そして花子は過去になる (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299039422

作品紹介・あらすじ

高校時代のトラウマがきっかけで家から出られなくなっていた花子。唯一の外との繋がりは「カコ」名義でプレイするゲームアプリのみ。そこで知り合ったレンと実際に会うことになるが、緊張のあまり約束の日に気を失ってしまう……。ところが、なぜかスマホには“出会っていない”はずの「レン」から「今日はありがとう」というメッセージが届いていた――。知られるはずのない本当の名前。いつのまにか増えていく“会っていない”のレンとの思い出。「大階段の鐘の下」「哲学の道」「貴船神社」、京都を舞台に描かれる、美しく謎めいた恋模様の行方は……。珠玉の青春ミステリーです。

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛ファンタジー作品。
    現代ならではの恋愛作品だけれど、親世代の私も楽しく読みました♪
    「勇気を出して!がんばれ!」って、力が入って応援したくなるラブストーリー。花子のお母さんが素敵でした♪
    題名の意味も、そういうことかー!ってなります(*´艸`)

    運命の出会いって恋愛だけじゃなく、家族も友達も職場の人もSNSで繋がってる人も、どんな出会いも奇跡だし必然だと思う。嫌な出会いだったとしても。

    何かのきっかけで人は変われる。それが恋愛って素敵だな~って思いました。

  • 帯にミステリーと書いてあるので、一応ミステリーのカテゴライズしましたが、正直ミステリーとして成り立っていると思えません。一応デートしてるカコは誰なのかっていうのが謎なんでしょうけど、考えうる限り最もつまらないオチでした(母親が自分を花子だと思い込んでるって筋まで考えたのに)。
    ていうか解離性同一性障害なめんな。こんな都合のいいもんじゃないぞ。

  • ハッシュタグストーリーの短編で木爾チレンさんを知ってすぐに本屋さんに買いに行った一冊。登場人物に、あまり出てこないんだけど蒼森さんっていうJKが出てきて、その人が本当に良い。ああいう人に憧れます。会ったこともないゲーム上で知り合った相手に互いに救われ、惹かれ合うっていうありそうでなさそうで、ありそうな設定だったけど、ちょっとのミステリー要素もあって楽しみながら読めました。自分に馴染みのある土地っていうだけだけど、京都の作家さんは京都を舞台に書いている方が多いような気がします。それくらい街を好んでいるんだろうなって思うと、京都の作家さんを凄く信頼しています。京都駅の大階段を、心の準備がしたいからエスカレーターを使わずに歩いて息を切らしながら登るっていう、待ち合わせの最上頂みたいな描写があって凄く好きでした。最後に好きな台詞をひとつ。

    「ううん、それがいい。がんばりなさい。花子、すべてはいつだって、これからよ。」

  • 作者のデビュー作を読んで以来の1冊。
    もっとひりついた感情を書く人かと思ったが
    想像していた以上に純粋な恋愛ものだった。
    タイトル回収に拍手。

  • 高校生男子です。
    今まであまりこういう小説は読まなかったですが、
    とても良かったです。
    主人公たちのような綺麗な心を持ってる人は絶対幸せになるべき人です。それがこの本では叶ってよかったです。
    自分も誰かの光になれるような存在になりたいと思いました。
    キングダムでも人の本質は光だ、という政の言葉が印象的で自分の価値観の軸にもなっているので、それを別の物語でさらに深めることができたと思います。

  • 引きこもりの花子かSNSで知り合った蓮。
    蓮と花子は実際に会うけど、引きこもりの花子には会ったという記憶がなく、、、

    世界は残酷かもしれないし、再び踏み出す怖さはわかる気がします。好きな人ができるだけでバラ色になる経験は懐かしいですね。
    物語に「生まれてきてくれてありがとう」という言葉がありますが、この言葉を聞けるかどうかで人生の見方が変わってくるような気がします。

    花子の中のカコは、一番の親友であり、こんな友達がいたら、羨ましいと思いました。

  • 恋愛ものであること+ジャケ買い。
    うーん、、正直かなり微妙だった。自分と同じように、タイトルと表紙から『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のような作品を期待して買った人も多いのでは。版元をみると『ぼくは明日~』と同じ宝島出版みたいなので、ヒット作をあやかった感じなのかな。

    微妙だった点は大きく二点。
    まず、恋愛小説なのにヒロインと男性の間でまったくトラブルが発生しない点。結局、恋愛小説の面白さって、二人の恋の行方をハラハラしながら読むことに尽きると思う。その点、本作に関してはとくにトラブルなく順調に恋が進んでいくので、起伏に欠けるのが今一つだった。

    次に、タイトルに込められた「ネタ」がイマイチだった点。『ぼくは明日~』みたいな新鮮さはまったくなかったかな。というわけで☆ひとつ。

    あとこれはどうでもいいことなのだけど、小説紹介クリエイターのけんごさんと本作の作者さんが結婚したとのこと。小説の帯には『けんごさん推薦!』的なことが書かれていて、書店でも目立つ位置に置かれていたことからも、なにがなんでも小説売ったるぜ!という出版社の魂胆がみえてほほえましかった。

  • 村上春樹の後に読んだから、ふだん慣れていない味わないと美味しさのわからないワインとは違う、味のわかりやすいラムネのようなキャッチーさを感じ、私にとってはすごく良いタイミングで読めたなと思った。
    手に取ったきっかけは表紙のイラストが中村佑介だったからなのですが、それもすごくハマってた。花子がカコで過去と同音なことに気づいたのは恥ずかしくも最後の方だったけど、その瞬間には鳥肌がたった。
    なんとも素敵なお母さんですこと。

  • 久しぶりに
    純粋な気持ちで登場人物に寄り添えた作品
    がんばって生きてる人
    みんなしあわせになれるといいな

  • スマホゲームで知り合った蓮に惹かれた花子
    会いたいと告げられたが学生時代のトラウマで引きこもっていて外出する勇気が出ないがいつのまにか会っていたことに‥

    何気ないことでも傷つけてしまうことってあるよな
    悪意があるのはどうしようもないけど‥

    カコの行動には想いが溢れてるな
    私の名前カコっていうの、は切ない

    母親も見守ってくれてたんだな

    タイトルは前向きになったってことなんだな

    なんとなく
    『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
    を思い出した

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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