新型コロナと貧困女子 (宝島社新書)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299006301

作品紹介・あらすじ

新型コロナウイルスの拡大で全国に「緊急事態宣言」が発令された。最も打撃を受けているのが、
風俗、水商売、アダルトビジネスに従事する女性たちだ。
もともと貧困層が多かった地下経済の主役たちは、コロナショックでいったいどんな状況にあるのか。
貧困層の動向をウォッチングし続けてきた中村淳彦氏が、緊急取材。
女子大生風俗嬢、ネカフェ女子、シングルマザーら、貧困女子たちの生の声をレポートする。

感想・レビュー・書評

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  • コロナ始まってすぐに 繁華街など飲食店などがお休みして 学生などがアルバイトがなくなって大変だというようなニュースを見た。
    今回は女子学生が学費を稼ぐために 身体を売る事などが書かれていた。
    学生のみならず 他の職種に就けなかった女性たちがコロナ禍で追い込まれている様子が取材されていました。

    経済が大変になったら 一番最初に痛みを受けるのは 弱者です。

    身体もそうだけど心が痛む仕事をして この金額とは 悲しいです。

    コロナ禍は終わっていませんが 経済も動き始めているので 多くの女性が貧困から抜け出れることを祈ります。

  • 2020年に始まったコロナ禍。
    学費のために歌舞伎町で働く女子大生やホスト狂の女性、沖縄などに出稼ぎ風俗嬢をしに行っている女性、池袋駅西口で身体を売る女性。
    緊急事態宣言や自粛要請が発令され、夜の街で働いていた女性たちの収入は激減した。ソープ嬢は雇用や所得を証明できず、役所での緊急支援も受けらなれなかったらしい。

    これまで税金も年金も払わず、確定申告もしていなかったことに驚いたが、この業界では当たり前のことなのだろうか。
    税金を納めていなかったとしても、生活保護は受けられるんじゃないだろうか、とも思うけどその辺どうなんだろう。たとえ税金未納入でも貧困者を見殺しにするようなことはないんじゃないかな。

    地方からやってきた女子大生たちが風俗店で働いて、懸命に学費や生活費を捻出している現状にも触れていた。奨学金を使っても、学生生活がままならないのは悲しいことだ。
    女子学生たちが頑張っているのはよくわかったが、地方からやってきてお金のない男子学生はどうしているんだろうとも思った。身体を売ってお金を稼ぐこともできない(男性が働く店もあるだろうけど、女性よりも働き口は圧倒的に少ないはず)のに、学費や生活費は発生し続ける。引っ越しのバイトを頑張りまくっているのだろうか。
    お金のない人は進学するな、というのは間違っていると思う。けれど、進学した結果、風俗店で働くことになりました、という実情が正しいのかと言うと、そういうわけでもない。この国にお金の余裕はないんだな。

    2021年1月の現在も、緊急事態宣言を出すべきかどうかで揉めている。
    緊急事態となれば、風俗店や飲食店は営業を制限されてしまい、そこで働く人たちの収入は無くなる。
    コロナウイルスに感染して苦しむ人や亡くなる人を増やしてはいけない。しかし、仕事や収入を失って路頭に迷う人を増やしていいというわけでもない。

    この先、どうなっていくのか誰にもわからない。
    国のやり方に疑問点はあるけど、とりあえず自分は税金も年金も払っていく。コロナ禍以前の日常が戻ることを祈りながら。

  • 2022.03 図書館借本
    *
    社会勉強のためにと読んでみた本。
    想像以上に知らない世界、わからない世界があったし、これが現実世界だということが恐ろしい。男尊女卑社会がつくった貧困女性の劣悪環境がよくわかった。

  • 2022.23

    一度入るとなかなか戻れない世界。
    自己責任論は確かに過酷かもしれないけれど、それを全て社会の責任としてしまうと、支える側にとっては少し納得がいかないかなと私は思う。

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11470528

  •  中村淳彦「新型コロナと貧困女子」、2020.7発行。①繁華街は貧困女性に対する再配分の場であるが、日本は平成以降貧困化、繁華街の女性の供給は過剰で、女性のカラダやセックスは深刻なデフレ状態 ②更に、新型コロナ蔓延の影響で、濃厚接触でしか生きることができない女性たちは・・・。③風俗で働いても大学生活を続けられない。卒業後は奨学金の返済地獄。いつまでも続くカラダを売る生活。売れないベテラン風俗嬢はさらに苦しい。 ④ギリギリのセーフティネットを破壊した新型コロナ。乱交パーティが貧困女性のセーフティネットに。

  • 東2法経図・6F指定:367.9A/N37s/Ishii

  •  今まで、この著者の本はちょっともやっとするというか、なんだか感じ悪いな、ということが多かったけど今回はそういう雑味が控えめになってたと思う。読む方の私の見方が変わった可能性もあるが。
     お水お風の女性達のエピソードで、来歴を読んでいるとどの人も初めは普通の高校生、大学生なのに、さらに普通の生活を送り続ける、それだけのために女性性を売ってのリスクを抱えなくてはならなくなり、気づくと引き返せない生き方にまでなってしまった過程がよくわかった。そこに新型コロナ禍で、まだ昼職のほうが稼げるくらいに夜のお仕事が縮小されていき、苦境に職業ゆえの差別があらわに迫る。同じ人間で必要な費用は誰でも一緒なのに?
     とつらい気持ちになったところで、ラスト2章以降はこの人たちも昔は普通の高校生とかで…とかが想像できないモンスター感ある女性たちが描かれてメリハリを感じた。実在するんだこんな極端な人、でも居るんだろうな、の説得力あるルポだった。かなり読みごたえがあった。

  • 社会派(?)な内容を期待して手に取ったが、生活苦から主に風俗で働く女性達がコロナ禍でさらに苦しい生活を強いられることになっているのを、一人一人にじっくりと取材している本だった。

    所謂「底辺生活者」が次々と登場する。そういう人達をわざわざ選んだのかと思えるほど家庭環境が厳しかった人達が、その流れで風俗業界に入り込んでいく。

    著者による「肉体の価値のデフレスパイラル」「性を売ることによる富の再配分」といった言葉が妙に印象に残る。読んでいて気分のよい本ではなかったが、オブラートに包むことなく日本で実際に起こっている貧困の実態(やや偏りあり)を剥き出しにしている。

  • 中年男性が次の貧困化のターゲットになっていたなんて思いもよらなかった。定年45歳社会が始まったら良かったのに。女性や若者を犠牲にして団塊世代高齢者達は経済的に豊かに暮らしていたんだね。
    この本に出てくる貧困女子たちは私の金銭感覚と違い過ぎて驚いた。数百万稼いでも足りないなんて、本当に大変だね。でも使ってくれる人がいないと経済回らないし…特定の部分だけを見たら問題があるように感じるけれど、全体的に見てみれば実は全部最適に世界は動いているのかもしれない。金持ちを羨ましいと思えないのと同じくらい、貧困を可哀想だとは思えない。それぞれがそれぞれの立場で生きるべき生き方をしているだけなんだと思う。

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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