J 少女たちは破壊を謳う (【徳間文庫】)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198935313

作品紹介・あらすじ

テロが日常化した東京。無為な日々を送っていた十九歳の秋生の人生は、Jと名乗る女性を助けてから大きく変わった。Jの孤高の美しさに強く惹かれる秋生だが、常にテロ現場に現れる彼女に疑念も抱く。しかも大人気アジアン・ユニット『スカイ』のメンバーがJの行方を求めて秋生に接触してきた。Jの目的と正体とは? そして親友がテロに巻き込まれた時、そこにJの姿を見た秋生は……。

感想・レビュー・書評

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  • 最近の五條先生のノンシリーズでは一番でした。
    イマイチ裏表紙のあらすじと帯の煽り文句が内容に一致していないような気がしなくもないですが……。

    秋生とJが「3Way waltz」の恭祐と由沙を彷彿とさせて、懐かしくも楽しく読めました。由沙さん好きなんです。また出ないかな。

    それはさておき、内容はとにかく五條節炸裂。
    テロの外注という発想はさすが五條先生。「島」の理想と現実が重い。結局何の解決も得られないままお話は終わるわけですが、これから「島」はどうなっていくんでしょう。

    重くなりがちな話の中で、秋生がキックボクシングに目覚めて努力を始めるエピソードが輝いてるなあと思います。もっとも、秋生のキックボクシングの世界も、結局はテロを仲介にして「島」と交錯してしまうのですが。久野がテロに巻き込まれた後の場面は本当に胸が痛みました。

    あと、個人的に、時津夫婦が怖すぎる!
    明らかにどっちもどっちという気がします。
    この人たち、一体お互いの何に惹かれ合ったんだろうなあと思ってしまいました……娘さんが可哀想です。

  • そこそこ面白いけど深みは感じられなかった。というか、語りすぎなのかも?

  • 五條瑛の話はおおむね厚みがあるので読み始めるのに覚悟がいるのですが、かわりに読み出したら止まらないという定型にガッツリはまった話でした。最後まで読み切って満足のため息。発売当初タイトルにそそられず手に取っていなかったのを後悔しました。

  • 楽しく(?)読めた。
    内容が内容だけに、「楽しく」という表現には語弊が生じるかな。
    小説を読むという行為を楽しく進められた、という意味。

    謎の提示の仕方も回収の仕方もよく考えられていて、次はどうなる?その先は?と、読者の興味をぐいぐいと引っ張る手法は、いいね。

    フィクションとして楽しく読めたが、ではその先・・・何が残ったか?と問われると、何と答えるべきか・・・と、そんな作品。
    (アジアの貧困の実態等については、まあ、この作品に限らずここ数年でいくつかのフィクション・ノンフィクションを通して知った。)アジアの現実を訴えるのがメインテーマだったのかというと、そうでもなさそうだからね。

    いずれにせよ五條瑛さん(ほかには「ROMES06」しか知らないけど)の作品は、楽しく読めることは間違いなさそう。他の作品も、機会があったら読んでみよう。

    ★3つ、7ポイント。
    2018.0514.古。

    ※スパイ天国ニッポン。「スカイ」に限らず、昨今の韓流グループの活躍に被る。(作品の初出は2007年だから、冬ソナなどの韓流ブームよりはしばらく後だね)

  • 二人の男の違いが面白かった。
    他の五條作品と共通しているテーマが分かりやすく、一番共感して読める。
    師弟愛を越えた絆に安心して読了。

  • 社会や体制に対する不満を解消するための策として、実行のみを担当するテロ集団と資金提供のみを担当する活動家集団の分業制が確立したという設定の物語。
    五條氏が得意とする革命小説の一種です。

    現時点ではフィクションとして受け止めるものの、背景となる社会情勢はあながち荒唐無稽でもなく、微かなリアリティを感じるところに怖さがあります。
    ただし、五條作品につきものである徹底的に冷酷で利己主義な悪役が存在しなかった分だけ、登場人物たちが直面する運命の迫力が不足しているようにも感じました。

  • 苦しい物語だった。
    世界平和なんてあるはずもない。だからといって諦める訳にはいかない。

    物語は答が出ないまま破綻に向かったけど、それは現実においても同じだという気がする。

  • 主人公の男の子がやっと必死になれるものを見つけてから、結局はみんな自分の事しか考えてないと感じることが切ない。一つ一つの伏線が繋がっていくのもいい。

  • これ、単行本で読み逃してました。
    五條さんの王道。安心して面白い。

    テロを題材に取り上げながら、描かれているのは決してテロへの礼賛ではないところが、私が五條さんを読み続けられる理由なんだと思う。
    信念に拠ることは依存でもあるということ。
    救いは必要ないこと、けれどもそれは絶望することではないということ。
    誰かを傷つけていない人などいないのだ。だからこそ、自分が傷つけられることを恐れ、怒りをもつのではなく、傷つける己を自覚し、傷を受け入れようとするアキオに光を見出したジェイを想う。

  • おもしろかった。
    ページをめぐる手が止まりませんでした。
    なんか、どの登場人物も憎めないなぁ~。

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著者プロフィール

大学時代は安全保障問題を専攻。大学卒業後、防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て1999年に北朝鮮問題を題材とした『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。2001年『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。

「2018年 『焦土の鷲 イエロー・イーグル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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