われ去りしとも 美は朽ちず

著者 :
  • 潮出版社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267023651

作品紹介・あらすじ

世界の美術業界に革命をもたらした陶板技術。その技術を発見し、美術作品として活用することで、世界に類を見ない規模の美術館として広く知られている鴻塚国際美術館。その設立に尽力した人々の姿を描くことで、「陶板」という、一つのおおきなムーヴメントを起こした先見性、可能性、将来性を、老若男女問わず、アートに興味をもつ世界中の人々に訴える。
当時の陶板制作の現場担当者、版権取得に関する交渉話、美術館建設に関する話を、関係者への取材に基づき描いたアート小説。

感想・レビュー・書評

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  • うーわー、この美術館行ってみたい!
    どれだけの人が心身ともにこの美術館建設に尽力したのだろうかと思うと胸が熱くなる。
    行ってみたい!見てみたいと心底思う。

  • その昔、コンテンツを知らずに入り、そのスケールの大きさと志の高さに圧倒された記憶は忘れられません。陶板画の長所を最大限に活かし、いつでも、世界の名画に会えるのは、ファーストコンタクトとして理想の美術館です。しかも環境展示が凄い!システィーナ礼拝堂には感動しました。この美術館を実現させたのが大塚グループ総帥大塚正士です。章ごとに、視点が切り替わり、このプロジェクトに携わった人物の人生やプロジェクトにかける思いが語られます。いかに難事業であったかはわかるので感動はひときわ大きくなります。でも、大塚正士のことをもっと知りたい。アイデアマンで魅力あるカリスマで抜群の構想力と実行力を兼ね備えた人物であるとは語られますが、エピソードで語って欲しい。ビッグプロジェクトもさることながら、大塚正士について知りたくなる一冊でした。

  • いつも骨太の作品を書く玉岡氏は必読。読み始めて即、四国のあそこの、、私的には邪道と思っていた美術館の話だった。美術館そのものの評価は別にして、そこに至る熱量は素晴らしいと思った。

  • なんて壮大で素敵な作品。
    “アート小説”であり“お仕事小説”でもある印象。
    今年で開館25周年を迎える「大塚国際美術館」をモデルに綴られた史実に基づいたフィクション。

    鴻塚化学薬品は、創業75周年を祝う事業で美術館を建設予定。そのために今までにない陶板の研究開発をすることになる。
    世界で初めて名画を陶板へ焼き付け、1000年2000年と後世に残す夢みたいな事業。

    メンバーとなった陶板技術者と美術のスペシャリスト7人。それに法律・建築家に通訳者。
    登場人物視点で展開される章から感じられる想いと奮闘、社長の想いに心を揺さぶられる。

    作中に出てくる名画の数々。国も時代も飛び越えて一堂で鑑賞できるなんて素晴らしい。しかも原寸大で!

    多くの人の知恵と奮闘、長い年月を経て建設された世界初の美術館。
    読み終えて、メンバーと一緒に問題を乗り越え美術館建設まで走り抜けてきたような気分になりました。

    そしてまた、大塚国際美術館のHP で創業者の言葉に触れ、「美術館ストーリー」他を読んで再び感動で胸がいっぱいになりました。
    是非一度現地を訪れてみたいものです。

    • mayの本棚さん
      maomaoさん、こんにちは。この本、登録しておこうと思ったら…見つけてしまいました〜。
      maomaoさん、こんにちは。この本、登録しておこうと思ったら…見つけてしまいました〜。
      2023/04/03
    • maomaoさん
      こんばんは。こちらでも出会ってしまいましたね♪とっても良かったですよー。
      こんばんは。こちらでも出会ってしまいましたね♪とっても良かったですよー。
      2023/04/03
  • 物語はフィクションであり、名前は「鴻塚国際美術館」とある。壮大なヴィジョンを実現させる社長の意志と美術館設立に尽力した人々の物語。

    大塚国際美術館がモデルとなっている。復元された礼拝堂や睡蓮の池、そして陶板画とはどういうものなのだろうか。この本を読んで俄然興味が湧いた。数年前、米津玄師の歌が生中継されていてとても感動的だったのを覚えている。ぜひ行ってみたい。

  • 玉岡先生の本は大好きでほとんど読んでいます。
    こちらも面白かったですが、ちょっと細切れ感が。
    浅く広くのような。登場人物一人に力点を置いてないからかしら?

    大塚国際美術館は行きたかったけど、時間がなく、前を通っただけだったので、次はここを目的に旅したいです。

  • 初読。図書館。大塚国際美術館が建設されるまでを小説化した本。随分前に2度ほど行ったが、これだけの数の複製絵画をまとめて展示するなんてすごいなあ、という薄っぺらくて的外れの感想が恥ずかしくなった。完成までこぎつけた多くの人々の労苦が描かれ、どれほど貴重な美術館であるのかが再認識できた。読み終わったら絶対にあらためて行きたくなる。

  • 読み進むうちに大塚国際美術館のことだと気づいた。どこまで事実に照らして作られた作品なのか分からないがとてもリアル。
    プロジェクトメンバーであった真行寺教授、桜木教授が完成を見ることなく病に倒れこの世を去るシーンは涙した。
    読み終わって早速、鳴門の美術館を訪れ件のシスティーナ礼拝堂、屋外に展示された睡蓮、エルグレコの祭壇画を見てみたいと思った。

  • 良い。
    レプリカを集めただけの美術館じゃないか、と思っていたが、とんでもない。壮大な意志、苦労があった。

  • 家族で淡路島ドライブに行ったとき、立ち寄り処の候補に挙がったものの立ち寄り程度じゃ全部見て回る時間がないということで外観だけ見て諦めた大塚国際美術館。その後わざわざこれだけを目的に行くことはないだろうなと思っていたが、この本を手にし、読み終えたとき、これは一人ででも行かなければ!と思った。
    美術館の歴史とかわざわざ調べない。有名な絵画展でもなければわざわざ足をのばして遠くの美術館に行こうとは思わないけれど、鴻塚(本文では)社長の熱い思いが社員を動かし、それは多くの関係者を巻き込んで日本の官僚をも動かす一大プロジェクトとして立ち上がると、そんな馬鹿なといわんばかりの夢物語が現実となって設立されたのである。世界の名画が鳴門の砂で作られた陶板に複写するというとんでもない発想と、それを一堂に集めたことで世界各国を回らずして鑑賞することができる、それも見て触って、写真に撮る、そして野外の日照に照らされるモネの睡蓮の絵画とか、これを見ずして死ねるものかとさえ思う。原田マハさんのような絵画にかかわるドラマティックなものはないものの、それらを収める美術館の設立に全力を捧げた関係者たちのドラマには読みごたえを感じた。まさか美術館をモチーフにした小説がこんなに面白いとは思わなかった。今年の秋ツーリングで必ず行きます!

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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