思いながらも少しずつ読み進めた。小太郎の話から、これはと感じ読むのが楽しくなった。あとはズンズン。朝井まかてさんは初めてだがすっかりやられた。たくさんの受賞もうなずける。
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草じいが、子狐や山姥に語る昔話。
やがて判明する草じいの正体と大事な役目とは?
雲上と雲下の関係を描く、ファンタジー。
章ノ一 小さき者たち・・・草じいが語る昔話は、団子地蔵、
見るなのタンス、田螺長者、猿の生き肝、猫檀家。
章ノ二 勇の者たち・・・小泉小太郎(龍の子太郎の原型)
貧乏神や笠地蔵も登場。
章ノ三 物語の果て・・・つつじのむすめと山姥。
語りから明らかになる草じいの正体と雲上の話。
そして、その役目が重大であったことに気づく。
参考文献、献辞有り。
草どんが子狐や山姥に語る形式の、創作昔話が中心で物語が
進行します。松谷みよ子さんへのオマージュかとも思いましたが、
この物語では人の抱える問題が露わに表れています。
パワハラ、セクハラ、いじめ、猜疑心に忖度・・・現代社会と同様。
それでも、小太郎の物語のような、切なさが心に響く佳品もある。
だが、語りで生き長らえた、あまたの昔話に登場する者たちの
出現によって、話の様相は変わります。草じいとは、何者か?
雲上での、雲下の民草の間で語られる物語を集め、
神々に披露する、お役目。物語こそが雲上と雲下を繋ぐ。
物語を紡いでいるのは、人々の心。
物語が語られなくなることの危機感、独特の神々の世界観等、
独創的なファンタジー作品だなぁと思いました。
語り継がれる大事なものが失われつつある、現代日本。
伝統や知恵等、その危機感を昔話に例えて、知らせています。
そして最後、まったく無くなったわけではない。
まだまだ物語を語る・・・受け継ぐ心があるという、
そんな希望を感じました。 -
2020.09.12
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期待値が高かったせいかがっかり。
民話的な話がちょっとタルかった。 -
読み終えて寂しい気持ちになった。
このお話にあるとおり、
古いものはどんどん忘れ去られていく。
それを誰かが伝えていかない限り。
わたしはその生き残りのひとりなんだなぁ。
ちょっと生意気な子狐と、
正体不明な草どんとのやりとりが
かわいらしくて和んだ。 -
テレビで日本昔話をまたやらないと