猫山 (創作絵本38)

著者 :
  • 岩崎書店
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本棚登録 : 193
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265909384

感想・レビュー・書評

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  • 表紙画像の猫の顔が、まぁ怖いこと。
    それだけじゃない、中盤の展開でもそれは怖い場面がある。
    夜は真っ暗だし、真の闇というものを知らない今のお子たちはどう思うだろう。
    なんていうと、ただの怖い話と思われそうだがとんでもない。
    勇気ある少年が、仔猫たちとともに猫ばばをやっつける、それは爽快感のあるお話。
    文章もリズム感があり、短めの落語を聞くような面白さだ。

    毎度のことながら切り絵の技術が本当に素晴らしく、仔猫たちの表情まで実に細やか。
    猫ばばの恐ろしさと仔猫たちのいじらしさ。もう一度言うが夜の闇の怖さ。
    小さかったら、怖面白さにはまって毎晩「読んで」とせがんだかも。
    山に岩魚釣りに出かけるのが最初の場面で、主役は釣り名人の「三平」。
    (釣りキチの名前はやはり三平なのね・笑)
    夜道に迷って猫ばばの屋敷にたどり着き、ここからが怒涛の展開、そして見どころ満載。さぁ、どうなる?

    斎藤隆介さんの創作に滝平二郎さんの切り絵。
    「モチモチの木」」や「花さき山」「半日村」などを送り出した名コンビだ。
    この「猫山」が83年の作品で、列挙した3作はそれ以前の作品。
    ちょっと面白いのは、出すたびに「自己犠牲を子どもに強いるなんて」などという批判がその都度渦巻いたらしい。私はどの作品もとても好きなんだけどな。
    作者さんも思うところがあったのか、それまでの作品とは一線を画す内容だ。
    後書きのウィットも効いているので、ぜひそこまでお読みあれ。
    約12分。幼児から大人まで楽しめる。2(にゃん)2(にゃん)の日の記念に。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      にゃんにゃんの日〜♪可愛いですね。
      うさぎの日もあったような…

      切り絵というのは独特ですよね。
      美...
      こんにちは(^-^)/

      にゃんにゃんの日〜♪可愛いですね。
      うさぎの日もあったような…

      切り絵というのは独特ですよね。
      美しくもあり、ちょっと怖く感じる時もあります。

      ところで、前回呼び方のこと聞いてくれて、私最後に書こうと思ったのに忘れてしまっていて、おっちょこちょいですみません。
      せっかく聞いてくれたのに。
      私のことはけいちゃんと呼んでください。
      nejidonさんは、nejidonさんのままがいいでしょうか?

      それから、nejidonさんがうちのうさぎを見たいと言ってくれたので、アイコンをうさぎにしようと思ったら上手くできず(〃∀〃)ゞ
      しばらくお待ちください。そのうち黒うさぎになる予定です!
      2018/02/05
    • nejidonさん
      けいちゃん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      うわぁお、めっちゃめちゃフレンドリーになってしまいました・笑
      この呼び方でも...
      けいちゃん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      うわぁお、めっちゃめちゃフレンドリーになってしまいました・笑
      この呼び方でも、か、構わないんですか?
      なんか一気に親近感アップです!ありがとうございます!

      はい、ワタクシはnejidonのままで構いません。
      ちょっと変ですが、自分では気に入っております。
      そしてそして、実はたった今「黒うさぎさん」を見つけてしまいました!!!
      なんて可愛いんでしょう!まるでぬいぐるみみたいです。
      「しろいうさぎとくろいうさぎ」の、くろいうさぎですね。
      ああ、なんて可愛いんでしょうね。
      抱っこしたらどんな感じかな?なんて考えてひとりにやにや笑いをしています・笑
      けいちゃん、ありがとうございます。
      黒うさぎさんに、どうかよろしく言って下さいね。
      2018/02/05
  • 表紙から「猫の化物」のお話なことがよくわかる。
    この化け物猫は、一体どんな風にこわ~い化け物なんだろう…??ドキドキ!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    魚釣りのうまい三平は、この日も沢で魚を釣っていた。
    帰りの遅くなった三平は、近道しようと杉山を越えることにしたが、慣れない道に迷ってしまった。

    どんどん不安になる三平の目に、明るい窓が見えた。
    三平はすぐさまその家の戸をたたいた。
    すると…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    「一つのフチには、一ぴきずつ、大きなイワナが、水のおち口にむかって、およぎ澄んでいた。」(引用)

    この一文、いったいどのページにあったと思いますか?
    物語の中ほど…と思いきや、この一文は物語のいちばん始まりの一文です。
    始まりらしからぬ一文ですよね。
    特に、現代の絵本を主に読まれている方は、「えっ、主人公の紹介とか、昔々とか、わかりやすい場所の説明とかから入るんじゃないの??」と、違和感があるのではないでしょうか。

    でもこの、一見わかりにくいようで頭に残るこの文章が、斎藤隆介さんの書かれる文章の「味」だとおもうのです。
    そしてそのわかりにくい文章を、滝平二郎さんの絵が支えてくれることで、唯一無二の絵本に仕上がっています。
    現代の絵本ではなかなか読めない、この「口伝」されているようなリズムのある文章。
    読んでいると、絵本を読んでいるというよりも、おばあちゃんの声で口伝の昔話を聴いているような、そんな懐かしい気持ちになってきます。

    そして滝平二郎さんの、黒を効かせた絵!
    はっきりと太い輪郭線のある木版画絵なのに、猫や三平の表情が豊かで、びっくりします。
    三平が迷いこんだ一軒家は、実は化け猫の家だったのですが、けして広いとはいえない家のなかに、たくさんの人間の姿子どもたちがひしめきあっている絵は、文章を読まなくてもそれを見ただけで「この家、なんかおかしい、怖い…」と思えてきます。

    化け猫のしぶとさ、性格がよくあらわれているのは、化け猫さいごの姿を書いた文章ではないでしょうか。
    この一文を読んだとき、あまりの化け猫のいじきたなさに、おもわず笑ってしまいました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    斎藤隆介さん・滝平二郎さんの絵本としては「モチモチの木」「花さき山」「半日村」があまりにも有名ですが(絵本が少なかった実家の本棚にも、この3冊はありました!)、そのほかにもこんな絵本もあるので、よかったら開いてみてくださいね。

  • 「三平は さかなつりの 名人だったからなァ」

    さらわれたり、捨てられたり、そうした人たちが謀反を起こせないのは、なぜだろう。度重なる絶望は、心をやがて枯れさせる。戦う気力も、生きる気力さえ失ってしまうのだ。希望を与え、心を温め続けることがいかに尊いことなのか、わかる気がします。(9分)#絵本 #絵本が好きな人と繋がりたい #猫山 #斎藤隆介 #滝平二郎 #岩崎書店

  • 小さい頃に見たアニメ「日本昔ばなし」。
    いくつか今も心に残っている作品がありますが、
    その中にこの「猫山」にとてもよく似たお話がありました。

    深い山奥に迷い込んだ釣り名人の三平が、
    一晩の宿にしたのが化け猫の屋敷だったという話。
    昔飼っていた猫が助けてくれるというところも似ています。
    ただ、最後が全然違って、アニメでは主人公が猫にさせられそうになるんだったっけ…。

    アニメの方はスリルがあって怖いイメージでしたが、
    こちらは少しだけユーモラスというか、怖いだけじゃないお話でした。
    だって、最後は猫達が三平に加勢してくれるんだもの。
    滝平二郎さんの切り絵もなんだか可愛らしい。
    怖がりのお子さんでも楽しんでくれるかも?

    それにしても、表紙の切り絵の迫力のあること。
    悪党顔全開です!!

  • 2021.03 5-2

  • 最後の展開にほっこりしました。
    4年生に読んでみると、けっこう楽しんでいました。
    ビクはごんぎつねで出てきたから知ってるー!と言っていて、感心しました。笑

    季節…夏
    対象…高(やや長&ことば難)
    内容…こわい ドキドキ

  • イワナとりに山へはいった三平が、夜になってまよいこんでしまったところは、おそろしいやしきでした。

  • 魚釣りの名人・三平がイワナ釣りの帰りに道に迷ってたどり着いたのは、猫ばばと攫われてきた子猫たちが住む家だった…。
    行方知れずだった飼い猫のニャンコとの再会。自分を犠牲にしても三平を逃がそうとするニャンコの健気さと、絶対ニャンコを連れて帰ろうとする三平の決意に胸がジーン。
    猫ばばに追われるハラハラの逃亡劇の結末がなんと言っても痛快!帰る場所のない子猫たちを引き受ける三平の粋な心意気と爽快な後味は何度読んでも心地好い。
    赤が映える表紙の切り絵の猫ばばを最初怖がっていた6歳の息子も、お話にすっかり惹き込まれていた。

  • これはおもしろかった。斎藤隆介さん滝平二郎さんコンビのなかでも、素直におもしろかった。

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著者プロフィール

1917年、東京都に生まれる。明治大学文芸科卒業。1968年、短編童話集『ベロ出しチョンマ』で小学館文学賞、1971年『ちょうちん屋のままッ子』でサンケイ児童出版文化賞、1978年『天の赤馬』で日本児童文学者協会賞を受賞。ほかに『職人衆昔ばなし』『立ってみなさい』『ゆき』などの作品があり、滝平二郎氏と組んだ絵本、『八郎』『花さき山』『モチモチの木』などもよく知られている。1985年、没。

斎藤隆介の作品

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