- Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260016629
作品紹介・あらすじ
世界中から取材者が集まるラ・ボルド精神病院の内部を、一人の日本人女性が撮影することを許された。やさしい手触りを残す患者とスタッフの間を流れる緩やかな時間。ルポやドキュメンタリーとは一線を画した、深呼吸ができる写真集。
感想・レビュー・書評
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写真がすごく素敵だった。
この良さについやす言葉を持ってないけど、愛を感じた・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
写真には、精神病院であるラ、ボルトの様々な風景やそこで暮らす人々が写し出されている。患者なのか、スタッフなのか、医者なのか全く区別がつかない。もしかしたら全員患者さんなのかもしれないが、総じて穏やかでとても心を病んでいるようには見えない。ここは、精神病院という響きから連想する閉鎖的なイメージとは程遠い場所なようだ。シャトーと呼ばれているので、ちょっとしたお城とその敷地がそのまま病院になっているらしい。もっともここのイメージは、病院とは程遠く、療養所くらいの言葉がちょうどいいかもしれない。建物の中も外もゆったりとしている。昔のお城のまま。壊れかけた屋外カフェや様々な機具まで。
現代社会は、どこまでも利便性を追求している。そのために何もかもが「コード化」されているのだ、と筆者は言う。それを拒むことで患者たちが自分の心の病から自由になれるのだろう。
患者さんたちは自由にそれぞれの時間を過ごす。自転車に乗ってピクニックに出掛けたり(でも出先ではいつも温かく迎えてもらえる訳では無い)、音楽や絵を楽しんだり。シャトルバスの運転手をする患者さんや初めての訪問者を案内する患者さんも。当番制でスタッフと一緒に料理したり、配膳をしたりもする。
筆者が街に戻った時、「社会の檻の中に戻ってしまった」と感じたのだそうだ。ラ・ボルトには、街とは全く違う「時間」が流れているのだ。 -
写真とエッセイ。手元に置いてときどき見返したくなる本です。
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だれかの「生きづらさ」に目を向ける40冊
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493.7シリーズケアをひらく
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写真集。
本を開くとしばらく、白っぽい、光を当てすぎたような写真が続く。
それからエッセイ。写真があって、またエッセイ。
説明がないから、どんなテーマの写真集かわからない。
文字を読んで、徐々にこの場所がわかってくるけれど、やっぱりそんなに詳しくはわからない。
私は何の写真か知った上で手に取ったけれど、これは先入観なしに見てほしいという事なんだろうか、と考えながら読み始めた。
これは、フランスの精神病院で撮った写真集。
地の文では「病院」とあるけれど、これ病院かな?
医療つきホームというか、暮らす場所だと思うんだけど。
著者は精神医療関係に詳しい人ではないらしいので、本当にそうなのか誤解なのかよくわからない。
最初の白い写真も、エッセイも、この場所を異形として写す。
「美しく純粋な障害者」に癒されたがるマジョリティが作るフィクションみたいな世界観。
ゲテモノ趣味でこそないけれど、ユートピア的なファンタジーになってしまっている。
ここがこの人たちには日常の場なんだってことがわかってない。
でも、「見に」ではなく「会いに」行ってるし、相手に感情があると体でわかってる。
精神病と遠い場所にいる人が、写真を撮るためにフランスまで行っちゃうってのはなかなかすごい。
だから、なんか的外れなこと言ってんなーと思うけど嫌悪は湧かなかった。
この場所が「特別」なものとして描かれることは最後まで変わらない。
でも、「特別」の意味が、「わけのわからない特殊な場所」から「知っている愛着のある場所」に変化している気がした。
そうだといいなあと思う。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:493.7//Ta82
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川内倫子と藤代冥砂を彷彿とさせる。
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日本の精神医療と政治は人を殺す。
ソローニュの森は人を癒し活かす。