日本の神話 第2巻

著者 :
  • あかね書房
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感想 : 15
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  • / ISBN・EAN: 9784251008220

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  • 舟崎克彦、赤羽末吉による日本の神話シリーズの二冊目。


    伊邪那美の神は黄泉の国に。
    伊邪那岐の神と伊邪那美の神の子供たちはそれぞれの国を治めている。天照は高天の原、月読は夜の国、須佐之男は海上。
    しかし末っ子須佐之男は(おそらく古事記きっての)暴れん坊。
    伊邪那岐父ちゃんの言うことなんて聞きはしない。ヒゲはぼうぼう、仕事はしない、地団駄踏んで泣きわめく。その暴れっぷりのおかげで木は枯れて海は干上がるというのだからスケールが、いや被害がでかすぎる。
    伊邪那岐父ちゃんが須佐之男に話を聞いたら「伊邪那美お母ちゃんに会いたいよ〜!」だって、駄々っ子だーー!
    (でも須佐之男は伊邪那岐父ちゃんから生まれたので、伊邪那美はお母ちゃんではないよね…)

    海の国を追い出された須佐之男、そして高天の原の天照お姉ちゃんにお別れを言いに行くが、ここでも話が変に拗れちゃって大暴れしだして、天の国に甚大な被害を及ぼした。
    弟を止められない天照お姉ちゃんは、なぜか「天の岩戸」という洞窟に引きこもってしまった。
    上司の職場放棄だー。

    お日さまである天照が引きこもったため、この世は闇に包まれ、悪い神々が跋扈するようになってしまった。
    困った高天の原の神々は作戦を考えた。天の岩戸の前で「尊い神がいらした!」という大宴会を催すことにしたのだ。
    引きこもり中の天照お姉ちゃんは気になってしまって岩戸の隙間からこそっと様子を見る。そこで鏡に写った自分の姿を見て「なんと神々しいのだろう」。外にいた神々は、そんな天照お姉ちゃんを外に引っ張り出して岩戸を封印しましたとさ。

    そしてこのときの八咫鏡(やたのかがみ)は「三種の神器」として今日まで伝わっている…と、言っている日本ってすごいな。例えばギリシアで「これがポセイドンの三叉の矛だ!数千年伝わっているんだ!」っていうようなもんですよね。

    しかし日本の神様って本当に人間的というか無邪気というか。
    最高権力者で神々しいのに暴れん坊の弟に困って引きこもる天照、感情のままに暴れまくる須佐之男。
    なにかの本で読みましたが、須佐之男の暴れっぷりは自然を人間に具現化しているのではないか、ということ。「八岐大蛇なんて火山の土石流みたいではないか」って。
    手がつけられないが、どこか無邪気で憎めない。古事記が今日まで伝わるのはこのような神様の親しみやすさもあるのではないでしょうか。

  • 6巻シリーズ二作目の本作は、伊邪那岐の子、天照・月読・須佐之男のお話。

    「末の子の須佐之男はすなおにいいつけをまもるような神ではなかった。」

    須佐之男が問題児すぎて面白い。こういうキャラクターだったことを知らず、日本の神話のこと本当に知らなかったんだなと思う…
    子は親の思い通りにはならないことを神自ら示しているようで、面白かった。

    赤羽末吉さんの絵も素敵で、一作目よりもこちらの方がより楽しめた。

  • 絵本「日本の神話」シリーズの第2巻。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    弟・須佐之男の命(すさのおのみこと)のあまりの横暴なふるまいに失望した天照大御神(あまてらすおおみかみ)。

    そしてついに天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、あまのいわとに隠れてしまった。

    日の神・天照大御神がいなくなり、太陽が照らなくなった世の中は、暗闇につつまれ、しだいに荒れ果てていった。

    なんとか天照大御神(あまてらすおおみかみ)にあまのいわとから出てきてもらうよう、神々はある策を講じるのだが…
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    表紙は挿し絵のひとつで、天の宇受売の命(あまのうずめのみこと)が舞いを舞っているところです。

    この挿し絵の前のページには、「天の宇受売の命(あまのうずめのみこと)は、しだいに興がのってけると 身にまとった服をぬぎすて われをわすれておどりくるった。」という文書があります。
    この絵本を読む前に、奇しくも「わたしのはなし」という性教育えほんを読み、プライベートゾーン(水着ゾーン)はさらしちゃダメ、という話を学んでいたので、小2の娘は「なんで服ぬいでるの?ダメじゃーん」とつっこむ結果になりました(笑)

    文章は昔の語り口ですので、現代の日常会話ではあまり聞き慣れない言葉が多々、出てきます。
    そのまま読んで言葉の響きを味わってもらえれば、と思って読み聞かせていましたが、理解しにくい場面のときは小2娘のほうから「どういう意味?」「どういうこと?」と質問がきたため、補足しつつ読み終えました。

    それにしても、須佐之男の命(すさのおのみこと)は、なぜ理由なくこんなにも横暴なマネをするのだろう??と不思議に思いました。

    特に、天照があまのいわとに隠れる原因になった恐ろしいいたずらは、読んでいて思わず「ええーーっ!」と言ってしまいました。
    いたずらを受けたはた織り娘も気の毒なのですが、挿絵にある須佐之男にひどい目に合わされている馬の姿も、ものすごく哀れです。
    馬の顔は描かれておらず、茶白、灰色で塗られた馬のからだだけが、須佐之男にひっぱられています。
    それがかえって、乱暴な目にあっている馬の顔を想像させ、よけいに哀しくなるのです。

    須佐之男のこうした行いの背景にあるものはいったい何なのでしょう。
    それについては文を書かれた舟崎克彦氏の折込解説に、そのこたえらしきものが書かれています。

    「スサノオに表象される自然の力は、特に風神雷神であり、のちに鬼神と化して人々の増上慢をいさめ、私たちが大自然の軒さきを借りてくらしている存在にすぎないことを、古代の人々に教えさとしたはずです。」(折込付録・「あまのいわと」解説より)

    なるほど、須佐之男の命(すさのおのみこと)=ひとの力など及ばない大自然の驚異であり脅威、と考えれば、あの凄まじいあばれっぷりも腑に落ちます。

    日本の神さまは自然の象徴でもあり、だからこそ、人に恵みをもたらす神もいる一方、ひどく乱暴に見える神も存在しているのですね。
    オトナになってから読む絵本の神話も、こうした考察を味わえるので、とてもおもしろいなと思いました。

  • 県:建国記念の日にあわせて

  • 日本の神話を学べる絵本でした!
    子どもたちも意外と話に聞き入ってくれたので、よかった

  • 興味があるのに入ってこないんだなー

  • ぼくが一番好きなシーンは、天のうずめの命がおどったり、お酒を飲んだりしているところ。すごく楽しそうで、ぼくもリンゴジュースを持って参加したくなった。
    今度天照がかくれちゃったら、好きなものでおびきよせるのはどうだろう。お酒は好きかな。
    ギリシャ神話では、太陽は男の人だけど、明るくておだやかだから、日本みたいに女の神様でもいいと思う。(小4)

  • 神話はいろんな物語に繋がるんだな。舞や音楽やその他諸々にも。この世には光がないと。

  • 神の末っ子 須佐男伝説‼

    お姉ちゃん恥ずかしくてもう皆に合わす顔無いわっ!

    が 天の岩戸の真相

  • 古典を知ってると、音楽も絵も会話も映画もぐーんと楽しくなるのです。というわけで、息子に読み聞かせ。

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著者プロフィール

舟崎克彦  東京都生まれ。学習院大学卒業。白百合女子大学教授。「ぽっぺん先生」物語シリーズ(岩波書店)で路傍の石文学賞、『雨の動物園』(岩波書店)で国際アンデルセン賞を受賞。作品に「日本の神話」シリーズ(あかね書房)他多数。

「2013年 『クレヨンマジック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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