アート・ヒステリー ---なんでもかんでもアートな国・ニッポン

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021331

作品紹介・あらすじ

アートは"希望"の灯火ではない。人々を結ぶ"絆"でもない。民主主義の太陽が生んだ「自由」と「個性」を掲げる美術教育と、資本主義の雨がもたらした増殖、拡大し続けるアートワールド、それらを通して、アートと私たちの関係を読み解く。『アーティスト症候群』から4年、「アート」の名の下にすべてが曖昧に受容される現在を、根底から見つめ、その欲望を洗い出す。

感想・レビュー・書評

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  • (河出書房さんHPより http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309021331/

    「これマジでアートだね!」……やたらと「アート」がもてはやされる時代=「一億総アーティスト」時代。アート礼賛を疑い、ひっくり返すべく、歴史・教育・ビジネスから「アート」を問う。

    「何なの? これ」「アート」
    「え、こんなことやっていいの?」「うん、だって、アートだから」

    「アート=普遍的に良いもの」ですか? そこから疑ってみませんか?
    『アーティスト症候群』から4年、「アート」の名の下にすべてが曖昧に受容される現在を、根底から見つめ、その欲望を洗い出す。

    【!!こんな人に読んでほしい!!】
    1:互いの作品を批判せずなんとなく褒め合っているガラスのハートの美大生。
    2:「個性と創造性が重要」と「図工って何の役に立つの?」の間で困っている先生たち。
    3:「アートは希望」「今こそアートの力が必要とされている」と訴えたい業界回りの人。
    4:「普通」を選んでいるにもかかわらず「ちょっと謎めきたい願望」を抱く社会人。

  • この批判が近い将来噴出するかも

  • 美術や図工はどう子どもに指導し、どう評価するのか、そもそお評価できるのか、そこに主観は必ず入るのではないか、客観的に評価できるのか。インプットなしではアウトプットは(よほどの天才でない限り)自動的に発露はしないのではないか、自由に、個性を活かしてというけれど最低限の技術は教えても良いのではないか、自分自身それは学びたい。

  • 美術
    社会

  • フロイトが最初から人文系の批評家だったら、良かったのに。彼が引用されるなんてのは、その分野以外無いもの。いい加減、彼が精神科医だったということを忘れたい。そうすれば、もっと素直に読めるかな。
    どうしても、その文字を見ただけで興ざめしてしまう、古臭い、今更父殺しとか笑止。

  • 面白かった! アートを異物なるものとして徹底的に純化しようとする試み、とでも要約されるのかしら。
    学生への印象をむやみに広げすぎ、美術教育と学生の様子、加えてアートの様子など簡単につなげすぎという感は否めないけれど、それでも文章の切れ味はよい。
    さて、この本は異物たりうるのか?

  • おもしろいなあと思う箇所がいくつもあり、よかったです。

  •  こんなに分かりやすく、日本の「アート界」の現状を伝えてる本ってないよ!ってくらい、自分にとっては有益かつ、耳の痛い話だと思った。


    これ、図書館で借りた本なんだよねー。いつもだったらこういうの買ってがしがし書き込みしながら読んでくんだけど、おとなしくこぎれいに読んでしまいましたわ。お陰で自分にとって大切なところがよく分からなくなってる。やっぱこういうのは買わなきゃねー。


     というわけで買いなおして読み直して参考文献も当たってみようと思います。



     わたしは、教職についています。いつも、ジレンマに囚われながら、「これでいいのかな?」と思い悩みながら、授業を行っています。

     中高を教えているので、しかも中学は私学で教えてることががちがちに決まっているので、高校を中心に考えていくと、


     一年を把握して、一応満遍なく平面作品や立体作品の制作や鑑賞を行うようにしています。もちろんね。

     そのなかで、一つ一つの課題で、完成に至るプロセスで、少なからず「何かを覚える」という知識面や技術面を取り入れながら、生徒さんが飽きないように、自信を失わせないように誉めつ伸ばしつなだめつつ制作を行っていきます。


     でも、限られた時間数で、満遍なく制作しなくちゃいけないことがあり、それを技術、知識って授業で進めていくと、「紹介」で終わってしまう。


     公共のアートと呼ばれるものを見て、「あぁ、あの時作ったものは、小さいものだったけど相当手が込んでいて大変だった。それをこの大きさで作るって、どれほどの技術と表現力がいるんだろう、ってわが身に置き換えて、「本物」を見たときに感動したり、鑑賞を楽しむ力が、多少なりとも身に着けてくれたら、授業は有益なものといえるのではないかと信じて、授業を行っている。


     誉めて、その当人を否定しないで「個性」を出した表現を「自由」にやってみようっていったって、そんなん無駄じゃん?「オレ様」的自意識の妄想に囚われた人間を輩出していくだけじゃん


     って言われてもね。わたし、そのとおりだと思う。ほんとにそう思う。でも技術を習得ったって、美術も幅が広い。そのなかで、ある程度絞って、「とある技術」を身に着けるとする。その「技術」の身につけ方ってさ、「まずやってみて、うまくいかなくて、でも先生に、この部分だけは誉めてもらえた。次にここを頑張ってみようって言われた。うまくできるかなって思ったけど、なかなかいいかも。」っていう風に、「技術の完全習得」じゃなくて、「どんなに完成が不恰好であっても、自分が一歩前に進めた感覚」っていうのが、大事って言うか、授業で教えられることなんて、きっとその程度だと思う。絵の描き方とか言うけれど、説明してみんなが同じように描けたら、こんな簡単なことはないのよ。

     「ある程度大多数が、この描き方で描けばある程度満足のいくものになるだろう。」って仮定して授業を進めていっても、「見たものを見たまま描く」なんてことを、一朝一夕でできたら、芸術家なんて要らないのよ。どんなに手取り足取り教えても、「うまくできない」のが普通なんじゃないのかしら。それを「完成品」はもろ個人差が現れ自信を失わせるものになるとか、誉めて楽しんで終わりで何か意味あるの?とか、立場がありゃしないわ。誉める以外に何ができるの?誉めて自分のできること広げてく以外に何ができるの?そこに的を絞って、「完成品」が不恰好なものだったら、ただ生徒の自信を失わせるだけのものになるって、教師に求めすぎなんじゃないのかしら。前提として多分、「教えて何とかなるもの」じゃないのよ。少なくとも「週2時間」で。評価なんて気にしないで、1年かけて同じものをひたすら描き続けてたら、変わるかもしれないけどね。


     それを「指導力不足」だとたたかれ、「美術なんていらないんじゃない?」とか思われ、授業時間数は減らされ・・・


     わたし、ほんとにこの本の内容に賛同する。でも、まだ読みが浅いし、今ばーって書いちゃった意見も、読みが足りないゆえだと思う。読み直して、参考文献も当たってみて、そしたらまた、感想を書きたいと思う。

  • 伴場一昭さんから。

  • なんとなくよみづらくて読むのをやめた。

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著者プロフィール

1959年、名古屋生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。現在、名古屋芸術大学、トライデントデザイン専門学校非常勤講師。著書に『アーティスト症候群』『「女」が邪魔をする』などがある。

「2012年 『アート・ヒステリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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