ビジュアルデザイン論――グーテンベルクからSNSまで
- クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2021年5月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784295405474
感想・レビュー・書評
-
「ビジュアルデザイン論 グーテンベルクからSNSまで」
「ビジュアルデザイン」と聞くと何を想像しますか?私はこの本を読むまで、美的で芸術的で視覚的な要素のみを想像していました。しかし、技術的なもの、すなわち著作権をクリア出来るか、今その商品に存在する問題をいかに解決できるかも、ビジュアルデザインのひとつです。
例えばスーパーのレシートや、洗濯のタグ、量産されているお菓子のパッケージもデザイナーがいて、ビジュアルデザイン論を用いてデザインされています。
この本を読んだ感想としては、デザインに関して知識があまりなくても大変読みやすい本だと感じました。ビジュアルデザインの本だけあって、300を超える図版が掲載されていて、視覚的にとても楽しめます。作者が何の事例の話をしているのか、大変わかりやすく、専門的な話であっても、理解が深まりました。
また、この本はイタリア語の翻訳ですが、訳がとても丁寧で、本国でないとわからない店の名前、TV番組の名前も説明がされているのも読みやすいと感じた理由の一つです。
内容として考えさせられたことは、売り手側はデザインの歴史、人間の行動心理、配色などあらゆる知識を持ってデザインしています が、受け手側はそのデザインのバックグラウンドを知らずに消費していく社会がなぜ成り立っているのかと思いました。
もし、国民の全員がこの本を読んだら、受け手側の嗜好や、考え方も変わるのかなと。
デザインに興味がなくても、この本を読むと日々デザインに触れる時に、感じることが変わるかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・今日のデザインにおいてさらに重要性を増している要素は、才能というより企画能力であり、つまりは社会においてデザインをどのように機能させるか理解することなのです。
・絵は才能の問題だとする考え方のために指導が行われず、天才でない限りはチャンスを奪われているのです。
・デザインは本来、理性的な思考や問題設定を行い、ストーリーを語るための方法として取り組むべきである。
・今必要なのは、ビジュアルデザインに広い範囲を網羅できる柔軟な定義を与え、真摯な表現の意図がみられる作品はすべてそこに含まれるようにすることである。
・デザインの理解とは、その表面的な形態を認識することではなく、デザインが誰のメッセージを伝えているのかを知ることなのです。 -
記録
-
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/766205