- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260046770
作品紹介・あらすじ
オープンダイアローグは誰にでもできる!――6編の物語と4章の解説で、オープンダイアローグのエッセンスを2時間でつかめるよう構成しました。どうしたら対話を続けることができるのか、なぜ計画を立ててはいけないのか、調和を目指さないとはどういうことか。これらが納得できたら、まずはやってみてください。見よう見まねでも構いません。「対話さえ続けば、あとはなんとかなる」――これが本書の最大のメッセージです。
感想・レビュー・書評
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●なぜ気になったか
SNS公開の感想で興味を持った。精神科医の著者が採用しているオープンダイアローグ手法、「対話を続ける」がポイントらしい、理解したい
●読了感想
わかっているつもりでわかっていなかったことに気付かされた。「会話と対話の違い」「傾聴だけではダメ」。日常の人間関係でも適用すべき考え、今後意識して生活していこう
#まんが やってみたくなるオープンダイアローグ
#斎藤環
#水谷緑
21/3/15出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
https://amzn.to/3GQtb3B詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水谷緑さんの温かみのある素朴な作風のマンガで癒される。解説の斉藤環さんの葛藤や人間らしさに触れることができた。
自分の考えに相手を同一化させようと説得、尋問、叱咤激励、アドバイスというのは一方的で相互性がなく、合意と同一化を目指すことではないという。
べからず集がとてもわかりやすく陥りやすい注意点がずらりと並び、普段の会話でも注意すべき点として役立ちそう。
1 説得、議論、説明、尋問、アドバイスはしない 結論ありきの押し付けで双方向性がない
2 体験を否定しない 患者の主観をとことん大事にする 症状を否定することはその人自身をひていすること
3 わかったつもりにならない 正しさとか客観的な事実のことはやめましょう
Q&Aも具体例が盛り込まれていてイメージしやすい。
みんなが「てん」で自分の思いをしゃべってそこではじめて語る自由、語る欲望が生まれてくる。
当時者が自発的にふるまうことのできる空白を生み出すための対話の重要性の指摘、いくつもの視点をお盆の上にのせていくことだというリフレクティングの表現が漫画でとてもわかりやすい。
月光を見ているときのような暗い中の明るさ、静かで穏やかな気持ちで没入している様子は追体験しているようだった。 -
以前、斎藤環さんの文章を読んで、オープンダイアローグに興味を持った。
そしたら、漫画部分を『こころのナース夜野さん』の水谷緑さんが描かれていて、ラッキー!
楽しく読めました。
医療関係者じゃない人が、これを読んでオープンダイアローグを取り入れるには、やっていることの意味を分かることが必要な気がする。
というわけで、斎藤環さんの本はもう一冊購入してはいるのだけど。
タマキ先生の「大勢の人間と一緒にいるけれど空気を読まなくていい 自分のままで異質なままでいい 集団の中で1人でいられる やっと精神科医になれた気がする」というモノローグに、じーんときた。
対人関係の仕事をしていると、自分の立場を過度に意識したり、反対に相手に合わせないとと思ったり、気付けば疲弊していることも多い。
チームになること、お互いに違っていることが前提で話を進められること、そんな1人であって良いと思えたら、いいなぁ。 -
サクッとオープンダイアローグを知りたい方にはお勧め。はじめにで2時間で読めると書いていたが、まんがが半分以上なので1時間で読める。オープンダイアローグは精神療法の一つなので、学ぶだけでは身につかない。実践をすることで体験をしてみることが実感できると思う。リフレクティングが一番難しい(このようなセッティングは慣れていないので)。体験するにはODNJがワークショップもしているが、本書にも書かれているように、本書などで基本を学んだ上で、一つでも実践してみてみることが理解への近道だと思う。最後に本書の秀逸は、著者たちの自己開示である。著者たちがオープン・ダイアローグに出会って変化した様子が読めるのが最も興味深かった。
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漫画を交えながらオープンダイアローグについて解説してくれる良書。
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「やってみたくなる」は、誇張ではなかった。確かに、これはやってみたくなるものだ。「他者」との、よき関係を築けている自分でありたいという願望が、ぼくには強いのだなと感じた。この方法は、取り立てて「疾患」を持っている人たちだけを対象とするものではなく、もっと日常的な場面においても応用が効くものと思われた。
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今年最高の1冊に1月第2週目で出会ってしまったかもしれない。
精神に様々な不調を抱えた人のための治療法なのだろうが、精神に常に不調を抱えていない人なんて居ないと思えば、誰にでも広く使える方法だろう。
“オープンダイアローグ”。
とにかく聞く。
同意も賞賛も否定も説得もせず、とにかく聞き、聞いた感想を目の前でグループトークしている様を見てもらう。
1対1の会話がそもそもツライ方もいるでしょう。
ボクも、まぁ、そうだ。
チームで見せる主観の視点。
素晴らしい手法に触れてしまった。 -
フィンランド発祥の医療現場での対話手法の模様。漫画と解説で進んでいくのでイメージしやすい。「リフレクティング」等独特な場面はあるが、基本の「聴く」姿勢はさまざまな対話と同じだなと感じる。「ポリフォニー(多声性)」を大切にする、一人ではなくチームで動くことの重要性。異質な自分のままでいる、集団の中で1人でいられる、その感覚を掴む過程の大切さも伝わってくる。フィンランド、実践と体感を兼ねて行ってみたいなぁ
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オープンダイアローグとは、精神療法のひとつだそうだ。その入門書(まんが)である本だが、そうとは知らず読んでしまった。私は著者の想定した読者ではなかったかもしれないが、これから小学生になる子の親として、老いていく親の子として、もはや若手でもない会社員として、そうでなくとも人として、覚えておきたい心構えみたいなものをいくつか受け取ったのでメモ。
・「治療」や「解決」や「結論」を求めず、そして「ノープラン」で、ただただ「対話を続ける」ために「対話」をすることが肝要。相手や状況を変えようと思ったり、アドバイスしようと思ったりしてはいけない。「対話さえしていればどうにかなる」「おまけのように良い変化が訪れたらラッキー」の精神で、他愛ない話でいいから「対話」を続ける。
・「否定や批判をせずに人の話を聞く」というのは、ただ同調したり共感を示したりすることではない(もちろん本当に共感したなら、それを示すのは構わない)。「話し手の主観の世界」を理解しようと努めること。そして、それとは異なる自分の意見を述べるときには、それが「説得」や「否定」となることなく「主観と主観の交換」となるように気を付ける。「私なんかダメだ」に対し「そんなことないよ!」ではなく「私から見たらあなたってステキだけどね」なら良い。とか。
・「リフレクティング(治療者チームが、患者やその家族の前で、患者の発言についての感想の交換や治療方針についての話し合いを行い、それを患者に見せる手法)」というのが風変わりではじめはちょっと飲み込みにくかったが、これも大事なところという気がする。子育てで言えば、なにか子供の教育に関する話し合いを本人に聞かせず親だけでして、親だけで納得した結論を子どもにこの世の真理のように伝えるのではなく、むしろ親もいろんな価値観や可能性を天秤にかけて迷っている存在なのだというところを包み隠さず見せた方がいいのかもしれない。子(患者)も交えて一緒に話し合う、というのともまた違うっぽい。
…てことで、すべてこのように実践するぞ!というわけじゃないにしても、頭に入れておきたいと思った。