真昼の花火

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 43
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019680

作品紹介・あらすじ

一族の家業であった繊維業界に材を取った、構造変化に伴う新旧のあつれきをえぐるスリリングな人間ドラマであり、産業小説でもある表題作をはじめ、自伝的要素の濃い未刊行小説四編。

感想・レビュー・書評

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  • どちらかと言うと、暗い話が多い。
    自らが育った環境、時代背景など背負いながらへ、懸命に生きてきた日本人を描いている。
    誰かが記憶に留めない限り、歴史の中に埋もれてしまう。その功績はやはり捨てがたいものがある。

  • 時代は遡るが伝わってくるもの多い。古くさいとは感じない。他の作品も読んでみたい。

  • 昭和が舞台の4つの短中編作品。どの話も少しばかり陰がある暗い話で、登場人物の感情の描写がすごく細やかだった。表題作は家業と企業の板挟みに苦しむ「私」の心理が巧妙に描かれた作品。その巧みな心理描写と読みやすい文体で、「私」に感情移入でき、最後までハラハラドキドキと「私」の行く末を案じながら読むことができた。ほんの僅かだが、ミステリー的要素も含まれ満足できる一冊。他の作品も読んでみたい。

  • 布団の打ち直しを家業にする実家に反して、従来の布団の繊維を覆す新商品布団を販売する志宮の複雑な気持ち。

    自分が仕事で成果を得るにつれて
    家族が経営不振に陥る姿を見るのは心苦しいけれども、彼にもまかされた仕事をまっとうする使命がある。複雑。

    最後の方は敏腕で無情な上司に話を持って行かれてしまったような気も^^;

    上司に弄ばれた女社員が電車で心中するところが怖かった。

    他短編。
    戦時中に牛乳瓶を売る幼い子供を持つ未亡人。
    ボクシング選手とコーチの絆。
    終戦でうやむやになった卒業証書のはなし。

    時代を感じる話だったけれど、結構すんなり話を受け入れることができた。
    著者は亡くなっても彼が経験したものは物語となっていつまでも後の時代の人にも伝わるんだねえ。

    どの話も結末がどれもほろ切ない)^o^(

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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