- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309030159
感想・レビュー・書評
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人間の8割がきのこに取り憑かれている時代(ちなみにあとの2割は粘菌)。時間が経つにつれて、どんどん人間部分が薄くなり、最終的には完全にきのこになってしまうが、思考も「菌化」しているので、そこに恐れはない。
コロナ禍に書かれた作品だと思うと興味深い。冬虫夏草と化した人間の生きる世界は、上下関係や私利私欲のない、ある意味で究極のユートピアなのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キノコが持つ退廃的な寂しさと幻想的な美しさ、不気味さを世界という広いスケールのものに上手く掛け合わさっていてまさになんたるきのこだった。
物語全体から漂ってくる火が消えていくような寂しさや泥濘の中を彷徨うような気だるさが読んでいる人の体感速度をゆっくりにしてくれるのでのんびりと時間を喰むことが好きな耽美主義者の方々にオススメしたい。 -
こんな滅びが良い。
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ヒグチユウコさん装画のきのこ達が可愛いが内容は菌類がジワリジワリと侵食して来る様で恐ろしい。生きながら身体からきのこが生えるってかなり、とんでもなく嫌だ!きのこの繁茂のために胞子を撒き散らす手伝いをする胞子活動、菌に取り憑かれ支配されやがて乗っ取られ朽ちて行く。恐ろしくも不思議で幻想的かつ難解。でも読む手は止められない 。
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・きのこに寄生される人間
・一人称が曖昧
・人間は不快感は感じていない
・どちらの視点なのか不明瞭
・きのこにとっては当たり前の日常 -
わかったような、わからない様な、きのこの幻影小説。
言葉選びや、人間がキノコになり支配されていく表現が独特。
決して入り込めないし、イメージもし難いのに、ページをめくる手が止まらない。
私がキノコに支配されているのか?
気持ち悪いような、不思議な感性の読み物。 -
きのこ・・・・なにもかもきのこというか菌類が生活に入り込んでいる社会というか。幻想的であり、妄想的でもある。ある種ホラーでもあるのかもしれない。
なんだろうな。もうよくわからない。ただただきのこ。現実側からするととんでもないことになってるんだけど、登場人物は皆幸せそうではある。きのこまみれだけど。もうそれでいいじゃないか。