- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198647483
作品紹介・あらすじ
7年生のジュリアは韓国系アメリカ人。子どものころカイコを飼ったことがあるという母さんの提案で、親友のパトリックといっしょに、カイコを育てて生糸をとる自由研究をすることになります。「韓国っぽいから」と研究に乗り気でなかったジュリアも、飼ううちにだんだんカイコがかわいくなってきますが…? カイコの飼育をきっかけに、アイデンティティの悩みに向き合うことになる少女の思いを丁寧に描きます。前向きで明るくさわやかな読み物。
感想・レビュー・書評
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楽農クラブでの自由研究で、「カイコを育てて絹糸をとり刺繍の作品を作る」ということに取り組んだ、韓国系アメリカ人のジュリア。同じ7年生の親友パトリックと協力してやっていく。
この取り組みを通して、いろんなことを知ったり(カイコのこと、生糸をとるためにはカイコを殺さなくてはならないこと、循環農法のこと)、いろんな感情を知ったり(そもそもカイコの飼育が韓国っぽく感じてやりたくない、そのためにパトリックにちょっと意地悪な行動をとる、お母さんは人種差別主義者なのかと疑う等)する。そこで、ジュリアは自分なりに納得できるまで深く考えて前に進んで行くのがとってもいいと思った。
また、2人の周りにいる大人たちが温かく見守ってくれているのもとても良いなと思う。
中学生の年齢で自由研究かできれば、こんなに得るものが大きいのかと感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
7年生(中学生)のジュリアは、韓国系アメリカ人。親友で近所に住むパトリックとカイコを飼育して、絹糸で刺繍作品を作る自由研究に取り組む。親友との関わりや協力してくれる人の中でそれぞれの個性や、ルーツ、知らないことからくる認識の違いや違和感に1つ1つ真摯に向き合う主人公は、聡明な中に幼さもあり設定の年齢らしく応援したくなる。
著者あとがきに、文中に出てくる本を紹介し、実際に調べる事ができるのも良かった。
著者は『モギ〜ちいさな焼きもの師』で2002年ニューベリー賞を受賞した、韓国系アメリカ人のリンダ・スー・パーク氏。
小学生でも読めるが、理科でカイコを育てる3年生では、少し難しいかも?と感じた。けれども、最近ではだいぶ背伸びをして本を選ぶ子も多いので、全てを理解、想像ができないとしても他の本にあたるよりも良いかもしれない。 -
分類的には児童文学ですが、主人公は中学1年生の設定なのでYA世代にも。韓国系アメリカ人であるという自分のアイデンティティに友人と蚕を育てながら向き合い成長していく。
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ブックトークで、「糸」をテーマにするため、検索していて出会った。
「カイコを飼育して、糸をとって、それで刺繍作品を作る」というメインの筋だけでも、次々と問題が起こり、どうなるのか、という読者をひっぱっていく力があって、楽しく読めた。
その中で、子どたちが向き合う色んなテーマが織り込まれ、詰め込みすぎな気もするが、
大人の私としては、上手いなぁ、と感心。
登場する人たちの会話もいいし、最近読んだ児童書の中ではピカイチ。