ジュリアが糸をつむいだ日 (児童書)

  • 徳間書店
4.13
  • (6)
  • (6)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647483

作品紹介・あらすじ

7年生のジュリアは韓国系アメリカ人。子どものころカイコを飼ったことがあるという母さんの提案で、親友のパトリックといっしょに、カイコを育てて生糸をとる自由研究をすることになります。「韓国っぽいから」と研究に乗り気でなかったジュリアも、飼ううちにだんだんカイコがかわいくなってきますが…? カイコの飼育をきっかけに、アイデンティティの悩みに向き合うことになる少女の思いを丁寧に描きます。前向きで明るくさわやかな読み物。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 楽農クラブでの自由研究で、「カイコを育てて絹糸をとり刺繍の作品を作る」ということに取り組んだ、韓国系アメリカ人のジュリア。同じ7年生の親友パトリックと協力してやっていく。
    この取り組みを通して、いろんなことを知ったり(カイコのこと、生糸をとるためにはカイコを殺さなくてはならないこと、循環農法のこと)、いろんな感情を知ったり(そもそもカイコの飼育が韓国っぽく感じてやりたくない、そのためにパトリックにちょっと意地悪な行動をとる、お母さんは人種差別主義者なのかと疑う等)する。そこで、ジュリアは自分なりに納得できるまで深く考えて前に進んで行くのがとってもいいと思った。
    また、2人の周りにいる大人たちが温かく見守ってくれているのもとても良いなと思う。
    中学生の年齢で自由研究かできれば、こんなに得るものが大きいのかと感じる。

  • 7年生(中学生)のジュリアは、韓国系アメリカ人。親友で近所に住むパトリックとカイコを飼育して、絹糸で刺繍作品を作る自由研究に取り組む。親友との関わりや協力してくれる人の中でそれぞれの個性や、ルーツ、知らないことからくる認識の違いや違和感に1つ1つ真摯に向き合う主人公は、聡明な中に幼さもあり設定の年齢らしく応援したくなる。
    著者あとがきに、文中に出てくる本を紹介し、実際に調べる事ができるのも良かった。
    著者は『モギ〜ちいさな焼きもの師』で2002年ニューベリー賞を受賞した、韓国系アメリカ人のリンダ・スー・パーク氏。
    小学生でも読めるが、理科でカイコを育てる3年生では、少し難しいかも?と感じた。けれども、最近ではだいぶ背伸びをして本を選ぶ子も多いので、全てを理解、想像ができないとしても他の本にあたるよりも良いかもしれない。

  • 分類的には児童文学ですが、主人公は中学1年生の設定なのでYA世代にも。韓国系アメリカ人であるという自分のアイデンティティに友人と蚕を育てながら向き合い成長していく。

  • ブックトークで、「糸」をテーマにするため、検索していて出会った。
    「カイコを飼育して、糸をとって、それで刺繍作品を作る」というメインの筋だけでも、次々と問題が起こり、どうなるのか、という読者をひっぱっていく力があって、楽しく読めた。
    その中で、子どたちが向き合う色んなテーマが織り込まれ、詰め込みすぎな気もするが、
    大人の私としては、上手いなぁ、と感心。
    登場する人たちの会話もいいし、最近読んだ児童書の中ではピカイチ。

  • ないとうふみこ先生の通信講座で少し取り扱われて、気になって読もうと思っていた。韓国系アメリカ人のジュリアが、自分の韓国系というアイデンティティに悩んだり、母の人種差別意識に気づいたりしながら、親友とかいこを育てることで自分の気持ちに向き合っていく。感情的になることはほとんどなく、しっかりと頭で考えられる子だけど、弟に対してだけは感情的だ。それも親友の影響で弟の扱い方も学んでいく。私はかいこの一生についても一通りの知識しかなかったので、興味深く読めたし、子供たちに研究とはこんなふうにやるんだということも学べると思う。ジュリアの心理がすごくわかりやすく、寄り添って読める。

  • 子どもの頃、学研で申し込むと送られてくるキットでカイコを育てていた事があるので、すごくワクワクして読んだ。多民族国家に生きる子どものアイデンティティや、社会の中の多様性、環境問題といった事がテーマになっていると思うけれど、ストーリーに無理がなく入り込めた。
    子どもの心で、これはアイデンティティの話だ、とか意識することなく読んでみたかったな。
    育てたカイコを殺せない、と悩むところで、子どもの頃読んだジャンボコッコの伝記という本を思い出したけれど、微妙にテーマが違うな、と感じる。命を食べる、という道徳的なテーマと、食に限らない現代の子を取り巻く環境を考える、という違いだろうか?

  • 「木槿の咲く庭 スンヒィとテヨルの物語」復刊されないかな?

    徳間書店のPR
    7年生のジュリアは韓国系アメリカ人。子どものころカイコを飼ったことがあるという母さんの提案で、親友のパトリックといっしょに、カイコを育てて生糸をとる自由研究をすることに。「韓国っぽいから」とはじめは乗り気でなかったジュリアだが、やがて…?
    カイコの飼育をきっかけに、アイデンティティの悩みに向き合うことになる少女の思いを、ニューベリー賞受賞作家が丁寧に描く、明るくさわやかな読み物。
    http://www.tokuma.jp/kodomonohon/jbookinfo?isbn=9784198647483

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1960年米国イリノイ州生まれ。韓国系米国人二世。子どものころから詩や物語を書くのが好きで、雑誌に投稿していた。スタンフォード大学英語科卒。石油会社勤務、結婚、出産を経て、子ども向けの物語の執筆をはじめ、『モギ ちいさな焼きもの師』(あすなろ書房)で2002年ニューベリー賞を受賞。作品に『魔法の泉への道』(あすなろ書房)、『木槿の咲く庭』(新潮社)などがある。

「2018年 『ジュリアが糸をつむいだ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リンダ・スー・パークの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ニコラ・デイビス
戸森 しるこ
いとう みく
アラン グラッツ
キンバリー・ブル...
凪良 ゆう
安田 夏菜
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×