- Amazon.co.jp ・マンガ (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267013010
感想・レビュー・書評
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ブッダの1巻ってブッダが全然出てこないの。でも物語全体を貫いてるテーマが明確に提示されているので、ゆっくりしっかり読み込みたいお話。
タッタの存在は不可思議で今後どうなるのか初読みのときにドキドキしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おすすめ度:85点
息がつまる。厳格な身分制度、奴隷制度。
「どうしてぼくたちはこうも苦しまなきゃならないんだ!!ふだんは身分のいやしさで苦しみ、いくさが始まれば逃げまわって苦しみ、そしてイナゴにまでこんなめにあわされるなんて!!」
以下、呉智英氏の解説より抜粋。
釈迦伝を描くということが、そもそも容易ならぬことである。理由は当然、宗教上の人物だからだ。巨匠手塚治虫は20世紀半ばに日本という国でかくも巨大に発達したマンガというメディアで釈迦伝を見事に描ききった。
第一部
第1章 バラモン
第2章 浮浪児タッタ
第3章 ブダイ将軍
第4章 告知
第5章 チャプラ
第6章 玉杯 -
マンガワンで読んでたんだけど、続きを待つのが辛抱たまらんなって借りた。すごく豪華な装丁だ。
……まさか、あんな死に方をするとは…………。
第一部
第一章 バラモン
なんて雄弁な絵なんだろう。
偉大な何かを信じたい気持ちと、そんな気持ちへの皮肉を2コマで表現してる。
ナラダッタを襲ったトラは何なんだろう?村人の反応を見るに、何かあるんだろうけど。
アシタが言った強い力の持ち主は、タッタなの?
タッタもチャプラもまだまだちっちゃくてやせっぽっちだ。
急所を狙っておいて、手加減したとは…チャプラは初めから血の気が多かったのね。
階級には階級ごとの文化がある。日本が階級社会でないからという理由だけで、階級社会を悪だと言い切るのは間違ってる。
タッタのお姉ちゃんかわいい。身を守るのも簡単じゃないから、気を強く持つしかないんだろうな。
自分を憐れむだけじゃ何も変わらない。意志のあるところに道は開ける。
第二章 浮浪児タッタ
あのトラはタッタだったか。タッタがナラダッタを襲ったのは強盗するため?気が変わったのはどうして?ナラダッタの態度に感じるところがあったの?
手塚治虫は素晴らしい読書家だったんだろうな。
グラフィックデザインの才能もあったみたいだ。彼の漫画はアートの域に達している。
チャプラのお母さんの腰巻きがいつの間にか短くなってる。タッタの手当をするために破いたんだ。気づかなかった。
将軍ブダイはこの段階ではまだただの俗物だな。
第三章 ブダイ将軍
イナゴ こわい
イナゴもこわければ、手塚治虫の描き込みもこわい。このこだわりようよ…。
ファーブル昆虫記を読破したくなった。
今でもイナゴの災害は起きるの?
手塚治虫は、自然の大きさに比べれば、人の命や感情はどれほどのものでもないと信じていたみたいだ。
自然はあくまで大きく豊かに描く。
人間の悲劇は、まるでありふれたもののように描いている。戦争を体験したから?
チャプラはかなりの野心家だ。野心をかなえるための才覚や運も持っている。
自分の意志でひとりで歩き出した。
第四章 告知
ブダイ将軍が攻め落とそうとしてた国の、ブッダの両親の話。
インドのように過酷な土地では、全員を平等に扱うと生き延びられないから、カースト制度が必要だったのかな。
第五章 チャプラ
チャプラ13歳
タッタは7歳?
チャプラは自分の意志で独り立ちしたのに、お母さんはどうして追いかけていったんだろう。
執着なのか、母の愛なのか、依存なのか分からない。
チャプラを追いかける理由が、父親に似ているからって…少しいかがわしいものを感じる。
チャプラの母が息子に向ける愛情より、タッタの愛の方が偉大に思える。
第六章 王杯
チャプラの母の愛って…独占欲?すぐ横にいる小さなタッタを思いやってあげてよ。
第七章 生誕
手塚治虫は美しい女性を描くけれど、妊婦を観察したことは無かったのかな。ブラック・ジャックに妊婦は出てなかったっけ?
シッダルタは「目的をとげる」という意味
第八章 技競べ
バンダカは会う人全てに嫌われるので、気の毒な気もしてくる。好きじゃないけど。
チャプラの母親は、気持ちは分かるけど衝動的すぎやしないか。
奴隷として生まれ育って、奴隷がどんなものなのかは骨身に染みて理解しているはずだろうに。
第九章 秘薬を求めて
ブダイ将軍は、はじめから守るつもりのない約束をしたんだな。読み返すと気づくことがたくさんある。
タッタはここで輪廻転生を何度も経験する。気の遠くなるような体験だろうけど、信じられないほどタフな子だ。本当に人間なんだろうか。
第十章 予言
シャム双生児みたいな門番がいる。シャム王族の国だからか。ギャグか。
ナラダッタはあやまちを悟り悔い改めるまで、獣同然に荒野を彷徨う。
タッタが二章で言っていたように、トコトンどん底まで苦しんで、自分は獣と同じだと思いこむところまでいかないと許されないのか。
第十一章 裁きの日
たくさんの命を犠牲にして助かった命なのに、チャプラはさっさと捨てようとする。
お母さんはこの状況になってやっと頭が冷えたみたい。
社会的弱者が生き延びるには、高い知性が必要だ。でもこの親子には生き延びるための知恵が足りなかったみたい。
チャプラとチャプラの母親を許したら、社会秩序が崩れかねない。かわいそうだけど、無理のない判決だ。
第十二章 死の壁
チャプラとマリッカの別れのシーンを見て、ロミオとジュリエットは、二人が同じ階級だったから成立した話なんだと気づいた。
それにしても後味の悪い別れだ。
チャプラを引き立てているのは、チャプラと一緒に訓練を重ねてきた近衛兵たちなのかな…。
この先、何がどうなっていくのか全然わからん。 -
全巻通して思ったのは、「悪」の描き方の巧みさ。
この作品では完全なる悪は存在しない。
すべてがシッダルタ=ブッダの対比人物として、悪の要素を持たされているだけ。
それなのにその魅力たるや。
そして悪の人物はおおむね手塚治虫の創作なのだ。
主要人物全員に、物語を推進していくための存在意義がある、というのは並大抵の構成力ではない。やはり手塚治虫。
筑紫哲也(あまり好きじゃないけど)の解説に、
人間中心主義ではなく生命尊重主義、
ということが書かれていたけれど、
悪しきヒューマニズムを脱却するのは、普通の精神生活を送っている人には難しい。
手塚治虫の悟りを示すいいエピソードだと思う。 -
手塚ブッダは学校の図書館に全巻あるのですが、貸し出し禁止な上についつい友人との時間に割かれたりとなかなかじっくり読めないんですよね。文庫版なら、手軽に持ち歩けてサクサク読めるので大変重宝してます。書店で3巻まで購入して本日読了です。
タッタとチャプラから話が始まるんですね。アシタの予言は授業で聞きましたが、タッタとチャプラはまだ知らない人ですね。何かの経典に出て来るのかしら。
カースト制、あるいは「ヴァルナ制度」と言いましょうか。この辺の差別の話は大変シビアでね。かなり克明に描かれている気がします。
結構重いテーマなんですが、コマを暴れ回るタッタや、鼻と口がビローンと下がったチャプラ等コミカルな描写も見受けられます。こういうユーモアを交えつつ描いているのは流石というほかありませんね。 -
手塚治虫の漫画。
まだ1巻ではブッダは生まれていない。
ここで出てくる登場人物がどう絡んでくるか楽しみ -
手塚治虫シリーズは、ブラックジャックに続く2シリーズ目。
もうかれこれ6年ぶりぐらいになるかと思う。
ひょんなことがきっかけで読み始めたが、冒頭のインパクトの強さに圧倒されグイグイと惹き込まれていった。
全体像がまだまだ掴めていないが、読み進めていくうちにわかってくるだろうなと。 -
ブッダってブッダの物語かと思ったら違うの…か?
今のところチャプラが主人公だよな?
んー続きをじっくり読んでいきたいと思う。
@CAT'S CRADEL
深すぎて意味わかんないところとかあるけど…きっと手塚治虫って天才なんだろうなぁと思う。
こんなありきたりなことしか言えなくて情けない。
人はなぜ苦しみ、なんのために生きるのか。
普遍的だからこそ、いつもは気づかないふりして生きてしまう。
ずっとこういうことを考えていられる人間になりたいなぁ。 -
世界の巨匠手塚先生の最高傑作のひとつだと思います。
子供から大人までこれほど共通しながら考えさせられる漫画はなかなかないのではないでしょうか?
一巻では、無力さを嘆き自ら火の中にみを投じる一羽の兎が描かれ、突然の衝撃を受ける。
後世に残しておきたい名作です。