勁草(BAD LANDS バッド・ランズ 映画原作) (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198942854

作品紹介・あらすじ

橋岡は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とはオレ詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。橋岡は被害者から金を受け取る「受け子」の手配も任されていた。騙し取った金の大半は高城に入る仕組みで、銀行口座には金がうなっているのだ。賭場で借金をつくった橋岡と矢代は高城に金の融通を迫るが…。一方で府警特殊詐欺班の刑事たちも捜査に動き出していた。最新犯罪の手口を描き尽くす問題作!

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には関西メイン=関西弁、あと土地名が何て読むのかわからなくなってこんがらがってしまう笑
    映画化された作品だからなんとなく本屋で手に取ってみた作品。
    時間はかかったけどなんとか読み切った、、、
    前半よりは後半の逃亡劇ごスリルとスピード感があって面白く楽しめた!
    まさか最後はあんなクライマックスになるなんて、、、
    どうせなら最後まで逃げ切って欲しい気持ちとちゃんと捕まって罪を認めて欲しいの両方だったから、少し寂しく感じた。

  • 大阪人の裏社会で生きる男たちが次々に事件に巻き込まれる様をコミカルに描く、相変わらずな黒川博行作品のすばらしきマンネリ。

    本作の主人公はオレオレ詐欺グループで中間管理職的立場の橋岡。ボスの指示の下、電話担当、金銭受取担当へ役割を割り振る。それなりの社会常識と知識を持ち合わせている橋岡はボスにとって、こき使いやすい存在だ。そんな橋岡が、常識を持たずカタギにもヤクザにもなり切れない男、矢代と知り合ってから、彼の運命は急転回する。大金を手にしたはいいが、殺人事件に巻き込まれ、ヤクザと警察から追われることになる。

    そんな運命に弄ばれる橋岡だが、警察捜査や金融機関とのやり取り、死体の処理まで、冷静に対応する。やることなすことがその場しのぎの矢代とは対照的で、橋岡の方をいつの間にか応援したくなり、追いかける大阪の刑事たちから逃げ切ってほしいと期待してしまう。そんな奇妙な魅力を持つダーティーヒーローが活躍しながら、オレオレ詐欺についての知識も学べるハードボイルド小説。

  • 【オレオレ詐欺】【振り込め詐欺】総じて「特殊詐欺」呼ばれる社会問題となって久しい詐欺を扱った本作、徹底したリアリズムで読者をぐいぐい引っ張る手腕には安心感がある。「劇場型犯罪」と言われるだけあって、手口、システム、手順すべてに手が込んでいて、「自分は騙されるはずはない」と思っている人(主に年寄り)でも、これは騙されるかもしれない、と逆に勉強になる。

    貧困ビジネスと特殊詐欺がワンセットになって暴力団の資金源になっているという設定(というより、現実?)も、現代社会の闇を見るようで背筋が寒くなる。

    物語は、〈主人公〉の橋岡がいわゆる「ちょっとしたボタンの掛け違え」から、逃げ場のない状況へと追い詰められていくさまがテンポよく描かれる。オレオレ詐欺(オレ詐欺)集団を追う大阪府警特殊詐欺班の刑事たちの泥臭く地道な捜査に敬服しながらも、どんどん悪い方へと転がっていく橋岡になんとか逃げ切ってほしい、などと妙な感情移入してしまうのも黒川マジックの醍醐味といったところか。

    映画か連続ドラマでぜひ見てみたいと思うのは私だけではないだろう。橋岡は波岡一喜でぜひ!

  • 映画を観た。ネルこと安藤さくらとジョー山田涼介の血のつながらない兄弟の関係がよくわからなかった。ネルのために殺しをする動機をマンダラこと宇崎竜童が「お前がほんまに好きだったから」と告げることでしかわからなかった。「勁草なんや」と言い聞かすシーンがタイトルに繋がっていた。

  • オレオレ詐欺の名簿屋に雇われ、「受け子」の差配もする橋岡。
    ターゲットには警察がつくこともあり、そうなると捕まるわけにはいかない。
    橋岡はその辺りの感覚や対応力には長けている。
    しかし、同じように雇われている矢代は、感情的で後を考えない。
    そんな矢代の行動に振り回されることになる、橋岡。
    そして、それを追う刑事たち。

  • 面白かった。
    最後の行を読み終えて「え?」ってなって、あまりの驚きというかあっけなさというか情報が少なすぎて、思わずいつもは読まない解説を読んだくらい、何事かと思ったけどね。
    テーマ的には、それこそ映画原作でもなかったら読まないし、序盤もまーまー内容がしんどかったので読むのやめたいくらいだったけど、涼介のお芝居を楽しむためだけにがんばった!!www
    おかげで楽しく過ごせましたけどね。
    何より、文章が良い。テンポとか展開とか表現とか、端々でてくる身近さとかそういうの全部計算されてるんかなーって思うくらい、とにかく読んでいて面白い!お話として本当によくできていて面白かった。
    だからこそ、きっと個人的な好みとしてはちょっと違うのかなーって思ってしまうところもあったけど。実際のところ圭吾先生とか伊坂先生、神永先生、貴志先生っていう、とにかくエンターテイメントなお話が好きなのでね、ここまで生っぽくてリアルでベタベタしているお話は、正直気持ちがしんどいし考えて眠れなくなるw
    ただ好印象なのは「犯罪はダメだぞ!」とか「因果応報!」とか「大どんでん返しー」とかそういうの一切なくて、ただただ行き着いた先でこうなったよ。。。っていうお話が、最終的に「なんでこーなってしもたんやろ」「俺何やっとんのやろ」っていう橋岡のつぶやきがすべての伝えたいことで、表現したい感情で、そういうのまとめ方が嫌いじゃないなーって、周りの力に押されて避けて転がり続けたらこんなところに来ていたっていう、そういうのを結末にもってきた感じがとても好き。
    あんだけ終盤バタバタと楽しく面白く、読み手を幸せにするお話で進んでいながら、最終的な決着があれってw救いようのない結末が待ってるなんてw
    これ、映像化したやつどんなんになるんだ?!
    蝉の時より、より一層クズでどうしようもない矢代を涼介がやるってことで、とにかく楽しみで仕方ない!あの美しい隙のない顔が、どうしようもないほんとのほんとにクズな男になるなんて、とにかく楽しみ!!

  • 詐欺世界では半端な人間が警察から極悪人として追われる。逃げ切れるはずは無いのだが、まさかの結末。
    テンポ良く軽く読み進めます。是非。

    追記
    2023.10.6.映画観てきました!!
    原作からの脚色がかなりありますが・・・、特に問題無し。安藤サクラがサイコーにヨカッタですよー!!

  • 映画BAD LANDSの原作と知って読んでみた。お馴染みの黒川ワールド。勁草(けいそう)とは、風雪に耐える強い草のこと。何故この題名にしたのだろう?哀れな生き様の受け子役のイメージだろうか…。

  • 結構、時間を忘れて読んでしまった。というか、この本を読み進めるために睡眠時間一時間くらいなら削ろうかとか、気が付いたらこんなに時間が経っていたとか、そんな感じ。映画を先に観たのも良かったかもしれない。いや、良かったのかなぁ。良くも悪くも映画の印象に左右されそうな。橋岡が男だと言われようが私の中ではやけに安藤サクラさんがチラついた。ただ事件の経過をなぞる話かと思いきや、最後はそう来るんだ。久しぶりに、一気に読み進めたいという焦りとわくわくで楽しい本だった。

  • クライム小説で一貫しており、印象に残った作品でした。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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