- Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270005422
作品紹介・あらすじ
老人介護施設で暮らす98歳のグレイス。ある日、彼女のもとを新進気鋭の映画監督が訪れる。1924年に「リヴァトン館」で起きた悲劇的な事件を映画化するにあたり、ただひとりの生き証人であるグレイスにインタビューしたいと言う。封じ込めていた「リヴァトン館」でのメイドとしての日々がグレイスのなかで鮮やかに甦る。ふたりの美しいお嬢様、苦悩する詩人、厳格な執事、贅を尽くした晩餐会-そして、墓まで持っていこうと決めたあの悲劇の真相も。死を目前にした老女が語り始めた真実とは…。滅びゆく貴族社会の秩序と、迫りくる戦争の気配。時代の流れに翻弄された人々の愛とジレンマを描いた美しいゴシック風サスペンス。イギリス『サンデータイムス』ベストセラー1位、amazon.comベストブック・オブ・2008。
感想・レビュー・書評
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ああ、これは良い。
読み応えのあるゴシックロマンス。
ミステリ部分は少し弱めかな。予想がついちゃった。
元メイドが語る、ある貴族の闇。華やかそうな上階の貴族達と、使われる側の下階の使用人達の対比が良い。
そして、戦争がもたらす悲しみは、上階にも下階のにも同じく振り注ぐ。
原題は、the shifting fog. その後、改題しているらしいけど、読んでいると確かに情景も心理的にも霧の中にいるようで、なかなか素敵な題だなって思った。 -
一気読みです~「嵐が丘」を感じさせるこの作品は、私にとっては☆5つ決まりです!!
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ダフネ・デュ・モーリアの再来!などという宣伝文句に釣られて読んだ。オーストラリアの若き人気作家の処女作。確かにゴシックミステリ。背景も緻密な調査に基づいているのであろう。ストーリー展開もまあおもしろいし読ませる。でもなぜかどこか物足りなかった…「レベッカ」のように、名もなきヒロインの不安が痛いほど伝わってくるような感じがなく、普通のミステリという感じ。語り手の元メイドの女性は、第二次大戦後に考古学で博士号とったり、60過ぎてからメイド時代の初恋の男性と一緒に暮らしたりと、さらに波瀾万丈の人生を送ったようで、むしろこっちの話のほうが読みたいような気がした。
この本でよかったのは著者解題がついてることで、執筆にあたり参考にしたという資料がどっさり挙げられている。デュ・モーリアに自伝があるとは知らなんだ。ぜひ読みたい。さらに、この本を読んで似たような物語に関心を持った読者のためにいくつかオススメの本が挙げられている。知らない作家、作品もあったのでこれは収穫! -
途中長すぎてたるみそうになったんですけど、最後まで読んで、ああこれはこの長さだったから成り立ったんだな、と。そこまでに至る彼女の感じたあれやこれや、見て聞いて考えたことのすべてが最後の衝撃に収束されています。この前置きがなかったらこのオチのすごさは読者には伝わらなかったです。最初手にとって「うわ、長そう」と思っても最後まで読んでみることをオススメします。特に女性はこの感覚通じるんじゃないかしらん。
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秘密が、秘密であるがゆえに、悲劇だったというか。
大変面白かった。
現在の乾いた皮膚と過去のめくるめく色彩で織り上げられた物語。その血管と糸をほどいてゆく。その先にある真っ赤な真実。
映画化しないかな。 -
リヴァトン館で起こった事件を年老いた元侍女が回想する。
事件の真相は想定内。
しかしこの物語はミステリではなく、時代の因習に囚われてそこから抜け出そうとした1人の女性の人生を描くものなのでさほど気にはならなかった。
600ページの長い話の冒頭から少しずつ不安を折り重ねていく。描かれている貴族の華やかな暮らしとは対照的なその重さと暗さ。
それが最後の1章を鮮やかに浮かび上がらせている。
もっと言ってしまえばそこまでの590ページを越す物語は、それがなくても小説としては成り立つ最後の2ページのためだけにあったと。
いや、すごい構成だった。 -
メイドの視線から見た、イギリスの由緒ある屋敷の
人間関係あれこれ。
「古き良き」という言葉のぴったりの、
色々なつぼを押さえたヒューマンドラマです。
些か型にはまりすぎ。 -
2作目の方を先に読んだので、ちと期待はずれというか、もし次作も同じようだったら、この好みのタイプの設定もきっと飽きる。こっちを先に読んでたらよかった。