澄子は5年生になって、4年生でも同じクラスで仲が良かった直子とまた同じクラスになれて喜ぶ。直子は大人しくて、絵のうまい女の子で、澄子もクラスでは目立たないタイプ。そんな澄子だったが、塾に通い始め、塾で、同じクラスの目立つ女子・てっちゃんとカコと話すようになる。澄子はてっちゃんとカコに気に入られ、学校のクラスでも話しかけられるようになる。てっちゃんとカコに呼ばれると断れず、また華やかな二人のとのやりとりを澄子自身が楽しく思い、次第に教室で直子を一人にしてしまうことが多くなる。
そんな時、澄子は、直子を自宅で「カステラを作る会」に招くことに成功するが、奇しくも、「カステラを作る会」開催日と同じ日に、てっちゃんとカコに一日限定の無料券があるとディズニーランドに誘われる。一晩考え抜いた末、澄子はどちらを選ぶか決断するのだが…。
とーっても面白かった!!さすが草野たきさん!
と思って他の方の感想を見に行ったら、思ったより評価がよくなくてびっくり。
中でも、「ホラー」と書かれていたのに笑ってしまった。確かに私の感想も「女子こわっ!!」でした。途中の、みんなで直子の家に行くシーンもホラーと言えばホラーですね。
でも私はてっちゃんとカコのようなクラスの存在感のある女子の華やかさも怖さも身に覚えがあり、気に入られて確かに楽しく過ごせていた澄子の気持ちも分かるし、とても悪いことをしたわけでもないのに、なんとなく声を出せずにいるうちに流されてしまい、なんとなくおかしいと思いながらも流れに乗ってしまった澄子の成り行きも、さもありなんと思います。そんな女子の怖さがリアルに思えたし、澄子の心情も丁寧に描かれ、他の女子の心情もところどころ覗かれ、何より後半から最後にかけての怒涛の展開がとんでもなく面白かったです。
最初の澄子の決断。てっちゃんとカコのディズニーランドを取るか、直子との「カステラを作る会」を取るかの場面。私も八方美人系統なので、こういう悩みってあったと思うし、私ならディズニーを取ってしまいそうだなぁ。カステラは替えが効くし、と思ってしまいそう。
そこでのお母さんの発言、「友だちはどちらかを選ばなければならない」ということ。これって本当かなぁ?まぁ確かに、その場その場で、どちらかを選ばなければならないことはありますよね。でも、大きな目で見ると、どちらとも仲良くしたいなと思ってしまうタイプの人間です。まぁ確かにそれで失敗もするんですけどね…。
クラスの女子の掌返しが思った以上に強烈で、まぁ怖い怖い。
自業自得と思って耐える澄子もある意味怖い。
でも、決断をした澄子は美しいなと私は思います。
そして、最後の最後の数ページで、びっくりするような種明かし(?)があって、私は思わずリアルに「おぉー!!!」と言ってしまいました。
名前を忘れてしまいましたが、途中で澄子のことをひどいと言ったクラスメイトの女の子の存在も面白いですね。
最後のシーン、わくわくですよ。
本当の友だちって、と思います。
大人しい性格の人が弱いとは限らない。これは本当にそうですよね。
どのキャラクターにも思惑や個性があって、面白いお話だと思いました。
澄子と直子の学年、5年生の女子が読んだらどんな感想を抱くでしょうか。
大変気になります。怖い、かなぁ…?笑