資本論 (2) (国民文庫 25)

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272802524

感想・レビュー・書評

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  • 労働者にとって、1日のうちのどれだけが自分のための労働で、どのだけの量が資本家のための労働かという話からはじまる。非常にブラックな職場環境だったようだ。
    子供たちも働かされていた。食事も満足にできず、徹夜で働かされても、残業代は支払われない。体が歪み、短命でなくなっていく。これは1867年の話だ。明治維新と言うことだろうか。日本はどうだったのだろう

    ミルの自由論もこの頃に書かれていた。彼が訴えていた、人の個性を大切にしようとかそういった事はただの夢物語に聞こえる。

    イギリスの労働者はアメリカの黒人奴隷と同じだとマルクスは批判する。これは奴隷制と言うものに対してマルクスが良くは思っていないが、奴隷とはそういうものだと考えているのだと感じられる。

    イギリスの労働者は遊ぶこともなくずっと働かされている。そこから良いアイディアなど浮かんでこないだろうというのがマルクスの言い分だ。それはイギリスにも遊ばないで働いてばかりいるとバカになると言う諺がある。

    工場における労働、主に子供たちの労働、その歴史について。子供の長時間労働は今に始まったことではなく様々な法律によって労働が保障されていた。

    リレー制度と呼ばれる、子供や夫人をいろいろな部署やいろいろな工場に移動させることによって長時間労働を実現する。法律に違反しないように、場所を変えて、新しい業務を担当しているかのように見せるのだ。

    資本家がいかに剰余利潤を産むかという話。
    要するに労働者をグロスで雇い、過剰に労働させることによって自分たちの利益を得ていると言う話。これは現代でも似たようなことが行われている。当時の資本家たちは法律の規制をかいくぐりながら、いかにして利益を生むかということを考え、非人道的なシステムを駆使していたようだ。しかし、このシステムは、今の時代にも生きている。

    労働者が、今までと同じ時間で倍の製品を作ることができるようになったとして、商品の価値が半分になる。資本家は今までと同じ時間で前の製品を販売することができる。それは労働時間の短縮につながるかというとそうではなくて、今までと同じか、もしくは労働時間が伸びる。つまりたくさん働かせれば、たくさん製品ができる。

    たくさんの労働者が同じ作業をすると、少数の労働者が同じ作業するのに比べて生産性が上がる。生産性と言うよりは生産量が上がる。

    今はたくさんの労働者が1つの工場でそれぞれの作業を行って1つの製品を作ると言う話をしている。つまり生産のフローというかそれぞれの労働者がバラバラに自分の仕事をするということだ。
    その前は労働者は資本家に雇われて取引をする。春河工場が大きくなればなるほどたくさんの費用が必要だ。労働者同士は協業することは無い。いや、教養はする。しかしお互いに取引する事は無い
    資本家はたくさんの金が必要でその金で労働者に支払いをする。

    職人の手によって完成されていた製品が、分業されて細かい作業の積み重ねになった。1人で時計を作っていたが、それが分業されて細かいパーツをたくさんの人間が作り組み立てる。そういうふうに変化したと言うのだ。これによって大量の製品を作ることが可能になった。また自宅ではなく、工場で作ることによって移動の時間がなくなる。全てが合理的に、細分化されていく。ある意味この仕事の仕方は現在でも続いている。
    こうして細分化されていくと、人々はその仕事しかできなくなる。

    マニファクチュアは部分でしかない。つまり人間が労働の1つのパートを占める。そこには技術もないし特別な価値もない。誰でもできる仕事をしている。これは今においても言えることだな。

    機械が普及することによって今までは人間のそれぞれの技能によって幅が現れていた生産性に、大きな変化が現れる
    つまり誰がやっても同じものができるようになり、作業は細分化される。最初は特定の人間が特定のパートを担当していなければいけなかったが、それもなくなる。つまり単純な作業に置き換えられるのだ。

    機械と言うものが、いかに人間が手作業で行っていたものを自動化したかと言う話が続いている。それがいいか悪いかと言うよりは産業の発展の話をしているわ。

    引き続き機械がいかに生産性を高めたかと言う話。
    人が手によってやっていたこともそうだし、人が機械を使って、この場合は機械と言うよりは道具と言うべきか、道具を使って作業をした時。それに比べて工場で機械を使った場合はるかに生産性が上がる。しかも人も少なくて済む。

    機械は生産性を上げたが、人々の給料は上がらなかった。
    やがて、幼い子供、13歳以下の子供を働かせてはいけないと言う法律が決まったようだ。
    子供たちは学校に生かせるようになった。ただ教師は自分の名前も書けないような人がたくさんいたようだ。
    また親が、母親が働いていると、子供を虐待するようだ。そういった社会的な問題を今は語っている

    機械が改良される、また労働時間を短くすることによっても生産量は変わらない。資本家は労働時間を減らすことによって、機械の損耗を減らし、今までと同じだけの売り上げを手にすることができる。
    これは今の労働条件の改善と称する政策に似ている。つまり、生産性を高める必要があると言うことだ。そして生産性を高める結果として、労働時間は少なく、売り上げは上がる。そのためには何が必要なのだろうか。

    機械が改良されることによって労働時間が削減されたと言う話。労働時間が削減されたことについてマルクスは好意的な書き方をしていない。なぜだろう。労働時間が減っても労働者の待遇が良くなったわけではないと言う話なのだろうか。

    機械の発達によって労働者たちが仕事を失う。
    機械の作業が簡単になったことで子供たちが働かされるようになる。つまり熟練した職人の技は必要なくなったのだ。
    ここで思ったのだが、マルクスはどうして労働者の生活に対して興味を持ったのだろう。マルクス自身はそういう階級ではない。

    機械が労働者を駆逐する
    仕事にあぶれた人たちは、もちろん生活手段のために生活のために仕事を見つけなければならないが、それは元の仕事より安いものである。なぜなら労働者たちは1つの仕事だけをずっとしてきたので、つぶしがきかないのだ。
    機械が発展するにつれて労働者の数は減った。

    機械化が進み、資本家たちは原材料に混ぜ物をするようになってきた。その混ぜ物をするのは品質が悪くなるだけではなく、労働者たちの健康状態にも影響を及ぼした。そして安い賃金で、汚い小屋に押し込められて生活をする労働者たちは粗雑で卑猥な人物になっていく


    工場で働かされる人は、ずっと単純作業しているので、何かの知識や経験が身に付くわけではない。要するにつぶしがきかないのだ。また文字も読めなかったりする。そーゆー子供たちはある程度の年齢になると失業する。そして犯罪の予備軍になる。

    工場における労働者への扱いのひどさについての講義。
    労働時間は減ったのだろうか。
    それでも、労働は過酷で、女性もひどく働かされると言うことを書いている。

  • 資本家に搾取された労働者の悲惨な歴史が記述されており、この書物に書かれた時代よりは労働者の環境改善がなされているという印象を受けた。とはいえ、本書の前半部分と末尾を読んでいくと、現代に共通する資本主義社会の問題点が洗い出されており、資本家が利潤を追求するための工夫や過程が理解できる。2巻を読み終えた結論として、労働者は資本家に逆転できない立場であり、資本家のなすがままに延々と搾取される構造だ、という残酷な事実を認めざるをえない。

  • 第一分冊では剰余価値が生成されるメカニズムについて解明された。第二分冊は剰余価値を絶対的剰余価値と相対的剰余価値に分類してそれぞれを考察する。絶対的剰余価値とは延長された労働時間のことであり、今も社会問題として取り上げられるものである。相対的剰余価値とは、投下資本における剰余価値の割合のことである。労働時間の規制は今も昔も変わらず社会からの圧力によって法律で規制されるのだが、労働時間が減少すると絶対的剰余価値も減少してしまう。そこで資本は、機械の導入によって生産性を高めることで、食費など生活必需品の価格を下げ、結果として投下資本の絶対量を変えることなく、より多くの剰余価値を得ることができるのである。要するに生産性を上げれば上げる程給料が減る訳でして、サラリーマンとはつくづく哀れな奴らである。おそらく平成日本のデフレスパイラルも不況だけが原因ではなくこういったことも影響していたのだろう。もっというと大店法なども大資本による小規模自営業者の一掃に寄与しただろう。

  • 読めば読むほど応えてくれる本。こういうものを何人かの議論できる人たちと共に読めることを心から幸せに思う。

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著者プロフィール

カール・マルクス(Karl Marx):1818-83年。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。ヘーゲル左派として出発し、エンゲルスとともにドイツ古典哲学を批判的に摂取して弁証法的唯物論、史的唯物論の理論に到達。これを基礎に、イギリス古典経済学およびフランス社会主義の科学的、革命的伝統を継承して科学的社会主義を完成した。また、共産主義者同盟に参加、のち第一インターナショナルを創立した。著書に『資本論』『哲学の貧困』『共産党宣言』など。


「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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