透明になれなかった僕たちのために

著者 :
  • 河出書房新社
2.80
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本棚登録 : 1096
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309031293

感想・レビュー・書評

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  • 不快感が拭えない物語でした。
    序盤から主人公たちに感情移入出来ずに読み進めていきましたが、中盤以降の展開がミステリアスで面白くはありました。
    ただ如何せんテーマが重たくて…
    生きることと、愛することを、希望を持って過ごせるのは当たり前じゃないと頭では理解していたけれど、実際に環境に恵まれなかった人々を前にしたら、私は何も言えなくなるなと無力感も感じました。

  • うーん、登場人物の誰にも感情移入できなかったし、自分の読解力がないためか誰も彼も歪んでいるようにしか思えなかった。ちょっとこういう世界観は苦手かも(^^;)

  • 暗く絶望的な愛を見た。

    導入にとても惹きつけられて、先が気になってどんどん読んだ。

    令和ド現代が舞台なのに、男女の浪漫感はどこか懐かしくて少しギャップを感じた。

  • Amazonの紹介より
    アリオとユリオ、幼馴染の深雪は、自分の中に潜むある欲望に苦しみつつ成長する。ユリオの自殺、連続する殺人事件を契機に驚愕の真相が明らかになっていくが… 著者渾身の青春サスペンス。



    王様のブランチで紹介されていたので、読んでみました。
    佐野さんの作品というと、青春、恋愛、ラノベっぽい⁉︎、辛い心の葛藤といったイメージがあり、「青春サスペンスの傑作と紹介されていたので、どんな作品なのか興味津々でした。

    結論から言うと、正直微妙というワードが読了後に感じました。サスペンスなのですが、どこかファンタジーっぽいといいましょうか、現実っぽくない印象があって、そのあたりは今までの作品の雰囲気に似ているなと思いました。

    この物語は大学生になったアリオが、四月から十二月までに起きた出来事を過去の事件も交えて体験していく物語です。
    それは、決して明るめな話ではなく、陰湿でダークな展開が待ち受けています。
    ただ、ファンタジーっぽい雰囲気も文章から滲み出ているので、そんなにシリアスな感覚はありませんでした。

    メインとなる謎が、アリオの出生の秘密です。というのも、一卵性の弟・ユリオが過去に自殺したのに、自分に似ている人物が目の前に現れたのです。

    この人は弟なのか?なぜ自分に似ているのか?次第に弟の自殺や連続する殺人事件も絡みながら、驚きの展開になっていきます。
    途中、月が変わるごとに、ある小さな新聞記事が紹介されたり、意味深なアイテムが登場したりと、後々にそれらが重要なキーワードになっていくので、どんな展開になっていくんだろうと楽しみでした。

    当然、この小説内で解決されるのですが、これって現実的にありえる⁉︎と思ってしまいました。詳しく書いてしまうと、核心的なネタバレになってしまいますのであまり書けませんが、2人ならまだしも、そんなに多く・・・といった状況に逆に段々と冷めてしまいました。

    〇〇したい欲望って、脈々と受け継がれるのか?そういった疑問が頭の中を駆け巡りました。
    誰しも自分の中にある色んな欲望はあるかと思います。ただ、似たような欲望が子供にも受け継がれるのかといったら、ちょっと違うのかな!?と思ってしまいました。

    後半になって色々明らかになっていく真実。そして待ち受ける展開は、まぁ辛かったです。他に選択肢がなかったのか、読んでいて驚くばかりでした。
    その反面、話が突飛すぎて、現実的ではないなとも思ってしまいました。

    ストーリーだけでなく、アリオの心理描写も読みどころでした。最初は青春を感じさせるような雰囲気でしたが、途中からはシリアス要素のあるサスペンスの展開へ。そこで垣間見える自分の中にある欲望。双子の弟や自分に似ている他人を通じて、この欲望は必然なのか?あらゆる出来事を通して、アリオの心は変わっていくのか?

    心の成長と共に、読者としては色々推理できる楽しみもあって面白かったです。

  • ちょっと気になるんだよな、と思っていた本で久しぶりに読んだ後の感想が

    普通かな

    って思った本

    きっと、こんな風に思ったことがないからかな
    こんな人がいるというのは理解というか認識というか、そんなことはしているのだけれど

    感情移入ができないと、良かったとはなかなか思えなくて
    つまらなかったわけじゃなくて、淡々と終えてしまった、そんな感じです

  • 遺伝子や臓器移植の話で難しいところが多々あり、話の内容自体も人間関係が複雑で理解が追いつきにくい場面もあるが、深くて考えさせられる物語だった。自分の死生観と似てる部分が結構あって共感出来た。一方で新たな視点の考え方もあって興味深かった。様々なシーンで言語化能力に圧倒された。
    人体錬成はできないこの世界で、遺伝子と環境のあれこれで人間の主たる人格を生み出せることに、少し恐怖を覚えた。人間の自由意志は0.2秒。ぼくはぼくを生きることに躊躇してる時間はないなと改めて思えた。
    サスペンス要素というよりサイコパスチックな気もするのでそういうのが好きな人には刺さると思った。

  • アリオとユリオ、遺伝子も環境も同じ二人。
    去っていった者と残された者。
    選ばれた者と選ばれない者。

    対比の中に強い劣等感、絶望を抱きつつも無意識の0.2秒での決意に残された者の強さを感じました。

    生きている、それだけで意味があるのだと思わせてくれる一冊です!

  • 誰かを殺したいと思ったことはあるか。そんなあらすじに、ぎょっとしながらも興味を惹かれて読み始めた。
    誰しも本気でなくても、もう死んでしまいたいと思ったことはあると思う。人生に面白みがなく、いつ死んでもいい。だけど漠然と人を殺してみたいと感じていた主人公アリオ。世間で起きる殺人事件を織り交ぜながら自身の出生の謎に迫っていく。


    現実的ではないような展開もあるけれど、DNAに残された記録とか未来のサスペンスドラマのようだとも思った。

    生きていてもつまらない。そんな風に思うこともあるけど、誰かが死んでしまった時にもっと○○しておけばよかった、と思いたくない。1日を大切に生きていきたいなと最後には思える本だった。

  • ★★★★★+
    絶望、闇、怠惰、嘘が主役のサスペンス
    "愛が不可能な感じがする"
    …これな
    『愛されないということも愛されるということも人を傷つける』
    誰もが嘘で生きている
    そんな世界にウンザリ
    同じ遺伝子をもち、絶望と殺意をもつ若者達はどこに向かうのか?
    自分の中にもある闇と共鳴する部分がいくつもあった。

  • 私にとっては難読な本だった。
    隙間時間に読んだのがいけなかったかもしれない。
    随所に散りばめられた伏線を、回収する前に「忘れ」てしまい、何が伏線だったのかを忘れてしまったからだ。

    遺伝子の配列の中に、暗号を入れ秘密のメッセージを示唆しているとか、不妊治療での精子の提供者が全て同一人物で、登場人物たちに繋がっていくとか、触れたことの無い設定に、先が気になって後半は一気に読み進められました。

    しかし、「?」と思う箇所が多くて、読後、なんも言えないモヤモヤ感が残った。思わず、作者によるネタバレnoteを見てしまうぐらいに、伏線の部分が気になる作品だった。

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著者プロフィール

『君は月夜に光り輝く』で第23回電撃小説大賞≪大賞≫を受賞し、デビュー。

「2019年 『君は月夜に光り輝く (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野徹夜の作品

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