インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936242

作品紹介・あらすじ

一本の電話に、月刊グローブ編集部は騒然となった。男女五人を凄絶なリンチの果てに殺した罪で起訴された下田健太。その母である下田茂子が独占取材に応じるというのだ。茂子は稀代の殺人鬼として死刑になったフジコの育ての親でもあった。茂子のもとに向かう取材者たちを待ち受けていたものは…。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったが、もう何がなんだか…。
    緻密な人物構成に混乱しそう。
    前作で、更なる悪事が起こりそうだと思ったらやっぱり……。
    前作はフジコの「衝動」であったが、今作は「真実」の他に、「復讐」「怨念」といったところか。
    フジコはもうこの世にはいないのに、こんな形の復讐があるとは!

    物語は三人の取材者目線で進むが、フジコ絡みの復讐にたぶらかされてしまっている。
    登場人物たちがマインドコントロールされ、それぞれ何かに追い詰められているようであり苦しくなった。

    「彼を“化け物”に育て上げたのは、彼の上手い言葉に騙されて、言いなりになっていった被害者、人間の脆さ」ですと!?
    「この事件は特異な事件ではなく、いつどこで起きても不思議ではない、支配被支配のゲーム。家庭、学校、会社など、どのコミュニティでも見られる、人間の本能の快楽」ですと?

    身の周りに潜む、怪しさ危うさの存在に敏感にならないと!と思った。

    元凶はあの人がハマっている新興宗教か。
    あのオバサンが一番嫌い。中学の時の英語の先生と人物が被った。
    しかしあの人たちの最期はあれで良かったのか?
    前作で残された“小説”など、彼らの悪事を世に知らしめる材料はあったはずだが、それも陰の力によって邪魔されたのか。
    彼らの最期があっさりとして悔しい気持ちになり、すっきりしない読後感。これもイヤミスの醍醐味なのだろう。

  • 前作の殺人鬼フジコの衝動を読了後、小冊子の私は、フジコと併せて即読一気読み。

    フジコの死刑執行後の出来事と、前作では不透明だった点、新たに明らかになった点が線となっていく展開は秀逸。改めて著者にしてやられた。

    今回の悪党外道野郎の鬼畜ぶりには不快しかなく、私が欲したイヤミスの結末には至らなかったことだけが残念。

  • 解説サイトに頼らず全貌を理解できるまでの読解力を身に付けてから読むべきだった...!!!
    なんか全力で楽しめた気がしない。勿体無いことをしている気がしてならない。

  • 『殺人鬼フジコの衝動』を読み終えレビューを投稿後、読了した本からのおすすめで本作品があることを知り、読まずにいられませんでした…。両親と妹を惨殺されたフジコを引き取り育てた下田茂子の息子、下田健太が男女数名を殺した罪で起訴される…証拠不十分で無実となる可能性が高い中、下田茂子が取材に応じることになった…。今作も後味の悪いイヤミス…だけど、前作より読みやすいと感じました。悲しいラストになり、ずーんと重い気持ちになりましたが、そうだったのかぁ~と驚いたり納得したりと、一気読みしちゃいました。

  • 下手に逃げようとするから、この男は追いかけてくる。下手に汚水を避けようとするから、どうしてもそこに足をとられてしまう。なら、自分から汚水の中に飛び込めばいい。頭のてっぺんからつま先まで汚れきってしまえば、逆に楽になれるかもしれない。抗うからいけないんだ。受け入れてしまえばいい。それがたとえ降参の白い旗だったとしても、そうすることで今の疲労から解放されるなら。(P.237)

    そう、゙嘘‪”‬とは、自身の良心との葛藤だ。それは、生まれ落ちた瞬間から繰り返し躾られた結果だ。゙嘘‪”‬をつくと良心が痛むように教え込まれるのだ、思考の奥深くに、そして体の隅々に。だから、ちょっとした嘘でも、人は汗をかき瞬きの回数を増やし、または、声を震わせ、ろれつが怪しくなる。そんなふうに体が反応するように、叩き込まれているのだ。そう、条件反射なのだ。(P.248)

  • 「殺人鬼フジコの衝動」の続編。
    前作のネタバレ編みたいな…
    まぁ、前作のモヤモヤ感は、かなりスッキリしたけど、イヤミスなんで…それもどうかとは思う…
    血は争えんというか、血ばっかりというか…この血縁関係者は、そんな事する人ばっかりやん。その周りの人もやけど…
    教団も怪しさ満点!
    インタビュー形式で進み、新事実も発覚!
    前作読んで、すぐなんで、忘れてる事も少なく納得感はある。
    ドロドロしてる内容やけど、文章自体は読み易く、スイスイ読める!

  • ★3.5

    一本の電話に、月間グローブ編集部は騒然となった。
    男女5人を凄絶なリンチの果てに殺した罪で起訴された下田健太。
    その母である下田茂子が独占取材に応じるというのだ。
    茂子は稀代の殺人鬼として死刑になったフジコの育ての親でもあった。
    茂子の元に向かう取材者たちを待ち受けていたものは…。

    「殺人鬼フジコの衝動」の続編。
    衝動では語られていなかった真実が明らかになる。
    色んな謎が明らかになった。
    やっぱり、善人面していた茂子怖すぎ。
    サイコパスの血って受け継がれていくのだろうか…。
    カルマは巡るのだろうか…。
    簡単に他人を洗脳して、支配して行く。
    北九州監禁殺人事件や尼崎事件をモチーフにしているのでしょうが、
    何故事件の被害者達は、他者に助けを求めなかったのか、
    追い詰められた人の心理がとてもリアルに描写されていました。
    加害者のような人間が身近にいるかもしれない…。
    とても、とても怖い。
    この本も読んでて引きずり込まれて苦しかった。
    凄く嫌な気持ちになった。
    気分が悪くなった。
    でも、読み終えずにはいられませんでした。

  • 「殺人鬼フジコの衝動」だけでなく、この「インタビュー・イン・セル」まで読まないと、この事件は語れないと思った。もちろん「私はフジコ」も読んでおくに越したことはないが。
    下田健太と関わった女性被害者が多過ぎて、人物相関の把握が私には少し大変だったから、改めて読み直せばもっとすんなり頭に入ってくると思う。最近前作を読んだはずなのに、小坂初代さんにも最後まであの小坂さんのお母さんだと気づかなかったし、みっちゃんと聞いて美也子が思い浮かばなかった私はバカかと思った。フィクションだけど、ほんと下田健太は常軌を逸していて、サツキ同様激しく嫌悪感を覚えずにはいられない。これがイヤミス、ということか。

  • 読む順番を間違えてはいけない小説です。「殺人鬼フジコの衝動」を読んだ後、本書を読むと言う順番を守った方がよいです。そして、間髪いれずに読んでしまうことをお勧めします。本書を読み終わった後、一作目の後書きを読み返しました。いろんな伏線があり、きっちり回収しつつ、後味の悪い事件を追体験できような作品です。
    一気読みしてしまう危険書籍です。

  • 皆さんが書かれている通り、フジコほどの衝撃はないものの、読み物としての面白さがありました。
    展開にスピード感があったので、飽きることなくあっという間に読み終わりました。
    もう一度フジコを読んでみようかな?という気分になりました。

  • 殺人鬼フジコ シリーズであるが、主軸はフジコの伯母で育ての親でもある茂子の息子、健二が起こした凄惨な事件。

    北九州監禁殺人からヒントを得、洗脳と恐怖によって人を操り、複数殺人を犯しながら証拠不十分で無罪になった健二。彼について独占インタビューを取るため、茂子の家を訪れた記者たちだが煙に巻かれ、一向に取材は進まない。

    次第に疲弊する記者たちを待ち受ける運命は…。
    負の伝染、箍が外れた人間の怖さ。相変わらず見事にイヤミス。

  • 登場人物、全員おかしい。特に下田健太と茂子、藤子より怖いかも。
    「殺人鬼フジコの衝動」で語られなかった部分も明らかになる。
    茂子の美人の姉、慶子。その娘でお母さんにそっくりな藤子?あれ、そうだった?
    村木里佳子、最初は野心があるバリバリのキャリアウーマン風なのに、だんだんボーっとしてくるのは何なんだろ。何にせよ、今作で一番可哀想な人だったかも。

  • 前作よりは生々しくないけど、グロテスクな空気に変わりはなく眉間に皺をつくりながら読みました。
    実際に起きた事件もベースになっていることを考えると現実に起きうることなんだろうけど、紙媒体の作品だけで既にきつい…。
    文字通り身体を傷つけられながらも絶対的な服従しかなす術がない、そんなことあるのだろうか。万が一あるならば、そういったものに関わることのない人生でありたいです。


  • 前作を読んだときの、最後ええぇ!?
    って思ったのがこれでスッキリした。
    最後はかなり予想外ではあった。

  • あの『殺人鬼フジ子の衝動』『私は、フジ子』の続編。というより完結編。全ての事実が一本の線でつながるという驚きとイヤミスなのに読後には爽快感まであるという凄い作品。

    真梨幸子さんの作品は『殺人鬼フジ子の衝動』を読んでから、面白いストーリーを描く作家だなと思い、既刊文庫は全て読んだ。

    この作品もイヤな味わいのミステリーなのだが、全てが解ったという爽快感の方がイヤな味わいよりも勝る不思議な小説。

  • 分かったことは多かったけど、殺人鬼フジコの衝動を超えることはなかった。

  • 前作も展開が分からなく犯人が意外な人で、今回も意外な人がフジコの家族を殺害し
    またフジコの出生が明らかになる。従兄弟の件も引き込まれて、現実と小説の境が分からなくなるぐらいにのめり込んでしまった。
    前作の別冊を読むとすんなりと小説の世界に入っていけ、留美子とバーのママの関係もそこで分かるようになっている。
    エグいけど上手くもっていく文章で先が気になって1日で読んでしまった。

  • フジコを読んでからだいぶ時間が経っていたのでその内容はすっかり忘れてた。でもこれはこれでテンポよく読めてそれなりに楽しめた。ここまで酷いサイコパスじゃなくてもこんな風に他人を支配するのが上手い奴っているよなあとおもった。
    でもなんだか最後は結局わかりにくかったなぁ。
    自分の理解力が足りないのか、フジコを読んだ時に書いた感想もおんなじようなことが書いてあった。

  • 「殺人鬼フジコの衝動」が強烈だっただけに、この物語がひどく平凡なものに感じてしまった。
    他者をコントロールして事件を起こす。
    この手の設定の物語が最近は多いせいもあるだろう。
    「衝動」と「真実」を通してわかったことは、すべての事件を引き起こす元凶となったのは下田茂子・その人だということだ。
    彼女がいなければ、フジコの連続殺人も、健太のリンチ殺人も、そして自業自得ともいえる最後の事件も起こらなかったのでは?と思ってしまう。
    残念なことに茂子はこの物語でも重要な脇役といった立ち位置しか与えられていない。
    彼女の中に息づいていた半端ない負の引力はどこから来ていたのか。
    知りたいような、絶対に知りたくないような、どこか近づいてはいけない人間というのは存在するのだ…とあらためて感じた物語だった。

  • サービス精神がありすぎても、いけないものなのか

    殺人鬼フジコの衝動の続編。
    フジコの事件の種明かしを、フジコが預けられていた
    家のいとこが
    後に起こした犯罪の真相を追う記者たちから話させる、
    という内容です。

    難しいですね。
    いろんな謎があって、それが見事に明かされるのに、
    明かされると、興味が薄れてしまいます。

    ラストシーンなんかも、最後7行は説明語りなんかさせないで、
    彼の様子を客観的に描写するとか、カレーうどんをうまく使い、
    心情表現を表すとかでよかったのでは。

    読者の7割は言われなくても最後のオチわかってるんじゃないかな?

    あとは、北九州の監禁事件を予備知識として求めるのは、
    ちょっといかがなものかと。

    今読んでいる読者のある程度は、現代の事件として、
    北九州の監禁事件について見聞きしちゃっているので、
    里佳子の心情の変化がこのことなのか、と無意識に繋げて
    理解しちゃったと思うのですが、

    今後、時が経ってから読んだ人にとっては、高津区惨殺事件と
    北九州の監禁事件に対する知識レベルの差がつかないと思うし、
    この小説の文章だけでは心理描写のなぜ?が
    なぜ?のままなののではという懸念がします。

    北九州の事件を全く知らない人に、読んでみてもらいたいなぁ。

    と、要望多々あれど、いっきに読んでしまったのでその勢いに星は3つです。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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