行動心理捜査官・楯岡絵麻 vs ミステリー作家・佐藤青南 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299016140

作品紹介・あらすじ

累計72万部突破の大人気シリーズ最新刊!
刃物でめった刺しにした殺人事件の容疑者の男は、犯行は認めたが、なぜか被害者を認識していなかった。その後も酷似した殺害方法が続き、やがて被害者は皆、SNS上でミステリー作家・佐藤青南を批判していたことがわかる。佐藤は心理学を駆使する警察官が主人公のミステリーで人気を獲得。オンラインサロンを運営しており、多くの会員をもつ。佐藤に疑念を抱いた取調官の楯岡絵麻だが、佐藤は行動心理学に精通しており、絵麻に隙を見せない。さらに行動心理学で見破った事実は証拠にならないと豪語する佐藤。はたして佐藤青南の殺人教唆は成立するのか?

感想・レビュー・書評

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  • 楯岡絵麻と同じ、嘘を見破る能力を持つ小説家、佐藤青南が登場する。

    まさか作者と同じ名前の犯人が出てくるとは。
    でも、いつもながら安定して面白い。同じ能力を持っているので絵麻も感情を読まれてしまい、いつもとは勝手が違う。さらに佐藤青南は絵麻に感情を読まれても全く動じない
     
    いつもと違う感じで楽しかったです。

  • 今回は相手が作者名の男、そして最強の敵である。楯岡絵麻は勝てるのか?

    心理学的な要素が今回も散りばめられている。
    面白い表現があり、エコーチェンジバー現象についてだ。これは、ブラック企業によく見られる。業績を上げないものは冷遇し育成もせず残ったものだけ淘汰する。収益だけを追求する企業に未来は無い。

    信仰宗教的な組織と教祖、その犯罪は巧妙かつ大胆であり、楯岡絵麻をはじめ筒井たちが奮闘するのは読み応えがある。このシリーズで最も煮え切らなさを感じた。
    そして最後に広瀬真沙代に声をかけたのは誰だ。佐藤青南に次ぐ神とは誰の事だろう。

  • 楯岡絵麻シリーズの最新刊。
    とある殺人事件から関りが浮上された小説家の佐藤青南。
    彼が主宰するサロンに絡む事件から本人との対決へ。
    心理戦vs心理戦。
    渦巻くサロンの悪意と佐藤自身が本当に欲しかったもの。
    すごく読み応えあって面白かった。
    楯岡絵麻シリーズは僕が読書を始めるきっかけとなった作品。
    今回もすごく良かった。
    僕のなかではやはりこのシリーズがミステリーナンバーワンかな。

  • 作者が犯人役で登場という形式でしたが、無理に作者でなくても良いくらいの人間離れした犯人でした。

    4人(エンマ様、西野、筒井、綿貫)の連携が見事で、次作の手強い相手にも是非打ち勝って欲しいです。ドラマ版のキャストがいい具合に脳内再生されます。

    出版業界の(本当にありそうな)闇や怪しげなオンラインサロンなど、気になる設定でした。

  • 佐藤青南『行動心理捜査官・楯岡絵麻 vs ミステリー作家・佐藤青南』宝島社文庫。

    シリーズ第9弾。ついにネタが尽きたのか著者自身が登場するようだ。もしも、これが楽屋オチに終わったとしたら、末期だろう。

    創作とは言えど、思った通りの楽屋オチの上に次作への布石を残した煮え切らない結末。連作短編の中の1作ならばまだ理解出来るのだが、長編でこれをやられてはファンとしては納得出来ない。これまでのシリーズは全て高い水準の作品ばかりで、非常に面白かったのだが、一体どうしたのか。

    ミステリー作家・佐藤青南を批判するオンラインサロンの会員が相次いで殺害される。佐藤青南に疑いを持った楯岡絵麻は彼の殺人教唆を暴こうとするが……

    定価748円
    ★★

  • キネシクス対キネシクスという構図が興味深くて面白かった。キネシクスに対抗する手段として物証がないという前提があるならば開き直りというのが1番効果的という点がシンプル過ぎて拍子抜けするかが、目から鱗で盲点だった。また、対決相手に筆者の名前を使ってきたのには何か意味があるのだろうか?筆者が加害者を演じてみたかったのかな?そういう意味ではとてもイケすかない役を演じきっており、実験的な作品と思う。

  • 楯岡絵麻シリーズなのだと思うけど、今回は少し思考を変えた作品。
    タイトルもこれまでとは変えているが、内容はシリーズと変わらない。
    ただ今回絵麻が対峙するのは、何と作者自身。
    作者自身を小説に登場させるパターンは多々あるが、自分を容疑者として、小説に登場させてしまうというのに、ちょっとびっくり。
    しかも、自分のことを「作品は多数あるが、賞レースには名前が上がらない」とか言ってしまったり、オンラインサロンで宗教まがいの活動をしていたり、作品自体はそのオンラインサロンの会員に書かせていたり、とても非道な人間であると表現している。
    個人的には作者の作品はほとんど読んでいるが、周囲に「佐藤青南」と言って、通じる人がいるとは思えないだけに、妙にリアル…
    その作者も絵麻同様、相手のマイクロジェスチャーなどを読み取れるキネシクス使いである為、取り調べでの絵麻とのやり取りは読みごたえがある。
    事件そのものよりも、心理的描写に特化した作品であり、取り調べ室で頑張る絵麻と、現場で必死に証拠を探す筒井たちとの連携もあって、ずっとこのシリーズを読んでいるファンには堪らない内容だった。
    刊行する作品数が多いが、作品の出来にムラがある…
    この作者さんに関して、このような印象を受けたことはないが、思い当たる作者さんは確かにいる…

  • 楯岡絵麻が作家の佐藤青南と対決?!
    そもそも、佐藤の信者が犯した殺人から、佐藤のオンラインサロンに疑惑が。
    今回の事件はさすがのエンマ様も苦戦。

    2023.11.19

  • シリーズ9作目。本編に作者自身を登場させちゃったよ!しかも犯人役で...どうするんだこれ!?

    ここ2年で起きている連続通り魔殺人事件、やっと容疑者を見つけてエンマ様こと楯岡絵麻が取り調べを始めてみるも、殺された男の名前を聞いてもマイクロジェスチャー(無意識の微細運動、エンマ様はこれを観察することで相手の嘘を見抜く)が働いておらずピンと来ていない様子。手詰まりに思えたが容疑者が佐藤青南(作者)の信者だと言うことがわかり、被害者は佐藤青南をSNS上で批判したことで殺されたと思われる。

    自身のオンラインサロンを開き、信者に作品を何冊も買わせて売り上げを伸ばし、成功した佐藤青南。そこにエンマ様の捜査の手が伸びるが佐藤青南もエンマ様の使うテクニック、知識を持った人間だった。最強の敵にどう戦いを挑むのか?

    自分自身の描写って難しいと思うんだけど、かっこいいと持ち上げてみたり、よく見たら大したことないと下げてみたりその辺りの表現はフフフと笑いながら読んだ。佐藤青南もエンマ様と同じテクニックを使えるのでエンマ様の仕草から捜査の進展や、情報がわかってしまう。この辺りの読み合い、読まれ合いの攻防がめっちゃ楽しかった。佐藤も嘘を見抜かれるのを想定して動くので強い、本当に強い。鉄壁。

    気になる方は是非読んでみて。

  • 作家自身が登場人物の一人になるというストーリーでもう大方の筋がわかってしまった。特に取調室の中での心理戦も退屈に感じた。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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