- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784199051746
作品紹介・あらすじ
誰にも会わない。どこにもいかない-。引きこもり歴十年。家でひっそりと僕の帰りを待ち続けている同居人の麻巳美を、僕は誰よりも大切に思っていた。でもその麻巳美が、ある日突然「女子大生」になってしまった!しかも本当は三十五歳なのに「今日から私、十八歳」などと言い出して…!?いろんな傷を抱えながらも、すこしでも「おおきく」なろうとする不器用なふたり-作家の月哉さんと元少女漫画家の麻巳美の同居生活をコミカル&ハートフルに描いた話題作が、書下し新作をプラスして待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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引き蘢り生活を続けていた35歳の麻巳美が、「今日からわたし、18歳!」と云って女子大生に変貌!? それを見護る売れない小説家の恋人「月哉さん」の視点で物語は進む。18歳の頃、漫画家生活をしていて大学に行けなかった麻巳美は「わたしはまだおおきくなれないの」と主張して、色々な些細な、でも無視したままではおおきくはなれない過去の痛みを、少しずつ癒してゆく。恋人、月哉さんもまた同じように、ゆっくりとふたりでおおきくなってゆく──。
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高校時代、これを文芸誌の連載で読んだとき「おおきく」ならないといけなかったわたしはとっても胸が痛かった。19歳の頃「おおきくなれないんじゃなくて、なろうとしていないんだ、わたしは」と云った友だちがわたしの傍から離れていって、とてもとてもかなしかった。そして今「おおきくなりません」宣言をして月哉さんに庇護されている麻巳美を(狡いな……)と羨む程度にはわたしは「おおきく」なったみたい。でも麻巳美は狡い、と思うくらいにはわたしはまだ「おおきく」なれてないままみたい。
文体は稚拙だけれど、放り出せない何かがわたしの心に雫を落とす。
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もしこの本を読むならば、帯の言葉に騙されないで、核心を、単なるピュアネスではない傷が付いた純粋を、優しくするためには単なる無垢では居られないということを、感じて欲しいと思います。みんな優しいひとだから。きっと。
(鶴田謙二先生のカヴァと口絵のイラストが嬉しい!)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほんわかした優しい雰囲気に包まれた痛さと気味悪さ。怖い本と言ってもいいかもしれない。いくつになっても少女のままでいたいね、なんて叶わないからいいんだよー。ひええ。と読了当時中学生の私は怖がりつつも不思議な魅力と甘やかされる快適さに憧れ魅了されたのだが、成人した今読んだら主人公に共感しそうでまた怖い。だっておとなになりたくないもん。
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おおきくなりたく、ない。
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過去に読んだ本。白倉由美さんの小説である。
大人になるということについて考えさせられた。大人になるってどういうことなんだろう。 -
主人公が30代半ばで、でも大人になりきれていない繊細な少女のような人で、大学に入って18歳に戻って(戻ったつもりで)やり直すというストーリー。
久しぶりにこんな、乙女っぽいスイートな物語を読んで、甘い、ほんわりした気持ちになりました。 -
あなたは、おおきく、なれましたか?
引きこもり歴10年。小説家の月哉さんとひっそりと暮らす麻巳美。
子供っぽく、大人になりきれていない彼女は35歳。
そんな彼女が、あることをきっかけに、突然女子大生になっちゃった!
しかも、「今日から私、18歳」とか言っちゃって…。
日々、いろいろな人々と出会い、少しずつ「おおきく」なろうとする麻巳美。
物語が進むにつれて明らかになる彼女の過去、月哉さんとの関係。
「大人になること」って何だろう。
著者は、麻巳美と同じく元漫画家で、30代になってから大学に通って、小説を書き始めたそうです。
文章がみずみずしく丁寧で、所々に挟まれる風景描写も奥行きがあり、読んでいてとても快かったです。 -
タイトルのインパクトに惹かれて買った本。
あと、女の子が仏頂面の表紙もちょっと好きです。
40代手前の"僕"と、30代・でも心は少女な
ひきこもり女性(←と称する割に大学へ通い始めたりする)
の同居生活がだいぶファンタジックに
描かれています。
ヒロインのやることなすことがとてもツボです。
『ぐりとぐら』の巨大コピーを切り抜いて
家の壁中張り巡らす……というのはちょっと
挑戦したいかも。
ノベルズ、ではありますが、実際のところは
著者の白倉さんとその旦那さんの
半実話なのだそうです。
こんな人たち現実にいたら周り困らないの…?
と思いつつも、天真爛漫な生き様が
少しうらやましくもあります。 -
おおきくならなくたって・・・
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少しずつきっかけを見つけて大きくなろうとする姿は微笑ましいものの、特に薫の抱える闇が重苦しい。「手をつないで、心の休憩ができる友達がひつようなんだよ」という『<a href="http://mediamarker.net/media/0/?asin=4043941080">宇宙のみなしご</a>』(森絵都 著) のセリフを思い出した。
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アヤメちゃんから借りて、もうかれこれ数年経ちまして……誕生日前日にやっと読み終えました。今日から私も節目でまた一段大人の年齢になるので、その前に読み終えようと思いまして昨日一日ずっと読んでました。
「おおきくなること」が「大人」とひとつ解釈するとして、私はいつまでも「おおきくならな」くてもいいのでは?と心のどこかで思いながら読み終えた。
大人になることは、幼い頃自分が抱えてた何かを脱却すること……抱えている何かによってそれなりの年齢なのに未だに「子供ぽい」とされること……
主人公が「おおきくならない」まみみに対して、いつもどこかバカにしている感じがして実はちょっとイヤだなと思っていた。まみみを救いたいと思っているけど、まみみを自分と同じステージに立たせようとしているのがある意味自分勝手なのではないか?と
同じ目線になってあげればいいのに、いつも「おおきくならない」まみみの腕を無理やり引っ張って立たせているようにしか思えないのは二人の愛を私が理解していないからなのか……
う~ん、返す前にもう一回読み返すね。
私は1番はじめの話が好きだよ、ぬいぐるみの家族。