教室の祭り (わくわく読み物コレクション)

著者 :
  • 岩崎書店
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本棚登録 : 137
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265060641

感想・レビュー・書評

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  • てっちゃん達と直子のどちらを選ぶかという後半のシーンが気に入りました。いじめられるようになったとき、間島さん達が助けてくれたシーンで泣いちゃいました。澄子がこれからどうなるのかを最後に想像するのも楽しかったです!機嫌を損ねただけでいじめる女子って、怖いです。こんな文章がかけるなんて、草野たきさん、凄すぎです。

  • 草野たきさんの本、2冊目。

    女子の複雑な感情がよく書かれているし、仲のいい子を引き離そうとでもするような子の存在がリアル。

    「相手がよろこばないことを伝えることが、こんなに大変なことだったなんて、こんなに勇気がいることだったなんて、はじめて知った。」

    空気を読んだり無理して他人に合わせなくてもいい。「心の強い大人になるんだ」ってみんなに思ってほしい。

    高学年女子におすすめ。

  • 澄子は5年生になって、4年生でも同じクラスで仲が良かった直子とまた同じクラスになれて喜ぶ。直子は大人しくて、絵のうまい女の子で、澄子もクラスでは目立たないタイプ。そんな澄子だったが、塾に通い始め、塾で、同じクラスの目立つ女子・てっちゃんとカコと話すようになる。澄子はてっちゃんとカコに気に入られ、学校のクラスでも話しかけられるようになる。てっちゃんとカコに呼ばれると断れず、また華やかな二人のとのやりとりを澄子自身が楽しく思い、次第に教室で直子を一人にしてしまうことが多くなる。
    そんな時、澄子は、直子を自宅で「カステラを作る会」に招くことに成功するが、奇しくも、「カステラを作る会」開催日と同じ日に、てっちゃんとカコに一日限定の無料券があるとディズニーランドに誘われる。一晩考え抜いた末、澄子はどちらを選ぶか決断するのだが…。

    とーっても面白かった!!さすが草野たきさん!
    と思って他の方の感想を見に行ったら、思ったより評価がよくなくてびっくり。
    中でも、「ホラー」と書かれていたのに笑ってしまった。確かに私の感想も「女子こわっ!!」でした。途中の、みんなで直子の家に行くシーンもホラーと言えばホラーですね。
    でも私はてっちゃんとカコのようなクラスの存在感のある女子の華やかさも怖さも身に覚えがあり、気に入られて確かに楽しく過ごせていた澄子の気持ちも分かるし、とても悪いことをしたわけでもないのに、なんとなく声を出せずにいるうちに流されてしまい、なんとなくおかしいと思いながらも流れに乗ってしまった澄子の成り行きも、さもありなんと思います。そんな女子の怖さがリアルに思えたし、澄子の心情も丁寧に描かれ、他の女子の心情もところどころ覗かれ、何より後半から最後にかけての怒涛の展開がとんでもなく面白かったです。
    最初の澄子の決断。てっちゃんとカコのディズニーランドを取るか、直子との「カステラを作る会」を取るかの場面。私も八方美人系統なので、こういう悩みってあったと思うし、私ならディズニーを取ってしまいそうだなぁ。カステラは替えが効くし、と思ってしまいそう。
    そこでのお母さんの発言、「友だちはどちらかを選ばなければならない」ということ。これって本当かなぁ?まぁ確かに、その場その場で、どちらかを選ばなければならないことはありますよね。でも、大きな目で見ると、どちらとも仲良くしたいなと思ってしまうタイプの人間です。まぁ確かにそれで失敗もするんですけどね…。

    クラスの女子の掌返しが思った以上に強烈で、まぁ怖い怖い。
    自業自得と思って耐える澄子もある意味怖い。
    でも、決断をした澄子は美しいなと私は思います。
    そして、最後の最後の数ページで、びっくりするような種明かし(?)があって、私は思わずリアルに「おぉー!!!」と言ってしまいました。
    名前を忘れてしまいましたが、途中で澄子のことをひどいと言ったクラスメイトの女の子の存在も面白いですね。
    最後のシーン、わくわくですよ。
    本当の友だちって、と思います。

    大人しい性格の人が弱いとは限らない。これは本当にそうですよね。
    どのキャラクターにも思惑や個性があって、面白いお話だと思いました。
    澄子と直子の学年、5年生の女子が読んだらどんな感想を抱くでしょうか。
    大変気になります。怖い、かなぁ…?笑

  • これはもうホラー小説
    JCのずるい気持ちとかどっちつかずでもやっとする気持ちとか、小学生の時に感じたきれいごとでは済まない感情を書いてくれている。
    だが、友達はどちらかを選ばなければいけないのか?自分の正直な気持ちを伝えるためには相手の敵にならなければならないのか?そんな風にしか生きていくことができないのか?と暗い気持ちになる。後味悪め。

  • 澄子が、てっちゃんたちにひかれていって、仲が良かった直子と遊べなくなっていくけど、直子が気持ちをわかってくれていたので、心を打たれました。

  • ほかの人がきっと、嫌だと思うことを口にする…。
    自分に正直であることの代償を負いながらも、自分を作り上げていこうとする姿が描かれている。

  • 小学生の頃を思い出した。狭くて窮屈。凄く居心地が悪かったことには気付いていなかった。澄子の取った行動は間違っていないので、心を強く持って切り抜けて欲しいと大人の私は思います。

  • 5年のクラスかえで澄子は直子と一緒になれて嬉しかった。大人しいけれど、絵が上手い直子。少しずつ自分の心を開いてくれているのも嬉しい。
    けれど、塾での一緒の、にぎやか華やかなカコたちが澄子を遊びに呼びかける。直子とも一緒にいたいけれど、カコたちと仲良くもしなくてば・・・そして確かに、カコたちと一緒にいるのは楽しい。


    高学年女子の友達関係を細やかに描く。

    直子に悪い子ことをしてしまった罪悪感から、カコたちから決別するとはじまるいじめ。でもそれは後半にちょろっとで、しかも、澄子はそれを受け止め、表だってではないけど、直子や理解者がいる。という構造にちょっとびっくり。
    そして、直子は一人でも全然平気なタイプの子だったのにもびっくり・・・というか、
    児童書でそういう人物を描くのが意外。

  • 一斉読破その一。
    深い。
    児童書だからこその、深さというか。はっとさせられました。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。実践女子短期大学卒業。99年『透き通った糸をのばして』(講談社)で第40回講談社児童文学新人賞、01年児童文芸新人賞を受賞。07年『ハーフ』(ポプラ社)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2016年 『Q→A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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