きいろいばけつ (あかね幼年どうわ (33)) (あかね幼年どうわ 33)
- あかね書房 (1985年4月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251006936
感想・レビュー・書評
-
そんな、まさか・・幼年童話で泣くなんて。
ところが、そのまさかの事態が起きたのだ。
ラスト、72ページ目で涙がぶわっと出てしまい、その後は何も読めなくなってしまった。
小2の教科書にも採り上げられているし、夏の課題図書にもなったことがあるので、
ご存知の方も多いかもしれない。
きつねの子が丸木橋のたもとで偶然見つけた黄色いバケツ。
誰の忘れ物だろう?
前からこんなバケツが欲しかったきつねの子は、うさぎとくまに相談して、落とし主が現れるまで一週間待つことにする。。。
ああ、そういえばこんな気持ちになったことがあるな、と誰しもが思うことだろう。
欲しくてたまらないものが、いつか自分のものになった時のことを想像してうっとりする。
月曜日、火曜日、と過ぎていく時間が、子どもにとってはどんなに長かったことか。
でもきつねの子は、その間がそれは幸せだったのだ。
雨が降れば心配で見に行き、汚れたらきれいにして、時に話しかけ、中に溜まった水に映る月を眺め、棒切れで自分の名前を書く練習までする。
次の月曜日には自分のものになるかもしれない。どうかそうなりますように。
あてのない夢を描き続けるきつねの子が、たまらなく愛おしい。
それだけに、自分のものにはならないと分かったときの、きつねの子の言葉にも驚く。
この子は、待ち続ける一週間に、しっかり心が成長したのだ。
どれほどの思いを込めてバケツと過ごしてきたか。
愛情をかけた分だけ悔しがっても構わないのに。
きっとこの子にとって、黄色いバケツのことは宝物のように心に残るだろう。
童話とはいえ75ページもあり、すべての見開きページに挿絵が描かれている。
このお話しにはこの挿絵以外あり得ないと思うほど可愛い絵だ。
ためらいや戸惑い、恥ずかしがる顔やどきどきする嬉しさ、どれもストレートに伝わってくる。
起承転結もきっちりとしているので、小2でなくても読み聞かせに出来るだろう。
約15分。5,6歳からOKかな。
子どもの頃に抱いた待つことの喜びと憧れを、はるかな気持ちで思い出す幼年童話の傑作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
きつねくんが可愛らしい。一緒にわくわく楽しみに待っていたけど、まさかの結末...でもきつねくんの前向きさに救われた。
-
きつねくんのあたたかい心が大好きです^ ^
-
娘へ読み聞かせをしながら、最後はどうなってしまうのだろうと母はハラハラしていました。きつねの子のモノにならなかったのは想定内でしたが、「いいんだよ、もう
」と言い切ることが出来たきつねの子に、内心驚きました。
大人になると忘れてしまいますが、おとなにとっては取るに足らないものでも、子どもにはとても大事なものってありましたよね。たとえ姿、形は似ていても、それをほかのものと代えることは出来ないのです。娘の拾ってきた石や枝、お花なんかを頃合いを見て処分してしまっていたのですが、私のその行動は、娘の気持ちを尊重していない行為だったなと反省しました。
そして、娘は赤ちゃんの頃使っていた「みどりのばけつ(こどもちゃれんじ)」を取り出して来て、一緒に持ち歩くようになりました。絵本の影響力を感じました。 -
懐かしい…
-
ばけつをもっていないきつねのこがみつけたきいろいばけつ。なまえがかいてありません。
ともだちのくまのことうさぎのこに「だれもとりにこなくてずっとおきっぱなしだったら、きつねくんのにしたら」と言われ、1週間待つことに。
その間毎日ばけつを見に行くきつねのこの様子がいじらしい。 -
きつねといっしょにワクワクして。
きつねといっしょにつぎのひがまちどおしくなる。
きつねといっしょにちょっとしょんぼりするけど。
きつねのきもちを「しりたいな。わかりたいな。」って
おもうほんです。 -
子どもの頃に何度も読んだ本。きいろいばけつなくならないといいなと思いながら読み進め、最後は‥。
子どもにも読んでほしくて我が家の本棚にも仲間入り☆ -
有名な本だけど読んだことがなかったので、次男が借りたついでに読んでみました。名作だと思います。最後が悲しいというか切ないです。あんなに欲しくて欲しくてたまらなかったバケツがなくなっちゃうなんて。こういう状況、大人でもあるから思わずキツネ君に共感してしまいました。読み終えたあとに余韻が残る本です。