- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784253171205
感想・レビュー・書評
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【書評(18禁)】『人間昆虫記』 : なおきのブログ http://naokis.doorblog.jp/archives/Ningen-Konchu.html
<目次>
春蝉(はるせみ)の章
浮塵子(うんか)の章
天牛(かみきり)の章
螽斯(きりぎりす)の章
解説(真崎 守)
2020.08.30 借りる
2020.08.31 読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
模倣し化けて吸収し自分のものにする主人公十村十枝子
彼女に翻弄され食いつくされ吸収された人達か哀れだなと思った。彼女自身が生きていく術を身につける為に選んだ
模倣は彼女自身が何もないことを対極させている。
模倣し続けることによって彼女自身は空っぽな存在であることを強調付けている。
人間は生きていく為に色々な人を真似て成長していくが
行き過ぎると自分を見失い空っぽな存在になってしまうのだと感じさせてくれた作品。 -
恐らく男性が読んだらあまり良い気分のしないものかもしれない。
なので女性が読むことをお勧めする。
手塚先生は「戦後の混乱期にたくましく生きる女性を描きたかった」と言っていたようで、なるほどー、、と納得したものだ。
女性がゆえに弱者がゆえに、虫をくらって綺麗に羽ばたく蝶という生き方しか出来ない。
(この時代は)
成功を手にしても、最後にはあのセリフ。
女は羽虫のような蝶としてたくましく生きて、そしてバラバラになって散ってゆく。
男からすると、蝶であらねばならぬがゆえに「虫」として食い潰される恐怖に駆られる訳だから、こういう姿には不快な思いを抱くだろう
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女の持つ弱さを分かってあげて、というメッセージと
女という弱者だからってあなどるなよ?というメッセージと。
ふたつのものを、あえてコレを読んだ男性読者に伝えたい。 -
手塚治虫がすごいのは、絵がうまいってだけでなくて、すばらしいストーリーテラーでもあるってとこだと思うんだけど、人間昆虫記もまさにそのとおりで。
イマジネーションの幅の広さと博識ぶり、この人の好奇心はとどまるところを知らないんだろうなっていうのが、この作品を読んだ感想。
「奇子」とか読んだ時も思ったけど、この人は女性の描き方、それも悪女になりきれていない女性を描くのがとても上手だと思う。
ストーリーの感想っていうより、作者への想い、みたいなレビューになってしまったけど、またいろいろ読み返してみようかな、手塚作品。 -
都市版奇子といえる。
奇子は(正確には忘れたけど)農村における、美しすぎる女がその美しさのために世界を狂わせていく話だった。十村十枝子は都市社会においてそのような振る舞いをみせた。
奇子に比べてこじんまりとまとまったが(奇子がすさまじすぎるというのもあるけれど)、現代の「メディア・有名性・知的財産・才能」これらについて考えさせられる。
十村十枝子は極めて理想的に完璧な悪を演じているけれど、実際にはこんな人はまずいない。しかし、これに似た人は多い。つまり十村十枝子に似た振る舞いをそこそこする世界中の人々の悪をすべて吸い取って一カ所にまとめたら十村十枝子が発生しそうだ。
十村十枝子は、そういう、人まねをして、いやまあそれだけじゃなくて既存のすでに評価が安定した事柄のコピー(習得)が極めて上手なよくいる人々の究極に研ぎ澄まされた存在として描かれている。
十村十枝子っぽいひとってよくいるんですよ。
奇子を再読したくなってきた。 -
ドロドロしとる。
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#190
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十村十枝子一代記。成り上がりの物語でもあるが、主人公が抱える心の空洞を埋めるための物語だったような気がする。
関わった人間から、才能を吸い取り自分のものにして、名誉栄光をほしいままにする十枝子。才能を吸い取られ落ちぶれていった人間は見捨て、新たな人間へと拠り所を移してゆく十枝子。
心の空洞を埋める唯一の存在だった水野とは、絆を深めることができず。おそらく、空っぽのまま人生を送ってゆくのだろう。
多くの登場人物が、空洞を埋めることができずにいる物語であったなぁ。救いのない物語だったと思う。しじみぐらいではないだろうか。空洞を埋めることができたのは。 -
2017.11/06
本を売ろうと思い内容が曖昧なものを読み返してるけど、総じて手塚治虫おもしろすぎて売れない 模倣することにまったく悪びれがなく、昆虫の脱皮のように本能でやっているのがいい