ヤマダ電機で電気自動車を買おう 仕組みを変えなければ温暖化は止まらない

著者 :
  • 武田ランダムハウスジャパン
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本棚登録 : 39
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270005897

作品紹介・あらすじ

いつかはなくなる石油、安全とはいえない原子力、温暖化の問題解決の糸口は見えない…。いや、待て、今ある仕組みを変えれば問題は簡単に解決できる!ap bank創設に関わった著者が教える地球温暖化問題解決のヒント。

感想・レビュー・書評

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  •  題名とユルそうな挿絵の表紙を見て"ジャケ読み"した本だが、内容は辛辣。
     筆者が恐竜と例える自動車メーカ、電力会社、銀行などの利益確保のために、エコに有益な電気自動車や自然エネルギー発電などの広がりを妨げていると指摘し、恐竜の都合で一般市民や途上国民などの弱者を蔑ろにしていると書いている。
     とはいえ、NPOバンクの運営や自然派住宅の推進者でもある筆者は、単なる社会批判ではなく、地域・エコ・個人間コミュニケーションを意識した身の丈に合った社会インフラの仕組みを提案している。
     成果や儲けを求めると忘れてしまいそうになるが、お金に使われないような身の丈に合った生活スタイルを逸脱しないようにしなければと感じた。

  • これタイトルと中身がちょっと違う…。中はNPOバンクについての本でした。

  • 決してヤマダ電機の宣伝をしている本ではありません。はじめは、電気自動車について次に電気について、この世界がどうしたらさらに素晴らしい世の中になるのかを説いています。

  • 目からウロコの視点がいっぱい。
    親しみやすいタイトルの割には中身が濃く、かつ分り易い。
    利潤のために古い体質を変えようとしない企業や政治を「恐竜」に例えて皮肉るだけではなく、著者の考える対策が提案されている。

    今年一番のあたり本!

  • 田中優著「ヤマダ電機 電気自動車を買おう」ランダムハウスジャパン(2010)

    題名とは異なり、内容は環境対策に関する本である。著者の田中優は、APバンクの理事をかねている。APバンクとは、音楽プロドゥーサー小林武史、ミスチルの櫻井和寿、音楽家の坂本龍一の3人が出資して立ち上げた非営利のバンクで金利は1%。環境とエネルギーに対して融資をする銀行である。

    * 日本政府の主張する2020年に二酸化炭素を25%減らすという目標は日本を滅ぼすと。しかし、日本の二酸化炭素の排出量の多い企業20社だけで日本全体の二酸化炭素量の40%を占めている。
    * 今のガソリン自動車の発熱したエネルギーのわずか12%しか移動エネルギーとして使えていない。爆発力だけ利用しているため、熱のほとんどが無駄になっているためである。
    * 電機自動車を作ったとしても走行エネルギー効率は低い。なぜなら、発電所の問題が絡んでくる。日本の発電所は世界最高のレベルを誇るとはいえ、それでも熱の40%程度しか電気に変換できていない。この40%からはじまるのだから、電気自動車の効率は高くはなれない。
    * 確かに電気自動車の走行距離は160kmしかない。しかし1日の走行距離の平均はほぼ40~50kmである。燃費は抜群に良い。現在の電機価格でkmあたり1円。
    * 1996年、アメリカのカリフォルニアで販売しようとするすべての自動車メーカーに、電気自動車の販売を義務付けた。セカンドカーとして購入した彼らは、セカンドカーとして近所を走るときだけに使用するのであれば、電機自動車の走行距離だけで十分だと気がつき始めた。大好評で、予約が殺到した。それに危機感を覚えたのが、石油業界と自動車メーカー。石油業界は石油の時代が終るのを恐れ、自動車メーカーはエンジンという技術的優位性を失うことを恐れた。結局彼らは、リース契約扱いになっていた電気自動車を一斉に回収し、実際には叩き潰した・・・ドキュメンタリー映画『誰が電気自動車を殺したのか』
    * 『日本ガイシ』のNAS電池は、鉛電池に比べ、電力貯蔵密度が3倍高く、貯めた電機の80%を使う事ができ、期待寿命は15年(通常5年)。この電池を共同開発していたのは東京電力。しかし、東京電力は、この売れまくっていたバッテリーを自ら使用し、スマートグリットを進めようとしていない。自らの利益のために、新しい仕組みのほうをつぶそうとするのではないか。という疑問がわいてくる。
    * スマートグリッドが伸びると今後アメリカに電子力発電も石炭発電も一基も立てる必要がなくなるかもしれない。
    * 従来、電機需要の増加には発電所を立てることで対応してきた。これを電気を供給する側で管理・コントロールするので『サプライサイドマネジメント』と呼ぶ。しかし、今は、需要側で管理・コントロールする方法が主流になりつつある。これを『ディ万度サイドマネジメント』と呼ぶ

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著者プロフィール

1957東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和のさまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「apbank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の非常勤講師。著書(共著を含む)に『環境破壊のメカニズム』『日本の電気料金はなぜ高い』『どうして貯蓄が行けないの』(以上 北斗出版)、『非戦』(幻冬舎)、『Eco・エコ省エネゲーム』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方』『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』(以上 合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオ』(扶桑社)、『おカネで世界を変える30の方法』『天然住宅から社会を変える30の方法』(合同出版)、『いますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー 1~3 』『いますぐ考えよう地球温暖化 1~3 』(岩波書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育の落とし穴』(大月書店)、『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(武田ランダムハウスジャパン)、『地方論』(子どもの未来社)など。著者ホームページ「田中 優の“持続する志”」 http://www.tanakayu.com

「2013年 『子どもたちの未来を創るエネルギー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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