- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309025216
感想・レビュー・書評
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SF短編集。
理系の頭が欲しい。この世界を正確にイメージできたのかが私にはちょっと怪しい。
表題作が良かった。
いくつもの散らばりが全体の一つ一つであるという感じが、脳内で記憶とか想像とかが矛盾なく同時に展開しているのに似ていると思えるからか、理屈は分からなくてもなんとなくイメージが広がる。
情報量は全然違うけど検索って人の頭の中みたいだ、なんてことを思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
飛浩隆の初読み作品。
若い作家かと思ったら、私より歳上だった。
創造に魅了された作品で面白かったが、この作品や2001年宇宙の旅など評価されるSFというものは概して哲学的なんだなと感じた。 -
自分には合わなかったようです。
挫折してしまいました。 -
そこまでワクワクしないSF
コミカルさなどはない
淡々としてるかな?
自動で文字起こしする機械がでてきてから、さらによくわからん -
73人を言葉の力で死に追いやった稀代の殺人者が、怪物〈忌字禍(イマジカ)〉を滅ぼすために、いま召還される───第41回星雲賞日本短編部門受賞作「自生の夢」他、今世紀に発表された読切短編のすべてを収録。最先端の想像力、五感に触れる官能性。現代SFの最高峰、10年ぶり待望の作品集。
「この作者は怪物だ。私が神だったら、彼の本をすべて消滅させるだろう。世界の秘密を守るために。」───穂村弘
(2016年)
— 目次 —
海の指
星窓 remixed version
#銀の匙
曠野にて
自生の夢
野生の詩藻
はるかな響き
ノート -
詩的で哲学的なSF短編集。言葉の向こう側を描写するような試み、理解するというより情景を味わう感じ。結構好きです。
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好:「海の指」
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「海の指」がキャッチーだった。読みながら「アニメか漫画になったら楽しそうだな」と思っていたら、漫画化を想定していたようなことが解説に書いてあってやっぱりかと思った。読んでいて頭で結ばれる映像が面白い。動きがあってワクワクする。その上で人物の心理も行間から伝わるものがある。
他の作品も含めると、実験的な構成も多かったように思った。なぜこの本を手に取ったのか全くわからないが、それなりに楽しめたと思う。 -
新作が出てとにかくうれしい。言葉や音楽が想起するイメージの宇宙を漂うような、濃厚な短編集。映画のエッセンスもところどころに盛りこまれ、調べながらまた再読して楽しめる気がする。「廃園の天使」も待っています。
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ビジュアルが圧倒的だった。陸を奏でる海の指。曠野で波打つ文字。アリスの詩。星窓。小説なのに映像美。唯一、表題作がほんとわかんなくて辛かった。みんな表題作を絶賛してて、自分がそれを理解できていないことに悲しさとさみしさを感じる。個人的には画に力がある「海の指」や「曠野にて」、「野生の詩藻」が好き。まあでも、表題作のラストの壮大さも好き。
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短編集。
再読したい。 -
「零号琴」読んでやられちゃったので、過去短編集を。テーマというか、モチーフ的には、零号琴にも通じるであろう、言葉や文字(それは記号とも言えるかも)を包含した原型としての「音」が根底にあると思われた。短編集といえども、続きとして読めるものもあり、なるほどそうくるかといろいろ切り口を楽しめる。過去や未来を行き来する文学的なデジタル世界は、クールで甘美であり、単なる不気味なSFと言わずにまずは読んでみると意外や人間味が根底にあったりして、ひとつ読んでは少し時間を置いて、みたいな読み方がおススメです。
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読む者の想像力が「これでもか」というほど試される。気を抜いてしまうと、作品に置いてきぼりされてしまう。遠い未来と今とは実は隣り合わせなのだということを溢れんばかりのコトバと身体をすっぽり包み込むモジが教えてくれる。
もっともっと想像力が欲しい…。 -
2018.6.6読了
はるかな響きと銀の匙が特に好きだった。
この著者の作品は初めて読んだが、ほかの作品を早く読んでみたい。 -
うーん、SFってかまさにハヤカワ文庫、みたいな・・・。そんな感じ。
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日本SF大賞ときいて初めて読んだ作家だが、異世界のイマジネーションを喚起する力がすごくて驚いた。難解で美しく、まさにSF。「海の指」や「星窓」あたりはなんとかついていけるが、アリス・ウォンのシリーズになるともう想像力と感性が振り切れる。すばらしい。
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過去に出版された作品を収録した短編集。作品自体はほぼ独立してるのだが、頭から読んでいくと、登場するキャラクタや場面が何度か登場し、あたかも連作短編集のように読める。むしろ、連作と思って読んだ方が驚きが大きい。例えば、最初の「海の指」。穏やかなどこにでもある漁村の物語のようだが、実は現実と異なる世界を見事に構築している。これだけでも面白いのだが、「曠野にて」などで「海の指」で描かれるあのシーンがここにつながっているのかなどと気づいた瞬間に、本全体がとてつもなく深いものになる。ここで二度目の驚きを体験する。SF大賞(2017年度)を受賞したのも頷ける。
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SF。短編集。
表題作と「はるかな響き」は既読。
相変わらず難しい。
「♯銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻」は「自生の夢」とのシリーズもの。正直ニガテ。
「海の指」「自生の夢」「はるかな響き」は好きなため、ハッキリと好き嫌いが別れた作品集でした。
「海の指」人類滅亡もの。海洋の100%、陸地の99%が灰洋となり、人類の99.9%が消えた世界。灰洋という独自の世界観。圧倒的なビジョン。想像力が及ばない。傑作。
「星窓 remixed version」幻想っぽい。ジュブナイル?読みやすい。
「自生の夢」言語SF?VR?会話が刺激的で面白い。 -
短編集。一部連作。
中盤から表題作含む3連作が入り、あれ?実は全部繋がってる?と思ったあたりで集中出来なくなった。連作集でよくある配置だから…。
で、3連作の次、ラスト1話で全部繋がるのかと思いつつ読んだせいか、モヤモヤして終わった。連作は3作だけだった。
配置悪いなあ……。 -
十年振りの作品集とのこと。
僕は三年程まえに著者を知り、その面白さにはまったのだが、その時点でわずか三冊の作品集しか出版されておらず、あっという間に全てを読破してしまった。
だから、ずっと発売を待っていて、期待に胸を膨らませて読み始めたのだけれど、どうもその期待が少々大きすぎたのかも知れない。
七編からなる短編集で、そのうち四編は「Visions」や「Nova1」「Nova8」といったアンソロジーで既読。
その「Visions」に収められていた「海の指」、及び「Nova1」に収められていた表題作「自生の夢」の二編は文句なしに面白かった。
残りの五編のうち、「#銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻(La Poesis Sauvageを改題)」の三編は「自生の夢」の前日譚となっているので、単独で読むよりも、「自生の夢」と合わせて読むことで、より面白みは増したように思う(「#銀の匙」「曠野にて」は単独作品として「Nova8」に収録されていた)。
残りの二編も面白くない訳ではないのだが、飛浩隆であればもっと面白いものを期待してしまう。
例えば「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」や「象られた力 kaleidscape」などは僕にとって本当に極上の作品だったから。
とまぁ、なんだかんだ愚痴っぽくなってしまったが、やはり読み始めたら夢中で一気読みしてしまいました。 -
なんなんでしょう、このキラキラと美しくもおぞましく、混沌とした「世界」は⁈こんなイマジネーションを持ったSF作家がまだ現代日本にいたなんて、びっくりだわー。
ボブ・ショウのスローガラスからノスタルジーを除いて、バラードの「結晶世界」を覗き込む感じ。 -
想像力に自信がないなら読まない方がいい。
SFだし、シュルレアリスムの絵画のようだし、壮大な音楽でもある。イメージ遊びを突き詰めてそれをどうにか文字で読める形にしておきました、読めるものならどうぞ。みたいな、平気で読者を置いてきぼりにする世界だから、むきになってがつがつ読んでしまう。
「野生の詩藻」の一見、ロボットSF的なダイナミックさもあるところがたまらなく好き。 -
短編集7編
複雑で精緻,異世界的な未来あるいは別の天体,意識と時間のなかに忍び寄る音,響.天才詩人アリスに象徴される言葉による新世界.短編どうし関連したものもあり,壮大なスペースオペラを奏でている感もある.なかなか理解しづらいところも多かったし,空中の浮遊しているような安定感のなさを感じながらも,基調として流れている静謐な音楽が感じられて,思いの外読後感がいい. -
イーガンが描く情報空間をさらに突き詰めた世界やなあ。
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何かの書評をきっかけに図書館で借りた。決して読みやすくない。というかよくわからない。でも立ち昇るイメージは美しくて冷たい。特に最初の短編海の指が恐ろしさとグロテスクさと懐かしさと美しさみたいな全然違う感覚を呼び起こす感触で、とても不思議。
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もう滅びてしまったものと、まだ生まれていないものとでは、どちらを書き著すほうが難しいのだろう。
帯にある「世界の秘密」というフレーズが、まさにこの小説の存在する意味を表していた。
それはこの世界の成り立ちの秘密か、それとも終わりの秘密か。おそらくそのどちらでもあるのだろう。
言葉によって創造された世界が、言葉によって解体されていく様を見るようであった。
このような穏やかな終末であるのなら、喜んで受け入れよう。 -
待った甲斐がありました。
…とは云え、2編は最近他のアンソロジーで読んだばかり
でしたので、物足りない感も。
『星窓』だけはキュンキュンする!ノスタルジックでちょっと他の作品と違うなあ、でも素敵だわ~と思っていたらば
若かりし頃の作品だそうで!『グラン・ヴァカンス』の冒頭の瑞々しさはこれがルーツなのかしらとか思ってみたり。
潤堂さんがカッコいい。『ラギッド・ガール』におさめられていた『魔述師』にちょっと似てるかな。
巻末のノートに、長編が1本あるみたいな事が書かれてあったので、今か今かと待ちわびてみます。廃園の天使の続きもお願いします。 -
"星ぼしは人間にまったく関心なく、ただ超然と、荒涼とか輝くだけだ。"
美しく残酷な世界観のSFで、脳みそがかき回される快楽があるが、特に本書後半のアリス連作シリーズは私の理解力の遥か彼方に作者の思考実験があり、味わいきれていないのが残念。 -
本書のジャンルはSFではなく、詩だと思う。語彙とイメージ力がハンパではない。
最初の「海の指」は、脳内で諸星大二郎&大友克洋両巨匠の絵を想像しながら読んだため、なんとか「見る」ことができたが、あとはもう私の貧弱なイメージ力ではとうてい追いつかない。
イメージが降りてくるまで時間がかかって、読了まで(短編集なのに!)時代小説や推理小説などの一般的な小説の2、3倍も時間がかかってしまった。まるで詩みたいな読み方だ。
そしてそれがまた気持ちのいい小説群で、400年後の誰かが見ている夢を見ているような読後感はちょいとクセになる。
この著者の作品は初めて読んでみたが、すごい人っているもんだ。たぶん脳のつくりがホモ・サピエンスとは違うのかもしれない。
長編にもトライしてみたい。