第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界

著者 :
  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255004013

作品紹介・あらすじ

感じるだけが皮膚の仕事ではない。皮膚は未知の思考回路である。

感想・レビュー・書評

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  • 「色を識別し、電波を発信し、情報処理を行う表皮細胞。
    感じるだけが皮膚の仕事ではない。
    皮膚は脳にも匹敵する、いまだ知られざる思考回路である。」

     最初は皮膚の構造から入って詳しい説明が続いてちょっと挫折しそうになった。私は勉強になると思って読み続けたが一般の人は「こんなの最後まで読めるのかなあ?」と思ってしまった。
     でも途中からは面白くなって興味深く読み終えることが出来た。
     結局、人間は科学的に分析して理路整然と説明出来ないことは、間違っているとみなしてしまう。この世にはまだ解明できないことがいっぱいあるのに、「科学的でない」と切り捨ててしまう。
     宇宙飛行士が、宇宙で生活することによって神の存在を感じるという話を聞いたことがある。
     科学を学べば学ぶほど、知ればしるほど、人間の力の及ばない世界があることに気づくのだと思う。

  • 皮膚の役割を体性感覚としてとらえ、その働きに着目した一冊。
    アトピー患者である自分にとって、大変興味深い内容でした。
    皮膚の痛みによって疲労感を感じる理由が理解できました。
    「自我の形成には体性感覚が重要な役割を果たしているらしい」とのこと。
    肌で感じるものの存在を、もっと大切にしていこうと思いました。

  • 勉強になりました

  • 発生の段階で、脳や脊髄、目、鼻、口、耳は外肺葉がくぼんで形成され、残った部分が皮膚の表皮になるため、神経系、感覚器、皮膚は出自が同じ。

    表皮細胞のケラチノサイトは様々なホルモンを合成し、その受容体も存在する。神経細胞と同じ電位のオン・オフの状態もある。表皮が興奮状態だとバリア機能の回復が遅れ、抑制されると回復が促進され、肌荒れも治る。

    アトピー性皮膚炎には海水浴療法があり、美容には、にがり療法がある(海水からナトリウムを除いたもので、主成分はマグネシウム塩とカルシウム塩)。

    グルーミングによって、快楽ホルモンであるβエンドルフィンが放出される。

  • 面白いが専門的すぎた

  • 皮膚という視点から物事を考えるという視点を得られた。
    まだまだ新しい分野という感じで、仮説がおおく、想像力を働かせられる分野だと思ったし、楽しかった。
    筆者のあとがきが心に響いた。

  • 常識を打ち破るためのエッセンスが多く詰まっている。

    ・生体の内部環境では、因果律、時間(過去が未来を決定する)の概念が通用しない可能性がある。(p.204)

    ・絶対(常識)などということは、生物の進化を見ても存在しない。マトゥラーナとヴァレラのオートポイエーシスの概念は、外部からシステムの組織構成への何らかの介入が生じた場合、それは単にシステム自体の損傷を意味するだけである。→非因果律(p.208)

    ・目で見た世界では説明がつかないことが、皮膚から考えると理解できる。(皮膚感覚は暗黙知)(p.217)

    ・生命と環境の物理的境界が、皮膚である。皮膚が、感じ、判断し、形を変えるシステムを持つ。内と外を区別することは、自律的である。(表皮の形成)(p.206)

  • つまりATフィールドなんだね。

  • 感想をどう表現すればよいのかよくわからない不思議な本。脳中心主義に疑問を覚えている人には、よき導きになるやもしれないと感じた。

  • 内容は面白いが、幾つか注意が必要。
    インパクトのある書き方をしているためか、
    少し誤解を与えそうな記述が見られる。
    そのため常に警戒しながら読むことになる。
    あと、この本は帯も含めて一冊の本。

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著者プロフィール

1960年生。京都大学工学博士。資生堂研究員、JST CREST研究者、広島大学客員教授を経て明治大学MIMS研究員。主著に『皮膚感覚と人間のこころ』 『驚きの皮膚』。表皮研究で世界的に知られる。

「2021年 『サバイバルする皮膚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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