- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784306052321
作品紹介・あらすじ
60年代末に建てた自邸「塔の家」で都心居住を提案し、センセーションを巻き起こした著者の都市居住論。著者は本書の中で、「塔の家」に住み続ける過程で生み出した数々の都市型住宅の事例を交えながら、21世紀の都市の住まい方を提案する。
感想・レビュー・書評
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都市型住宅の特徴を知りたくて読了。著者自身、6坪という狭い敷地に、塔の家を建設し、都市に住むということの意味を体現してきた。都市ほど周辺建物が接近しており、街との関係性が大事になってくる。著者は、自由度の高い空間構成法の基本的な概念を「タタミの精神」と呼び、現代住宅にも伝承されている。平面構成法として、スリットとマの2つ。気になるキーワードとして、環境への征服要素と調和要素の両方を考える「対立的調和」。これは幾つかに分割され、「個と集団」、「閉鎖と開放」、「連続性と遮断性」、「可変性と永続性」、「複合性と単純化」、「融合と貫入」の一連の対立点を論じる。一つの解決方法として、ブリッジという空間構成手法を提示している。
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都市と住居の関係から、都市に住むこと、都市型住居といった都市住居の魅力と意義を浮かび起こし、それらを踏まえて都市の再生のために都市とどう関わるかという結論を論じている著書。
都市住居とは「都市に集まって住むことを前提につくられた住居」とはじめに定義し、都市に住むという行為と都市と住居のつながりに話を広げる。著者のその主観的意見を踏まえて、都市郊外の一戸建てに住むのではなく、狭くても都心にすむことを実現させた塔の家を建てるに至った経緯が述べられている。
都市、住居、郊外それぞれに共通して言えることは、その場所の持っている意味性である。人は都市空間の名に場の意味を見いだし、そこに新しい何かを加えて調整する。その調整が新しい力を付加し、場の意味にずれが生じていく。そのようなこだまの中で、建築するという行為が深まっていく。場所の意味性を理解してこそ都市開発という行為に加えて再生という概念が考えられうる。