やさしいため息

著者 :
  • 河出書房新社
3.08
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本棚登録 : 497
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018621

感想・レビュー・書評

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  • 毎晩一日の出来事を語らされて。
    自分の毎日って本当に何事も起こらないんですよ。
    びっくりするくらい。
    こんなんで、よく今まで疑問を感じなかったなって。
    あいつは、そういうことを俺に気づかせるためにこんなことをするのかと思ったら・・・

    たった数行ほどの走り書きの文字が、わたしの一日だった。
    前半の部分は嘘だから、その残りだけがわたしの一日だ。
    その数行をコピー、貼り付け、コピー、貼り付け、をして、続いていく毎日だ。

    自分の毎日を客観的に見ることで、今の自分を変えようと思うようになるのか。
    まさに今の私の生活と同じだ。コピー、貼り付けの連続。

  • 所在不明だった弟が現れ、まどかと同居することとなった。
    彼は毎日、まどかの一日を聞き、ノートに残している。
    他人と上手くコミュニケーションが取れないまどかは、そのノートに書かれることの一部に嘘とホントを織り交ぜていた。

    20代の女性の孤独、ふんわり優しいお話ですが、共感には至りませんでした。
    印象に残りにくい話だけれど、嫌いではなかったです。

    もうひとつの話、松かさ拾い、こちらはとても好き。
    柔らかな情景、主人公の心のうちが漂う雰囲気が大変好みでした。

    ナッツと過ごした時間、内気な小さな子ってこんなだなと思いました。

  • 作家と出身地が近いこともあって気になり読んでみた。意識とかはしてないが、普段あまり女性作家の本を読むことがなかったので、読んでいて新鮮だった。
    「やさしいため息」はあるOLの日常を描いている。平和で平坦で面白みがあるわけではないが、少しずつ心に変化が現れるその過程がなんだか可愛らしさもあり、切なさもある。
    描写が見事で読み手を惹きつける力のある作家だと思う。

  • 変わりばえしない日常をおくるOLまどかのもとにふらっとやってきた風来坊の弟。
    弟が、まどかの日常をつづった日記をつけだすと、その平坦さに戸惑うまどか。少しずつ、かわってみようかと一歩踏み出そうとしてみたり。

  • 私の毎日も淡々としたものなんだと思う。彼女の弟はそんな毎日を観察日記で気づかせてくれる。
    気持ちに正直になるだけで今までの世界がちょこっとかわるかもしれない。
    複数に考えないでもうちょっと単純に考えればいいんじゃない?
    淡々とした日々を振り返りながら自分で時々気持ちに正直になって色をつけられる毎日したいと思った。

  • 淡々とした毎日を愛しているけれど、時々怖ろしくて泣きたくなる。

  • 表現がうまい。

  • 何も起こらない、昨日と同じ毎日の繰り返し。軽く透明な空気感の文章で綴られるのは変わらない日々による閉塞感。女性作家的作品。

  • 2010/10/22

  • 何も起こらない日常。
    半分諦めながら、半分何かに期待しながら生きてる、日々のこと。
    閉じた日常。

    空しいけどあたたかくて、でもさびしい。

    彼女の文章はいつも淡々としていて、それを物足りなく感じるときもあれば、心地よいと感じるときもある。
    今回は後者。

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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