パーセプション 市場をつくる新発想

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296200863

作品紹介・あらすじ

「『認知』から『パーセプション(認識)』への移行は、21世紀型マーケティングの基本である」

元ネスレ日本社長兼CEO(最高経営責任者)の高岡浩三氏は現代のマーケティングにおいて、パーセプションを軸とすることが基本になると言い切ります。そして、本書を「その本質を実務的に解説する決定版だ!」と推薦します。

本書は、『PRWEEK』誌によって「世界で最も影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選ばれたPRの専門家である筆者が、マーケティングにおいてパーセプションの重要性が増している理由、パーセプションが生まれるメカニズム、マーケティングへの具体的な活用法などを解説。資生堂、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ワークマンといった先進企業の豊富な事例を交え、実務に使えるノウハウとしてさまざまなフレームワークを用いて指南します。

●パーセプションは顧客層を広げる新発想
マーケティングにおける「パーセプション」を平たく言えば、第三者から見たモノゴトの見え方や捉え方を表します。商品、サービス、人物、イベントまで、あらゆるモノゴトは第三者の視点によって、万華鏡のように見え方が変わります。ある人にとっては有益な商品も、別の人の目には不要だと映るかもしれません。

本書で取り上げている、森永製菓の「森永ラムネ」はその象徴と言えます。森永ラムネに向けられる以前のパーセプションは「子どものお菓子」でした。対象の顧客層は子ども、あるいは子どもを持つ親が中心で、大人が自分のために進んで買うケースは少なかったことでしょう。

このパーセプションを大きく変えたのがSNSの口コミです。ぶどう糖が90%配合されているという商品特徴が「二日酔いに効く」「集中力が上がる」といった口コミとなり、SNSで話題になりました。「森永ラムネはビジネスパーソンの仕事の"アシスタント"」、そんなパーセプションが形成される中、森永製菓は大人が持ち運びやすいように、密閉チャック付きの袋をパッケージに採用した大粒の新商品を発売し、大ヒットしました。

●商品が売れない。その理由はパーセプションにある。
商品開発、マーケター、広告・宣伝部、広報、営業、さまざまな方が日々、顧客に商品を購入してもらうためのコミュニケーションや潜在ニーズの発見に取り組んでいると思います。ですが、どれだけ便益のある商品やサービスを開発して、テレビCMなどで認知度を高めても、好ましいパーセプションがなければ購入には至りません。「みんなが知っている」の先にある、「みんなにどう思われているか」が重要な時代です。パーセプションが生まれるメカニズムを理解し、コントロールすることも売れる商品づくりの必須条件となっています。

感想・レビュー・書評

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  • 【体裁について】
    文章が分かりにくく、論理性に欠ける部分も多い。

    (例)「男性のメイクに対する抵抗を大幅に下げた」ことのファクトがPR「後」の市場調査だけ、等

    加えて誤字も目立つことから、丁寧に描かれていない本という印象を受けざるを得ない。
    3章途中から飛ばし読みに切り替えた。

    【内容について】
    マーケターの書く本って胡散臭いな、と改めて実感。どの本もお決まりの成功例を表面的にこするだけなので、薄っぺらさが拭えない。

    マーケティングドリブンのパーセプションづくりのポジティブな面だけが取り上げられ、弊害について触れられていない点も気に掛かった。
    真に顧客のペインを解決できる「こんなのを求めてた」というプロダクトであれば良いが、これまで気にもしていなかったことで騒いで顧客を脅かし、金を取る行為を「パーセプションによる市場創造」などと礼賛するのは良くない(個人的には本書でまさに事例として上がっていた洗剤や、柔軟剤などのカテゴリーに多いイメージ)

    【総評】
    学ぶところもあったはずだが、結局「顧客や市場を操作して金を取ろう!」というマーケターの浅ましい・信用ならない側面を再認識する結果となった。
    企業自体が営利活動なのだからその一機能であるマーケティングもそういう性質を持たざるを得ないのだろうが、本来マーケティングとはこういうものなのだろうか?
    そんな疑問に示唆を与えてくれる骨太なマーケティングがあれば読みたいと思った。

  • 日本で馴染み深い企業の事例が多く触れられており、面白い内容だった。
    序盤で「パーセプションはブランドの対極にある」と紹介された時はなんとなく流していたが、最後まで読んでみると、凄く腹落ちした。
    ブランドはデザイナーが先頭に立ち流行を作っていく、消費者はブランドにステータスを感じて購買する。
    パーセプションは世間の見方を把握、コントロールしてトレンドを作っていく。
    現代では娯楽が多様化しており、自分の興味ないことは全く無関心になる人が多くいると思う。
    だからこそ、現代ではブランドよりもパーセプションの方が重要になる。

    atama plusの取組みは本書で初めて知ったが、学習塾での事例が面白かった。

    全体的に事例が多く、わかりやすい言葉を使っているのでスッと理解できて面白い。章もコンパクトに分けられているため、個人的に読書スタイルとマッチしていたことも良かったです。

    また、nttデータでの活用もためになりました。私もチームメンバーの会社へのパーセプションを測ってみようと思います。

  • パーセプションを理解する良い機会となった。
    音部太輔氏の本も読みたくなった。


  • 広告業界(とくにクリエイティブ界隈)でよく言われる「スルーされるくらいなら嫌われても覚えられる方がマシ」に昔から違和感があったんだけど、その答えが書いてあった気がした。

  • コンシューマー系なので自分のビジネスにはダイレクトには活かせないが、読み物としては参考になった

  • 「パーセプション」(認識)とは、第三者から見たモノゴトの見え方や捉え方のこと。パーセプションの重要性や、パーセプションが生まれるメカニズム、マーケティングへの具体的な活用法などをPRの専門家が解説する。

    第1章 パーセプションの正体――なぜ「パーセプション」が重要か
    第2章 マーケティングに活用する――パーセプションの「五段活用」
    第3章 パーセプションを「つくる」――新たなる認識の創造で市場開拓
    第4章 パーセプションを「かえる」――認識変容で顧客層を拡大
    第5章 パーセプションを「まもる」――企業・商品に好ましい認識の維持管理
    第6章 パーセプションを「はかる」――既存認識の計測分析
    第7章 パーセプションを「いかす」――社内広報や商品開発に応用
    第8章 「パーセプション発想」がもたらすもの――企業やビジネスに与える4つの視点
    【巻末収録】音部大輔氏 特別対談「認知度が高いのに売れないのはなぜ?」

  • 面白い!

  • 商品、サービスへの顧客から認識(パーセプション)が重要だと。事例も多く収載されていて、わかりやすく解説されている。PRの観点で書かれている部分が多いが、ブランディングの観点でも同じことが言えると思った。

  • 認知ではなく、認識(パーセプション)に関して触れたマーケティングの本。

    その商品を認知されるだけではダメで、
    なぜその商品を使うべきか、使うことによる効用を正しく認識されることの重要性が書かれている。

    パーセプションを確立するにはいくつかのパターンがある。

    1.事象
    事実や事象を見てそれがこうである、と認識する。
    例えば、かつてハイボールブームを巻き起こしたサントリーは、若者がハイボールで乾杯する酒場を意図的に都内に出現させた。
    意図的に作り出したこの事象をメディアが取材することで、「衰退していたウイスキーが、ハイボールで若者に人気になっている」というパーセプションを世の中に広めるきっかけとなった。

    2.リテラシー
    ユーザーが持つ前提知識とのギャップによって生まれる。
    例えば、スウェーデンでは数年前に、オーガニック食品を2週間食べてもらい、子供達から検出されてた化学物質の数値がゼロになった、という実験を動画マーケティングを行った。
    スウェーデンでは、オーガニックが身体にいいと言うことが認識されていなかったため、これによる効果がかなり大きかった。

    3.グループ
    どこに所属しているかによって見え方が変わる。
    例えば、電動車椅子が挙げられる。
    介護や障害者向けのグループであれば、移動が困難な人向けの補助製品、パーソナルモビリティのグループであれば次世代の移動手段としてみられるように、投入するカテゴリーによって見られ方が変わる。

    4.タイミング
    コロナ禍のマスクがまさに。
    風邪の人がつけるくらいのマスクが、コロナ禍では全員が感染予防だけでなく、他人からの見られ方を気にしてつける。
    社会のタイミング、状態によって変わった典型例。

    5.コントラスト
    東京タワーとスカイツリー。
    スカイツリーが出来るまでは東京タワーが高いイメージで、観光スポットだったが、今では同じタワーではスカイツリーの方が高いし人気。


    以下、事例ごとに紹介。

    ・アリエール
    2000年代前半
    「除菌」を付加価値として訴求。
    天日干しをすればバイ菌は無くなると思ってた消費者に対して、
    専門家と研究を行った結果を発表し、それだけでは菌は無くならないことを訴求し、通常の選択では菌は無くならない、洗剤で除菌した方が良いと言うパーセプションを確立した。

    ・森永ラムネ
    19年に大ヒット。
    二日酔いにはブドウ糖を取れるラムネが効く、と言う口コミが広まり一気にヒット。
    元々は子供用のお菓子というイメージだったことに対して、二日酔いに効くという認識を得ることで4年前の2倍の売り上げになった。

    ・atama plus
    AIを活用し、基礎学習能力を上げると言う認識を得る。
    大手学習塾のZ会が個別指導教室にatama+を活用した学び方を導入したことで、生徒の成績がグッと上がった。
    この成果を受け、その他の大手塾でatama+の導入が進んだ。
    そして19年3月には大手予備校の1つ、城南予備校が長年培ってきた集団授業型の学習カリキュラムを全面廃止し、atama+を活用したカリキュラムへと完全に切り替えた。
    城南予備校の決断は塾業界にインパクトを与え、他の塾も続々導入し、塾業界はAI学習に対して新たなパーセプションを持ち始めた。

    メディアの露出が増えたことを機に、大企業との提携や、AI技術を活用した専門人材の育成、資格試験の勉強と効率化といった魅力的な新事業の相談が舞い込むようになったそうだが、すべて断った。

    広く認知を取りに行くよりも、基礎学力の習得はAIによって効率化できるという、限られた小さな領域のパーセプションをつくり上げるべきだという判断からそうしたらしい。

    あえて「日本国内の塾マーケットの中高生に基礎学力を向上させる」ことに絞り、地道に啓発してきた結果、塾業界に新たなパーセプションが生まれるに至った。

    ・資生堂のメンズ化粧品 uno
    男が化粧をする、と言う認識では売れなかった。
    「第一印象は作れる」と言うパーセプションを作り成功。
    その認識を持ってもらうべく、起業家向けセミナー、転職・就活セミナーで紹介した。
    そしてこのセミナーの様子をメディア露出させると言う形でパーセプションを広げた。

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著者プロフィール

本田事務所代表/PRストラテジスト「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。09年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」(東洋経済新報社)など多数。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

「2022年 『パーセプション 市場をつくる新発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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