銀閣寺の惨劇 (徳間文庫 よ 6-12)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198907259

感想・レビュー・書評

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  •  銀閣寺でアルミ箔に包まれた遺体が発見される。女性にまつわる悪評や疑惑を持つ南雲が関係しているようだった。ロスで起きたレコーディングスタジオでの密室自殺事件にも、この男が関わっている。ミステリー作家朝比奈耕作が、トリックに挑む。

     金閣寺から連続の再読本です。
     金閣寺はけっこう楽しんで読めたので、銀閣寺とのワンセットでとんでもない結末になることに期待感満載で読み始めましたが、事件構成、内容、トリック、登場人物などどれをとっても好感を持つことが出来ませんでした。特に、ロス事件の真相は、吉村先生らしいっちゃらしいが、説得性は限りなく・・・
     トリッキーな吉村先生だからこその、新たな試み(2冊セットでの仕掛け)は、消化不良と感じざるを得ません。
     つらずらと「日本人」を論ずるあたりは、吉村先生のアイデンティティに拠するものかと。わたしは、興味を持って拝読させていただきました。
     ちなみに、絶対に金閣寺から読んだ方が良いと思います。

  • ラジオのCMで気になり購入。

  •  うーん…。
     『金閣寺の惨劇』とこの『銀閣寺の惨劇』の両方を読むと、いろいろとどんでん返しを味わえる、ということでしたが。
     まぁ、確かにどんでん返し的な感じのものもあったけれど、いや、別にどんでん返しでもないよ、て感じかな。
     いや、よく読めば、いろいろなどんでん返しがあるんだけど、ただ読んだだけじゃそれが分かんないから、読み終えたときの、「おぉ!」て気持ちに繋がりにくい。
     とりあえず、気持ち悪いオッサンが出てくるお話でした、としか言えなくなってしまう…。

     あと、『金閣寺の惨劇』でも感じたけど、朝比奈さんが活躍してる感がない。
     そして、金閣寺のほうもそうだったけど、人間ドラマが過ぎていて、ミステリを読んでる感がしなかったな…。

     金閣寺と銀閣寺、どっちから先に読んでもいい、とはなってるけど、人物像の把握のためにも、出来事の時系列的にも、金閣寺のほうから読んだほうが分かりやすい気がする。
     でも、そうすると、それはそれで、金閣寺のほうに思わせぶりに出て来た人たちは、ホントにただの思わせぶりだったんだー、て気持ちになるけど。

     それにしても、朝比奈さん、カフェオレ色(…てどんな色なの)の髪に、ビジュアル系のメイクをしているという風貌らしいけど、いや、このシリーズ、そんなにいろいろ読んでないから、その容姿にも意味はあるんだろうけど、想像すると、すごい見た目の推理作家だよね。

     あと、思った以上に若いんだよね、朝比奈さん。
     29歳とか。
     もっとずっと年配の人に感じる。

  • 『金閣寺の惨劇』の姉妹本。金閣寺の事件の後、銀閣寺でも顔にアルミホイルを巻かれた死体が発見される話だが、謎解きとしてはその前にロサンゼルスで起きた、録音室の中という完全な密室内での銃殺事件の方に重点が置かれている。そして、『金閣寺』とどちらを先に読んだとしても、二冊目読了時にどんでん返しが待っている。

    ロサンゼルスの事件の方は、途中で何度も言及される「日本人の特性」が真相解明のヒントになっているのだが、銀閣寺の事件共々最後の逆転劇のインパクトの前に霞んでしまった。読み終わってすぐには理解できなかったが、20分後くらいにようやく意味が分かった。

    というわけで、理解した範囲内での真相。まず、『金閣寺』と『銀閣寺』のエピローグは時間・場所・登場人物が共通している。つまり、由多佳のフィアンセは麻里亜であり、場所はインドネシアのムンドゥット寺院。場所については『金閣寺』だけでは絶対に分かりようがない。次に、エピローグがインドネシアなら『金閣寺』冒頭に結子達が訪れていた場所もインドネシアである。つまり結子は京都で起きた金閣寺の事件の翌朝にインドネシアにいたわけで、アリバイという言葉を持ち出すまでもなく犯行は不可能。よって金閣寺の真犯人は由多佳で、余命の少ない結子が罪を被ったことが分かる。兄妹で婚約している問題については、恐らく由多佳はフィアンセが実妹だということに気付いていない(麻里亜に昔の鶴子の面影はないと記述がある)。つまりこれが、『銀閣寺』で度々示された鶴子の家族への復讐と考えることができる。『銀閣寺』を読む限りでは由多佳が母を殺したり義妹が犠牲になるのは想定外だったようだが、『金閣寺』の事件の黒幕は間違いなく彼女。『銀閣寺』で南雲が徹底的にイヤな奴として書かれていたのも、麻里亜の異常性に気付かせないための目くらましだったのかもしれない。

    というわけで、二冊がかりのトリックは実に巧妙なものであった。『金閣寺』読了時点での消化不良感も解消されたので満足している。残念ながら人物予想はフィアンセ以外外れてしまったが。でも、エレンはともかく、鈴木は運転手として活躍するシーンがあると思ったんだけどな。

  • うーん、微妙
    どんでん返しってほどのどんでん返しじゃないし。
    こっちから読んでたら、また違った感想だったのかな?
    でも金閣から読んで正解だな。

  • シリアスな文とかはなく読みやすいけどそんなにおもしろくはないかな

  • 朝比奈耕作シリーズ

    同居する南雲圭一郎に結婚を申し込まれた阿部麻里亜。マリアの本名が鶴子であることなど過去を握る南雲。南雲の狂気に恐れたマリアは南雲の友人である駒田実に相談を持ちかける。駒田が語る3か月前のロスでの密室殺人事件。ラジオのスタジオで拳銃で撃たれた綿引和則。南雲と杉山淳子をめぐり対立していた綿引。事件の真相に迫った淳子の死。銀閣寺で首から上をアルミホイルで巻かれた遺体。マリアがはまった罠。

     1997年7月10日購入

     1997年7月11日読了

     2012年1月20日再読

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著者プロフィール

東京生まれ。一橋大学卒業後、ニッポン放送ディレクター、編成プロデューサー、 扶桑社書籍編集長を経て1990年より専業作家。
1986年扶桑社在籍中に執筆した『Kの悲劇』でデビュー。2009年10月発売の『蛍坂』が200冊目の著作。
2011年9月ライフワークの『魔界百物語』がスタート。100本の書き下ろしミステリーに挑む。

「2012年 『幻影城の奇術師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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