- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784269820128
作品紹介・あらすじ
イランで生まれ、アフリカの大地で育った、異色のイギリス人女流作家、レッシングの会心作。生き、愛し、葛藤する女と男。繊細な心理描写。執拗なまでに対象に迫る姿勢。いずれの作品も読者を魅了して離さない。本邦初訳。
感想・レビュー・書評
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ドリス・レッシングの小説を読むのは学生時代の授業以来だ。授業では原文だった。
この短編集、良かった。
どれもいいのだけど、特に「トンネルを抜けて」と「十九号室へ」が良かった。読みやすい文体で情景とか気持ちとかがよく伝わってくる。
「トンネルを抜けて」
少年の寂しさや喜びがよく伝わってくる。海の中にもぐっている時の気持ちの葛藤、息苦しさ、美しさが十分に伝わってきて、読む方も息苦しくなるぐらいだ。最後に母親に報告する所が微笑ましい。
「十九号室へ」
幸せな家族を築いているはずだったのに。とても気持ちがよくわかる。非常に心理がわかる気がする。もちろん、スーザンの結末のような結果が必ずあるというわけではない。でも、多くの主婦にこの何とも言えない気持ちは子育てを一段落して時間ができてしまった頃に浸透してくるものじゃないだろうか。
なぜ、この足かせがまだあるのか。私はいったい何なのか。
あの微妙な何とも言えない気持ちをよく表している小説だ。はっきり言って向いた方向が別であれば結末は変わってたと思う。だけど、スーザンはそれが幸せになれると方法と思ったんだろうな。壊れた精神で。
私は娘が幼稚園に通い自分の時間ができたときの喜びは大きく、数ヶ月はその時間を満喫した。しかし、何とも言えない気持ちが出てくる。だから、私の場合は好きな仕事にまた出ることにした。充実した毎日だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示