火口のふたり

著者 :
  • 河出書房新社
2.69
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本棚登録 : 528
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021423

作品紹介・あらすじ

こんなに純粋で、他に何もない、ただひたすらの欲情に我と我が身が翻弄されるのは実に久しぶりだった。直子と一緒だった頃、俺はこんなふうに生きていたのだろうか-挙式までの五日間、抗いがたい欲情に身を任せる賢治と直子。出口の見えない、男と女の行き着く先は?不確実な世界の、極限の愛。

感想・レビュー・書評

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  • しょうもないエロ小説。
    富士山噴火のくだりは主人公の願望にしか聞こえず、こんな都合の良い世界…と笑った

    でも惹きつけられた。面白かった。

  • 映画化されたが近くで上映館がなかったため初読の作家であるが読んでみた。結婚にも仕事にも失敗した主人公賢治が結婚直前の幼馴染の従姉妹の直子と焼けボックリに火がついてセックスしまくるという物語。東日本大震災から3年過ぎ次は富士山が噴火しそうになり、これで全てがガラガラポンになりそうで再起を図ろうとする。直子の結婚もおじゃんになったがこれまでの変態的セックスが賢治だけの一方的な思い込みだったことに気付くというお話。はっきり言って下らん話だ、最近の女性作家の素晴らしい小説に比べると恥ずかしい。

  • 今日を生きるということと、昨日と明日を活かすということの二項対立を、男と女を切り口に描いている。最後のオチが今日を生きることに傾けているように思うが、突き放し感が少し雑に感じた。

  • いまやりたいことをやっていると、人間は未来を失い、過去に何も残せない。明日のために必死の思いで今日を犠牲にしたとき、初めて立派な昨日が生まれる。

  • 原発事故後の日本での逃げ場のない不安感がよく描かれた話。投げやりになりがちな主人公が、しかし従姉妹により繋ぎとめられているので、救いがある雰囲気で終わっている。

  • どうなんだろうこれ…震災の事がたくさん出てくるのと富士山の噴火という仮想の話を組み合わせてそれプラス性みたいな。イトコ同士で結婚前に性に溺れて堕ちて行くのが火口に飛び込もうと考えた過去にリンクしてるのかな。でも結局答が出ずに終わった感がする。

  • 白石さんの本は大好きなのですが。あまり心に残らなかった。。。辛口かもしれませんが、期待して読んだのでちと拍子抜けのこともありましたので。主人公の男と女。生きるのが下手だけれども、もがきながら一生懸命に生きようとする。最期のとんでもない本の中だけの仮想の出来事にびっくりしつつも、なるほど、それでこのタイトルか~と思いました。
    本の表紙はちとエッチすぎます。

  • 帯の文言からしてソッチ系を前面に押し出していましたが、
    そういうんじゃなくって!

    もっと、崖っぷち(火口?)に居て、
    どうしようもなくなってしまった男女の
    刹那的な生き様が、近未来SFちっくに描いてある。
    後戻りできない世代の苦しさや切なさが
    過去のエピソードも交え
    『今』の不可解な状況の中で 
    どうしてもその衝動を抑えることのできない
    屈折した大人を演じるしかない・・・

    というレビュー、抽象的すぎますか?

    実はとっても深い話なんだと思います。

  • 人によってセックスは肌に合う合わないがあるだろうけど、文章も肌に合う合わないがあると思う。私にとって、白石さんの文章は肌に合う。官能小説と文学の狭間の作品。大震災の意味と、人がいつ死ぬかわからない不安と存在の意味を考えさせられた。
    ただ、表紙がエロくて、ちょと手に取りにくいかも。

  • 柄本佑のインタビューをよんで、映画も見てないけど、なんとなく読んでみた。
    ポルノっぽいとかあったので、心配してたけども、そこまでても無かったかなぁ。
    色々あったとしても結局、ぐるっと回って元のところに戻ってくるんだなぁ、というのが感想。

  • 性欲についてかなり赤裸々に男女それぞれの視点で描かれていて新鮮。

    結婚相手と一緒に暮らすことが憂鬱だと言う気持ち。知らない人とずっと一緒にいるのは怖い。トイレも共用いやだ。看病してもらうのも恥ずかしい。惨めな気がして嫌になる。そういうのは恥ずかしがり屋じゃなくて臆病と言う。臆病さを克服しないと結婚なんてできないし子供をなんて夢のまた夢。
    似たような感覚に覚えがある。

    人間なんて本当は1代限りで終わるのが正しい生き方なのだ。その分人間の子孫など残さずとも十分に意味のある人生を送れるだけの頭脳が与えられている。そこが動物の決定的な違いなのだ。それを本論たぶらかされて子供など作ってしまうから肝心の自分の人生がおろそかになってしまう。

    生きてるだけで楽しいと思える人と成功しないと楽しくない人がいたら生きてるだけで楽しいと思える人の方が何倍も得だ。

    平気で嘘をついて私を抱くんだもの。男って残酷だなと思った。他の女の体に触った手で触られても自分がものすごく感じてしまうのが1番嫌だった。自分の体に負けてしまっていた。
    始まっちゃえば女は感じちゃうし、あなたのことが好きだったし、やりたそうだったから我慢して付き合ってた。

  • こんな作品スキ

  • 2019/08/21予約
    予約して読んだけど、性的表現ばかりが目立ち、なんだか期待はずれ。
    あまり好きな作品ではなかった。

  • 「私、賢ちゃんの身体をしょっちゅう思い出してたよ」 挙式までの5日間、抗いがたい欲情に身を任せる賢治と直子。出口の見えない、男と女の行き着く先は? 不確実な世界の、極限の愛と官能を描く。『文藝』掲載を単行本化。

    映画化で読んでみたのだけれど,どうにも分からない内容だった。

  • まず装丁の写真にぎょっとした。すぐに気が付かなかった分、驚きも大きかった笑。
    オチが意外でそれが面白かった。確かにそんな世の中になるかもしれないし、そこが妙にリアルでぞくぞくした。もしもそんな風になったら、自分はどう生きていこう?と考えてしまった。

  • 2012年暮れの13回忌から1年ぶりの帰省。7回忌以来7年ぶりに会った従姉妹の直子は来週末日曜日結婚するという。直子の母が早世、ほぼ同居し賢治の母が面倒を見るようになった中3から4年間兄妹のように育った。直子が東京で暮らしていた二十歳そこそこの頃、外でも撮影と行為に及ぶ関係だったー

    ◆う-む、なんでこの本を登録してたのか(笑)誰かの感想で見て装丁にヤラレタのかな。内容は下半身ユルくて身を滅ぼすダラシナイ男の話で身も蓋もないけど「そこにすわろうとおもう」のがショッキングだった

  • 賢治にとって、
    妹のような存在であった従妹が結婚することになり、
    いけないこととは理解しつつも、
    挙式までの5日間をその従妹との
    セックスに溺れるストーリー。

    東日本大震災から約1年半経った頃に発行。
    まだ震災や放射能の影響が生々しく報道されている頃に、
    筆を取り始めているせいなのか、
    衝動的に書かずにはいられなかったのだろうなあ、
    と著者の気持ちを想像する。

    震災による津波や原発事故や、
    しまいには富士山噴火といった、マグマのような熱量と、
    従妹の直子のあっけらかんとした性格との相性が悪く、
    物語の軸となるベースの骨格がかみ合っていないように感じる。

    直子にとっては、子宮筋腫が大きくなる前に
    子孫を残しておきたいと「自分の身体の言い分」を
    素直に聞いてあげた結果の末の行動なのだろう。
    理解できる。

    この本の主題は「男女のすれ違い」なんだと思った。
    どこまで行っても重なり合うことはなくすれ違う。
    男はセックスという肉体の交わりの快感だけで
    女を理解した気になるんだ。

  • 欲求のまま、今を生きる!というストーリー。
    おもしろかったけれど、直子の言う通り、賢ちゃんのここぞで決めきれない性格が…うまく描けてるんだけど、実際イライラした。

    ちなみに、出てくる料理が美味しそうで、そちらの方が楽しめた笑 特にハンバーグ!!

  • 大人の関係なのに、二人の行動は子どもっぽいというか、本能のままで、どっちも歯止めが効かない。
    それがもとからなのか、震災や離婚による心的ストレスなのか、
    震災はともかく離婚は自業自得だし
    そもそも直子はなぜ自衛官との結婚をしようとしているのだろう。
    賢ちゃんを好きな直子の方が理解できる。好きとは一言も言わないけれど…。

    三大欲求。

  • 官能小説。一連の作品はこれ系。もう選ばないと思う。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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